律を失い傷心の中の鈴愛 / 半分、青い。 第62話

2018年6月12日(火)第11週「デビューしたい!」

あらすじ

律から「距離を置こう」と告げられた鈴愛は、その傷心の中で日々を過ごしていました。律からの宣言が鈴愛にとってはどれほどショックの大きいものなのか、それが痛いほどよくわかる裕子とボクテは、精一杯、鈴愛のことを励ましました。

一方、悲しみに耐えかねる鈴愛に、秋風は告げました。そのつらい出来事や、苦しい気持ちのすべてを漫画に描け。そうすることで、ようやくその苦しみから救われることができるのだ。物語は人を癒し、創作は自分を救うのだと。

そんな中、秋風塾が開かれました。秋風は、三人のアシスタントに宣言しました。これから漫画を描け。出来がよければ、いつでも自分がその原稿を『月刊ガーベラ』に持ち込むと。そして秋風は鈴愛から、漫画のアイデアを語らせました。

鈴愛の語った物語。それは律との別れの場面でした。鈴愛の語る物語を聞かされ、鈴愛の才能を見抜いた秋風は、鈴愛に迫りました。その別れの物語を漫画に描けと。鬼のような形相で鈴愛に迫る秋風の気迫に気圧された鈴愛は、ついに漫画を描きはじめるのでした。

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予習レビュー

前回、鈴愛ちゃんと律くんの、二人のすれ違いの人生がついにはじまりました(悲)

鈴愛ちゃんに対して「距離を置こう」と宣言した律くんは、鈴愛ちゃんに対して「またね」ではなく「さようなら」と言って去ってゆきました。

ところで、律くんが「距離を置こう」と言ったのは、口先だけのことではありません。

物理的にも距離を保つため、律くんは鈴愛ちゃんに対して引越しすることを宣言したのです。

岐阜で暮らしていたときと同じように、徒歩で歩いて行ける距離に住んでいて、いつでも頼ることができた律くんが、もう近くにはいない。

いつも近くにいるので、当たり前の存在になっていた律くんを、失ってはじめてわかった律くんという存在の大切さ。

一方の律くんも、「距離を置こう」と宣言してからはじめて、鈴愛ちゃんの存在が自分にとってどれほどのものだったを理解するのでしょうか。・・・理解してほしいものです。

ちなみに、鈴愛ちゃんに別れた直後、律くんは秋風ハウスの庭に飾ってあった、七夕飾りの短冊の中に、鈴愛ちゃんの願い事が書かれた短冊を見つけるのだそうです。

そこには、律くんのロボットの夢が叶いますようにと書かれているとか。

律くんの夢を自分のことのように思っていた鈴愛ちゃんの気持ちを、律くんはどのように受け止めるのか。

僕は、この場面がどう描かれるのか、気になって仕方ありません。

感想

2週間で2回ふられた鈴愛ちゃん。しかし、マーくんにふられた時と、律くんにふられた時とでは、その反応がずいぶんと異なります。

また、それぞれの鈴愛ちゃんの嘆きかたに対する、秋風先生の反応も大きく異なりました。

同じ「ふられた」とは言え、本人の反応も、秋風先生の反応もまるで異なる、1回目と2回目の、ふられ比較をしてみました。

1回目:マーくんにふられた時

マーくんにふられた時の鈴愛ちゃんは、文字通りの悲劇のヒロインでした。

ふられた直後はただひたすらに泣き続けていました。過呼吸になりそうな勢いで泣き続けていました。

そして、しゃべっても何を言っているのかまったくわからないほど泣いてました。

泣きじゃくる鈴愛ちゃんが、少しだけ落ち着きを取り戻したのは、律くんが駆けつけてきて鈴愛ちゃんに背中を貸してからのこと。

律くんに支えられ、ようやく言葉を口にできるまでになったものの、その翌日からは、再び涙を流し続けていました。

涙止めマスクが必要となるほどに。そして、ボクテが脱水症状を心配するほどに。

ここまで泣くか、というくらい泣き続け、涙を流し続けた鈴愛ちゃん。にも関わらず、秋風先生の反応は実に軽い。

泣き続ける鈴愛ちゃんの涙に対する関心は野次馬レベル(笑)。他人の不幸は蜜の味。面白い見ものを見つけてしまった。そんなところでしょうか。

涙を流す鈴愛ちゃんの姿が、ネタとして面白くって仕方がない、秋風先生のいたずらっ子みたいな表情は、本当に笑わせてもらいました。

というわけで、1回目のマーくんにふられた時は、鈴愛ちゃんには気の毒ですが、コメディでした。

悲劇と喜劇は紙一重と言いますが、限りなく喜劇に近い悲劇でした。

2回目:律くんにふられた時

しかし、2回目の律くんにふられた時は、本格的な悲劇でした。

裕子ちゃんに寄り添われながら号泣はしたものの、人前で涙をポロポロ流すほどに泣いたのは、そのときだけ。

泣きすぎるあまりに、しゃべれなくなるほどだったマーくんのときとは異なり、比較的冷静に裕子ちゃんやボクテに、心境を語ってました。

これは2回目だから、耐性がついてきたのか。

それとも、律くんという支えを失ったことで、自分で自分の気持ちを支える必要にせまられ、その分だけ鈴愛ちゃんが成長したということなのか。

また、マーくんにふられた直後は、食欲までも失っていたみたいですが、今回はその逆。まさかの暴食。しかも、裕子ちゃんが買ってきたパンを勝手に食べてるし(笑)

仕事中の涙も、涙止めマスクを必要とするほどではありませんでした。

一見すると、マーくんにふられた時の方が悲しそうに見えないこともありません。

しかし、秋風先生の反応が、マーくんよりも律くんを失ったことのダメージの大きさを、よくあらわしていました。

マーくんにふられた鈴愛ちゃんを茶化しまくっていた、あの秋風先生が、今回は終始、鈴愛ちゃんの気持ちを真剣に観察していました。

そして、鈴愛ちゃんに鬼とまで言われました。

その「鬼」発言に対して、「鬼上等」と返す秋風先生。心を「鬼」にしてでも、創作によって鈴愛ちゃんの心を救おうとしたのでしょうか。

心を「鬼」にして、しかも「鬼」とまで言われても、鈴愛ちゃんを救おうとするほどに、鈴愛ちゃんが心に負った傷の深さを、秋風先生は洞察したのでしょうか。

かくして、「鬼」に背中を押されて、鈴愛ちゃんのペンを持つ手が動きはじめました。

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コメント

  1. ぱぽりん より:

    秋風がなぜ鈴愛に「お前は才能がある」と言い切ったのか、引っかかっていました。
    いつもと同じようにドラマを見ていたわけですが、改めて思い返したところ、
    「それはどんな月だ」に対する鈴愛の回答、そして「思い出遊び」、これらに秋風の感性が暴走した結果であると思い至りました。

    それにしても、鈴愛の話を自分の作品のネタにせず鈴愛に描くことを迫る秋風、エライです。

    漫画の技術論はおくとして、鈴愛が描き直しを食らい続けたのはきっと、
    「別れに至るプロセスが描けていない」
    が一番の問題だったのではないかと想像します。
    だって鈴愛、そこのところの自覚が無い。

    秋風の言う「セリフに溺れるな」は、脚本家にそのままお返ししたい。
    意地の悪いのは十分承知。
    脚本家、別に書いたように、律のセリフに溺れている。
    さほど多くを語らない秋風の方が沢山のことを伝えてくれるし、生きている。

    でもね、秋風のプライベートゾーンのダブルベッドに置かれた二つの枕は、饒舌すぎるんじゃありませんか、これ、朝ドラでいいんですか~~?

  2. ぱぽりん より:

    「それはどんな月だ」

    リアリティーを求める秋風らしいセリフでした。
    鈴愛の「満月に近い」との回答は、秋風を十分に満足させたものと思います。
    タイトルと合わせ、二人の最後の時間を惜しみ、ゆっくりと歩き、一所懸命に思い出を手繰り寄せ語り続けるさまが思い浮かびます。
    満月だったらもう朝も近い。でも、満月手前。
    きっと日を跨ぎ歩き語り続けた時間が、もう思い出のかけらも尽きて終わろうとしている。
    夜の長さに思い出が足りない、そんな寂しさが感じられます。
    沢山の時間を一緒に過ごしてきたはずなのに、<欠けていたもの>があった、それが満月ではない月の姿にもかぶさって切ない。

    一瞬であれこれを読み取る秋風、すごいです。

  3. しましま より:

    昨日から、ずっと気持ちがもやもやしていました。
    律が鈴愛だけを悪者にしていったことに。
    清も悪い、そして何より、律!きみも悪いんじゃないの?
    清に内緒でマニキュアまで隠して、鈴愛にスープ作りに行ったり(しかも昼間からずっと鈴愛が気になってデート中も上の空)、写真はがすのを拒否したり…。
    律が清を不安にさせるから、清の嫉妬がエスカレートして、結果的に売り言葉に買い言葉で鈴愛もあんなこと言ったんじゃないか!と、鈴愛にさらっと「アウトっしょ」って言える律に腹が立ちました。
    距離を置くことは不可避だったにしても、せめて、鈴愛に詫びてほしかった。
    自分がしっかりしてないから、二人を傷つける結果になった、と。
    律は自分は大人になった、でも鈴愛が
    子供のままだからこんなことになったんだ、と思っていたのかもしれないけど、違う。鈴愛の言った通り、二人とも子供のまま。律は大人になった、と思ってるだけ。
    今日の放送を見て、傷を一身に引き受けさせられた鈴愛は、一歩、大人の階段を登るのかな、と思えたのが救いでした。
    きっと、律はまだしばらく大人ぶった子供のままで、心の痛みの正体にさえ気付かないまま、これから数年を過ごしていくのだと思う。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      20歳前後の頃って、自分が大人だと思っている子ほど実は子供だったりしますからね。鈴愛ちゃんと律くん。僕自身の20歳の頃と比較すると、十分に大人です(笑)

  4. daisy より:

    いつも読ませて頂いてばかりで、、コメントは初めてです。
    描写が丁寧で、たまに見立てを間違うと、自分の見立て眼を残念に思う気持ちを隠さない。
    そんな朝蔵さん、有り難うございます。

    今回こそが,神回と思いました。え、前回より今回。
    恋愛ドラマ+駆け引きが苦手な私には、そんな駆け引きの醍醐味より、辛い経験を他人への共感として昇華させるってあたりがツボだったのかも。
    正直、今期の朝ドラにおける普段の脚本は、話題を呼ぶための世俗ネタ多いなぁ、、って思ってます。
    なのに時々、そんな生意気な我ら視聴者をを黙らせる何か。が潜んでいるように思います。

    それなのに、脚本家の神回と、視聴者の神回って、案外合わない気もします。(笑)
    結果的に見ているなら、朝ドラ的には問題無いのかもしれませんが。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      初コメントありがとうございます。

      神回。受け止め方は、作者と視聴者とで異なれば、視聴者によっても人様々ですからね。ちなみに僕の神回は、鈴愛ちゃんが秋風羽織の世界と出会った夏休みの描写です。

  5. ぱぽりん より:

    律が鈴愛の短冊を「盗んだ」としたのは、鈴愛に対する未練と言うより<感謝>に思えます。
    どこへ向かうかわからない自分に、ある方向を示してくれて来た鈴愛、恋愛感情云々は別にして、そのことの重みを律は理解している。
    鈴愛が言ったように、雲のような自分、どこへ向かうか風任せ。
    でも、鈴愛は、これまで自分(律)を良い方向へ流し、あるいは、どちらへ向かうべきかを示してくれてきた。
    鈴愛の書いた短冊は、律にとって、これから向かう未来への羅針盤なのでしょう。

    二人の別れのあれこれが、鈴愛にとって律が最後に与えてくれたギフトであるのと同じに、律にとって鈴愛の短冊は、やはり同じにギフトなのでしょう。
    ただ置かれ、他に何もないのだから、それを持ってゆくことを<盗む>としか言うしかできなかった。
    でも、律は、それが自分へのギフトであることを十分に感じていたのだと思います。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      > ギフト

      素敵な表現ですね。たしかにこの別れがなければ、二人の関係はこれまで通りだったかもしれないけれど、何も得ることもなく変化もない。それが続いていただけかもしれません。

  6. たいとうみほ より:

    秋風先生の言葉にすっかり感服しました。
    数10年、自らが幾多の修羅場も崖っぷちも乗り越えたからこそ
    自信を持って人生の後輩に言えるんですね。
    書くことで救われる、と。
    正人君の失恋に関しては
    「おまえなあ、人生の試練なんてそんな程度じゃないんだぞ」
    と思って、まだそれを知らない鈴愛が可笑しかったのでしょう。
    律君の「(短冊を)盗んだ」との表現に
    律なりの寂しさとけじめがあったんですね。
    もう、本人に堂々と「鈴愛が書いた短冊、くれ」と
    言える立場ではなくなった、と。
    しかも金輪際、返せる日は来ないのだろう、多分、と。
    だから「盗む」…悲しいです。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      秋風先生も描くことで救われた過去があったのかもしれませんね。あの言葉の重み、経験に裏打ちされているような気がします。

  7. まーちゃん より:

    やっと鈴愛ちゃんの漫画家人生がスタートですね!律&清ちゃん、実にいい仕事してくれました(笑)

    それと秋風先生、これまたやっと師匠らしい言動で𠮟咤激励してくれました(感動!)

    恋も仕事もタイミングが大事、「鉄は熱いうちに打て!」です。鈴愛ちゃん、「熱くなれ!!」

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      秋風先生、今回ほど師匠らしく見えたこと。これまでなかったですね。本当に素晴らしかったです。

  8. うみがめ より:

    昨日に引き続き、今日も神回でした!
    子供のころ、聴覚の半分を失っても感性で明るく立ち直った鈴愛ちゃん。19歳で自分の半身ともいえる律君を失っても、やっぱり感性と創作でさらに前に進みそうですね。

    雲を見れば律君のそばにいるようだと思える鈴愛ちゃん、鈴愛ちゃんの短冊を盗っていった律君。物理的には離れてしまっても、結局心はつながったまま。でも短冊をよりどころにしている律君の方が即物的で、未練たらたらに見えてしまいました。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      苦しい思いを立て続けにしただけに、鈴愛ちゃんの方が律くんよりも一足先に大人に近づいたのかもしれませんね。

  9. ありがとう、半分、青い より:

    鈴愛「鬼!」
    先生「鬼上等!」

    秋風先生、最高です。

  10. キヨコ より:

    前々から感じていた事なのですが。
    私にとって、律くんはとても印象が薄いのです。

    廉子さんの「律君は大人になりました」のシーン、改めて録画を見直したのですが、清との恋愛を楽しみたいなんて言っておきながら、科白は重く淡々と、何か押し殺しているような、何か心あらずのようで、ずっと律の本音が見えなかった。
    本心を絶対に見せない。だからなのかな?

    鈴愛が言った言葉。
    「律は雲だ。風に流されて、形を変えて、ふわふわ。」(だったかな?)
    晴れた空には、想像を掻き立てる色んな顔の雲がある。
    だけど、快晴の空に雲はない。
    半分、青い。
    鈴愛の空に真っ白い雲はいつ戻って来るのでしょうか。

    • 朝蔵(あさぞう) より:

      律くんは本心を一切、口にしない、というのはありますね。いつかどこかで、本心を吐露する見せ場のために節約してるのかなとも思います。

  11. 千秋様ファン より:

    今日こそ神回だったと思います。

  12. かふう より:

    やっと鈴愛の漫画家人生が始動した。
    がんばれ、鈴愛!