草若、手術しても手遅れ /『ちりとてちん』104話

連続テレビ小説(朝ドラ)『ちりとてちん』
初回放送:2008年2月4日(月)放送
再々放送:2014年2月10日(月)放送
第19週 第104話 「地獄の沙汰もネタ次第」

『ちりとてちん』第19週 第104回
「地獄の沙汰もネタ次第」あらすじ

草若の体調の異変を察した糸子に草若は打ち明けました。草若はしばらく前に食欲不振のため病院に行きました。そして手術しても手遅れだと言われていました。糸子は入院を勧めるものの草若は首をタテに振りませんでした。

草若は生きている間にやらなければならないことがあると糸子に告げました。草若の気持ちを理解した糸子はしばらく草若の家に居座ることにしました。しかし草若に口止めされた糸子は、その理由を喜代美には告げませんでした。

一方、創作落語をするよう草若から勧められた喜代美は迷い続けていました。喜代美は草若の落語を承継することが希望でした。そもそも喜代美は創作落語をどのように作ったら良いのかがさっぱりわかりませんでした。

そんな中、草若は落語『地獄八景亡者戯』の稽古を始めました。その落語を喜代美は大いに気に入りました。今すぐは無理でも、数年後には教えてほしいと喜代美には頼みました。しかし草若は言いました。お前には教えられないと。

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『ちりとてちん』第19週 第104回
「地獄の沙汰もネタ次第」感想

草若師匠の口からついに「ほんまのこと」が明かされてしまいました。

「病院のベッドで寝てたら何にもでけしません。あんまり長い命やないけど、私、まだ生きてます。生きとる間にやらなあかんことがおますのや」

この師匠の言葉を聞いて思い出したのは黒澤明監督の名作『生きる』です。

ある市役所の職員が胃を患い、ガンは本人に宣告されなかった当時、自分の体調の異変や家族の会話から自分が末期ガンであることを察知。

それまで市役所を一日も休まずに勤め上げたものの、役所の決まり通りの作業をこなしてきただけで、自分の仕事が誰かに喜ばれた経験がないことに気づきます。

自分のそれまでの生き方を改めた主人公が、最後の命を振り絞って役所の誰もが面倒がって避けていた仕事に取りかかり、生を全うするというお話。

『生きる』と違って、師匠の場合はこれまで人を楽しませ、弟子たちに愛情を注ぎ普通の人には成し遂げられないような仕事の数々を残しているにも関わらず、「まだ生きている」その命を使って何をしようとするんでしょうか。

一方で、何も知らされていない喜代美にしてみれば、「あかん、お前には教えられへん」なんて、これまでそんな言われ方をしたことがないだけに、ショックはどれほどのものか。

凡庸なドラマだと、こんな場面では死期を覚りながらも立派に振る舞う師匠になってしまうのでしょうが、喜代美に嘘は言えない。でも、喜代美が受けるショックまでは考えるゆとりがない。

そんな師匠の弱さをしっかり描いてしまうところ、すごい脚本だと思います。

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