脚本が検閲を通らぬ理由 / わろてんか 第138話

2018年3月16日(金)第24週「見果てぬ夢」

あらすじ

恋愛の話を『忠臣蔵』の忠義や孝行に巧みに置き換えた、てんの発案による映画の脚本は無事に検閲を通る見通しとなりました。東京の内務省に呼び出されていたてんと風太は、検閲官の上々の反応に胸をなでおろしていました。

大阪に戻ったてんと風太は、北村笑店が手がける初の映画制作が間もなくはじまることを芸人や社員たちと祝いました。しかし数日後、その結果がくつがえされました。一度は検閲を通過したにもかかわらず、検閲保留の通知が来たのです。

恋愛の話を忠義や孝行の話で巧みに隠していたことが、伊能をつぶすことに躍起になる者に知られてしまい、すべてが内務省に密告されてしまったのです。内務省の指示に従って脚本を書き換えるべきか否か、面々は話し合いを余儀なくされます。

そんな中、てんはたった一人で東京の内務省に足を運びました。そして、検閲官と面会したてんは、脚本を書き直すつもりはないこと。今の脚本のまま、映画の制作をすることを認めてほしいと訴えるのでした。

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予習レビュー

前回は久しぶりに躍動感でみちあふれた回でした。

恋愛のストーリーをカムフラージュするアイディアをてんちゃんがひらめき、それを楓ちゃんが脚本の中に具体的に落とし込む。

そしてスタートした北村笑店の映画プロジェクト。

芸人さんたちは、その新しいプロジェクトで少しでも目立つ役を獲得しようと、みなそれぞれが自分の売り込みに躍起になる。

一度は失意の底に沈んでいた伊能さまも、再び映画への情熱を取り戻し、かつての伊能さまの部下たちも駆けつけてきました。

すべてが順調にゆくはずでした。・・・順調にいってほしかった。

さて、今回もはじめのうちだけはその順調さが前回より引き継がれました。

楓ちゃんが書き上げた脚本は無事に検閲を通過しました。

そして、そのことがてんちゃんと風太くんに伝えられました。

ところが、ほどなくして検閲に通過という決定はくつがえされ、状況は白から黒に一瞬にして反転。

しかも、決定がくつがえされた真の理由は伊能さまにあった。

伊能さまの苦悩の物語が週の後半になって再びはじまりました。

感想

前回までの明るさが一転・・・

前回は、久しぶりに明るくてにぎやかな回でした。

そして、背負っていたものをすべておろし、大好きな映画にだけ没頭できる環境を手に入れた伊能さまの笑顔が強く印象に残りました。

そして、今回の前半までは、前回の楽しかった余韻がまだまだ色濃く残っていました。

冒頭の内務省の場面。脚本の記述の間違いが検閲官から指摘されるという肩透かしのオチも笑わせてくれました。

脚本が検閲を通りそうな感触を得たてんちゃんたちがお祝いをする場面。ここも前回の楽しさが引き継がれていました。

しかし、映画の中で配役への不満をアサリが口にし、アサリが歌子さんに脚本に隠された秘密を暴露してしまい、それをあやしげな男が盗み聞きする。

・・・

すると突然、画面が真っ暗に。

テレビが壊れたか、臨時ニュースかと思いました。BSで最初にみた時は。画面を真っ暗にするこの演出。なかなか斬新でした。そして怖かったです。

この真っ暗な画面から、前回から続いていた明るさは一転。

その後は困難な時代のリアルを直視させられるような場面が続き、今がどのような時代だったのか、厳しい現実を思い出させてくれました。

奇しくも朝の再放送の『花子とアン』でも、戦時下でヒロイン・花ちゃんが秘蔵する洋書が大日本婦人会のおっかないご婦人たちに見つかり「家宅捜査」。

兄やんの機転により、花ちゃんはかろうじて事なきを得ましたが、再放送の『花子とアン』も、本放送の『わろてんか』も、いよいよ厳しい時代に突入しましたね。

そして、今回の前半まで無邪気な笑顔を見せてくれていた伊能さまが、またしても追い詰められてきました。

検閲官の川西さん(?)

検閲官の男性がなかなか素敵です。とってもいい味出してます。

冒頭で登場した場面では、この男性に脚本の問題点を指摘させることで少しばかりドキリとさせ、実はその問題点は兄弟関係が間違って逆転していただけというオチ。

うまく肩透かしを喰らわせながらも、そんな細かいところまで気がつくこの男性が文芸や映画を深く愛していることをさりげなく暗示する演出。

うまいなと思いました。

そして、新世紀キネマの社員による密告です。

検閲保留となり、再び内務省に呼び出されたてんちゃんと風太くん。相当、しぼられるものと覚悟して見ていました。

検閲官の男性にしてみれば、出し抜かれたわけですからね。

てんちゃんと風太くんに腹を立てても不思議ではないところです。しかし、この男性は腹をたてることはしなかった。

腹を立てないばかりか、この男性は役人としての仕事を粛々とこなすだけ。口調はやや厳しいですが、それは個人的な怒りではありません。これも役人の仕事のうちです。

そして、最終決定をくつがえすためにてんちゃんがたった一人で内務省に乗り込んだ際の、この男性の三度目の登場場面。

てんちゃんの必死の説得に対して背中を向けながらも、実はしっかりと耳を傾けて、私も○○の場面が好きだとポロリと本心を吐露。

上海の軍人さんもそうでしたが、職掌がら守らなければならない規律と、職業を離れた一個人としての正直な気持ち。

その両方が丁寧に描かれ、そのことがドラマに深みを増していると思いました。

多くの映画やドラマでは、この手のキャラというのは無条件に悪い奴としか描かれませんからね。

そんな薄っぺらな悪役に食傷気味だったので、今回の検閲官の男性の描写に大満足です。

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コメント

  1. ななしです より:

    ちょっと「笑の大学」風でわろてしまいました
    でも役所さん出すわけにはいけないし

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      既視感を感じていましたが、そんな作品がありましたね!あまりに昔のことですっかり忘れていました。