2020年10月13日(火)第18週「戦場の歌」
あらすじ
裕一は、記者の大倉から思いがけない話を聞かされました。裕一の滞在地であるラングーンの近くにいる部隊の隊長として藤堂が配属されていることが分かったのです。藤堂率いる部隊は物資の補給をしていました。
裕一は迷いました。危険を覚悟の上で藤堂のもとへ向かうべきかどうかを。迷う裕一に画家の中井は言いました。自分の気持ちを確かめるために戦地に行くことに意味はない。そのような気持ちでの戦地行きはやめた方がいいと。
中井の言葉に反発した裕一は藤堂が配属されている部隊への慰問を申し出ました。裕一の申し出は許可されました。裕一は集めた楽器をトラックに積んで藤堂のもとに向かいました。そして裕一は藤堂と再会しました。
裕一に頼まれ、藤堂は部隊の中から楽器の演奏ができる兵士を集めました。歌は藤堂が担当することになりました。そして、裕一がビルマの兵士たちのために作曲した『ビルマ派遣軍の歌』の練習が始まるのでした。
予習レビュー
裕一くんが戦場の現実を初めて直視する回になるかもしれません。
かつて裕一くんは大将からも戦場の現実を聞かされました。しかし、大将の言葉に耳を貸すことはありませんでした。
裕一くんは再び戦場の現実を聞かされることになりました。
裕一くんに戦場の現実を聞かせた中井さんは、直前まで戦場にいて、戦況が絶望的なことになっていることを自分の目で確かめてきました。
そして中井さん自身も「変わり果てた」姿で前線から戻ってくるとの由。
戦場の現実に気づいたそのとき、藤堂先生が近くの部隊に配属されていることが判明。
迷いに迷った末に藤堂先生のもとに足を運ぶと決めた裕一くんは、ついに自分の目で戦場のリアルを確かめることになるのでしょうか。
また今回は裕一くんの葛藤を中井さんに言い当てられる場面もあるはずです。
戦時下での裕一くんの転機。戦後の裕一くんの苦悩のフラグが立つ回になると思われます。
コメントへの返信 by 朝蔵
裕一君が直面する、多くの命と死を、後世に生きるものにするか、無駄な犬死に終わらせてしまうか(たいとうみほさん)
上に引用させていただいた裕一くんの生き様の課題。これが翌週か翌々週の『エール』のテーマですね。
浩二の隠れた才能(魁光さん)
きっと、まささんが倒れてから家事も自分でやっていたんでしょうね。浩二くんの苦労が見え隠れする意外な才能場面でした。
三郎さんと安隆さんがあの世で仲良くしてい(魁光さん)
三郎さんと安隆さん。この二人の共演場面を見たいと思っていました。まさか本当にやってくれるとは・・・。感激です。
日本で書かせてはもらえない(たいとうみほさん)
ビルマで見聞した記録は誰にも見つからないように戦後まで封印する必要がありそうですね。中井画伯はその覚悟でいるようです。
「最後通告」を跳ね除けてしまった裕一はもう取り返し(魁光さん)
中井画伯は裕一くんの本心を見抜きましたが、そこを突っ込まれた裕一くんがこんな反応に出ることは想定外だったようですね。
でも長い目で見れば、裕一くんの音楽家の人生にとって大事なことだったのかもしれません。
嵐の前の静けさ(魁光さん)
とりわけ藤堂先生のほがらかな歌声が「嵐の前の静けさ」感を際立たせていました。
三郎さん(還暦のたつおさん)
安隆さんと向き合うと三郎さんの軽さがより一層際立ちますね。(笑)
恐ろしいことです(オペラ座の怪人さん)
本人も無自覚なまま道を踏み外してしまうわけですから本当に恐ろしいことです。
戦場にあった人はたちは生きているその日その日を大事に(よるは去ったさん)
硫黄島で戦った兵士たちが遺した手紙をまとめた本が数年前に出版されましたが、おっしゃる通りその日その日を大事に生きていたことが手紙から伝わってきました。
直太朗さん、今作で初めて歌いましたね(丹善人さん)
ほがらかな歌声。これが最初で最後になるかと思うと泣けてきます。
作品のクレジットに変化(boxster981さん)
変化に気がつきませんでした。一人の作家の世界観が濃厚に反映された希少な朝ドラですね。
宿舎やジャングルの描写などそっくりだ(boxster981さん)
数ヶ月前に『地獄の黙示録』のリマスター版を観たばかりなので映像が記憶に鮮明に残っています。今週の『エール』は本当によく似てます。
ワナではないと判れば一気に襲われますね(知らんけどさん)
あの状況で音をたてたのはやっぱりまずかったですね。
音楽家の筋肉じゃないよ、ランボーみたい!(ともあきさん)
ビルマのジャングルで戦う場面があったらまさに『ランボー』ですね。
三郎パパと安隆パパ(中略)2人一緒である事を同時に見る事ができるのは華ちゃんだけ(たいとうみほさん)
華ちゃんが、かつての吟ちゃんみたいに二人の亡霊じいじを見て怖がらないといいのですが・・・(笑)
「安全性」(知らんけどさん)
話が完全にそれますが・・・
『地獄の黙示録』の脚本はコメディとして書かれたそうですが、戦場で安全性を確保するというコントすれすれの状況。
兵士たちのヘルメットに「安全第一」とプリントされてるようなものですね。(笑)
次回を見るのが怖くなってます(Anneさん)
お久しぶりです!
二人の亡霊は、これからやって来る嵐の前の静けさですね。本当に怖いです。
敵の正体(還暦のたつおさん)
敵の正体、明かされたとしてもナレーターで一言とかそれくらいになるような気がします。その後の裕一くんの絶望がこれからしばらくのお題ですから。
秘書の方に仕事を取られる感のあるあの人(丹善人さん)
「あの人」は戦後どうなってしまうんでしょうね。裕一くんが悔いている音楽の数々でたくさんの手柄を立てましたので。
火野葦平氏のお孫さんとひょんなきっかけからSNS上で御縁があり(ひるたまさん:86回)
そんな素敵なご縁があるんですか!『エール』の楽しみがさらに増えますね。
生前の経営者としての素質(魁光さん)
素質は雲泥の差がありますが、それぞれの子供のおかげで仲良しになれたみたいですね。
感想
裕一くんの戦後の苦悩のフラグ
中井画伯が裕一くんの一番痛いところを突きました。
「自分の作曲した音楽が多くの若者たちを戦場へと駆り立てた。そのことがトゲのように心に刺さっている。トゲを抜きたくて戦地に行こうとするのならおやめなさい。」
中井画伯は、自分の仕事の正しさを確かめるための戦地に行くことを止めました。
この中井画伯の言葉は、きっと裕一くんの戦後の苦悩のフラグですね。
裕一くんは戦場で自分の行いの正しさを確かめるどころか、自分の行いへの疑問をさらに大きくするだけでしょう。
その疑問が戦後になって苦悩に転じてしまうのでしょう。
三郎さんはあの世でも三郎さんだった
今回、唐沢寿明さんの名前がクレジットされていたので回想場面が挿入されるのかと思っていたら、まさかのあの世の三郎さん。
しかも三郎さんが将棋を指す相手は安隆パパ。
三郎さんはあの世に行っても三郎さんでした。(笑)
今回の前半がとても重苦しかった。そしてまささんと浩二くんの母と子の会話があまりにも切なかった。
しかし、三郎さんが一撃で明るくしてくれました。
重箱の隅を突くどうでもいいことなのですが、ジャングルの中に針葉樹や枝打ちのある樹木があるのが、どうしても気になってしまいました。もちろん、東南アジアのジャングルまでロケに行くわけには行かないことは重々承知してますが。
本当にどうでもいいことです。ごめんなさい。
三郎さんと安隆さんの将棋。
見ていてお互いの生前の経営者としての素質が良く伝わってきます。
きっと見据えて厳しい攻めを見せる安隆さんと表情を隠すことなく動揺する三郎さん。
そこが差だったんだなと実感しています。
boxster981さんへ
私よりもより深い観察眼です。
まだまだ私は浅いもので反省しております。
勉強になりました。
そうかそうか、二人の亡霊が藤堂先生の受け皿を用意していたのか。
誰も気づかない伏線だったのですね。
あの世で3人麻雀でも始めますか。
もう一人必要ならば、最近出番が無くなって、戦後編でも
秘書の方に仕事を取られる感のある、あの人もやってきていたりして。
気になる事が一つ、藤堂先生が、いたのはビルマ国内の補給基地です。部下の隊員の恰好をみてもインド国境付近の前線からは相当離れているはずです。イギリス軍の主力は、インパールで、日本軍と戦っていたわけだから、ビルマ領内まで進出はできないはずです。一体、誰が、補給基地を襲ったか、可能性として考えられるのは、ビルマ国内で、後方の破壊活動をしていた。ウインゲート挺身隊(英軍)かメリルの略奪者(米軍)のような特殊部隊あるいは、正規軍の別動隊か?14日の放送で敵の正体が解るのでしょうか?
朝蔵さん、ご無沙汰しております。
今日の回は、最後の三郎父さんと安隆父さんの将棋で重苦しい気持ちを癒してくれました。
次回を見るのが怖くなってます…
『地獄の黙示録』に関して
前半のハイライトでヘリから集落への空撃シーンからゲリラ対策としてのジャングルへナパーム弾爆撃がありますね、そこまでして「安全性」を確保してからサーフィンしてPLAYBOYのオネーチャン達の慰問が始まります、アメリカらしい合理性だと思いますわ
非人道的だとかの批判は戦争にて価値はないと思いますよ、価値があるのは勝って生き残るだけなんですよね、まさに「悲しいけどこれ戦争なのよね」だと思います
ですので、今回の演出である安全性を確保しないで行われた前線における演奏会を『地獄の黙示録』に当てはめたらPLAYBOYのオネーチャン達が踊る会場に撃ち込まれるロケットランチャーや竹槍の雨あられという結末しか見えないが・・・
それとも踏み込んで考えて裕一さんが楽器を抱えて前線入りするのを誰も止めなかったビルマ派遣軍上層部の無能ぶりを描きたかったのか?
重苦しい事を考え続けてもしんどいので、演出の意図に乗って?コミカルな事を考えてみました。あの世から三郎パパと安隆パパが連れたってこちらに帰って来たとしても、2人一緒である事を同時に見る事ができるのは華ちゃんだけですね。古山家に来ても関内家に来ても、多分華ちゃんに話をするのが1番手っ取り早いとか、見えない側の当事者に華ちゃんがいちいち説明したりとか、かなりシュールな事になりそうです。
浩二くんのほんわかが今週のオアシスです。
にしても、裕一君の筋肉の仕上がりが気になる!
それ音楽家の筋肉じゃないよ、ランボーみたい!
魁光さんへ:
いつも興味深いご意見拝見しています。
さて裕一は決して綺麗事ばかり並べていたのではないと思います。
裕一は言うまでもなく作者が作り上げたキャラクターであり、作者が裕一に語らせている訳ですから綺麗事ばかり並べる人格では問題があるし、むしろ頑固な性格として描かれています。
裕一は不協和音以来何か違和感を持ちながら本心でそう思っていたのであり、そう思うことで違和感に蓋をしてきたのだと思います。だから演技としては難しかったでしょうね。それにやってきたことが無駄(ゼロ)であったに留まらずマイナス(黙示録の主人公のオマージュでは犯罪)と気付かせるために先生の死や弘哉くんの死(?)を用意したというのが作者の仕掛けであり、戦後史実とは異なり長く苦しんで作品が作れなくなるようですから。
ドラマの調子としてはここで綺麗事ではややまずいかなと思います。
前線で楽器を鳴らして歌えば・・・
英国軍隊も驚くわな、ビルマの竪琴では油断させるために『埴生の宿』を練習してたぐらいだし
けど、ワナではないと判れば一気に襲われますね
実際に油断しきってましたし
戦場に意味はありません。中井の言葉で突然私に降りてきたものがある。
何故かその瞬間、コッポラの「地獄の黙示録」に重なるものがあったのだ。
ベトナム戦争は、アメリカにとって醜悪なものだった。戦う正当性が持てない戦いだったからである。どんな戦いでも、自分たちが正しいから戦うのだと思わなければ戦うことはできない。ベトナムにおけるアメリカの存在そのものがこの映画の主人公には犯罪であるとすら思えてくる。そしてこの敗戦はその後の米国の社会にまで今に引きずる大きな傷を残している。
吉田さんはこれを下敷きにして戦争描写を入れたと思う。宿舎やジャングルの描写などそっくりだ。明日になるであろう藤堂先生の戦死のシーンにもきっと黙示録の影響が見られると予言する。因みにベトナムとビルマは隣接しており、米国を日本に置き換えれば吉田さんの戦争観は容易に想像できる。
(どんな音楽であっても、それが人を応援していると思えなければ裕一は曲は作れない。)
きっとそれが中井が指摘した裕一のトゲ。ビルマ派遣軍の歌はトゲを感じながら作り上げた。練習にも拘わらずそれが今日披露された。本番で流れないことを予想させる演出。そして明日…。
もっと早く気付いておけば良かった。
思い起こせば前半の幼少期から「ゴッドファーザー」の映像美があった。
僭越ながら吉田さんがこのドラマで目指すものは、朝ドラの新たな表現と、たかが朝ドラとは言わせない作品の古典的価値だと思う。
作品のクレジットに変化が!
先週は「作 吉田照幸」、今週は「作・演出 吉田照幸」。
きっと吉田作品のこだわりが随所に見られるに違いない。
二人のお父さん、(回想)と書かれてなかったので、どういうこと?って、これかい!
生きてるときに出会っていないのに、よくわかったものです。というか、実は
二人とも知らずに仲良くなっていたりして。
直太朗さん、今作で初めて歌いましたね。まさかこれが聞き納めになるとはね。
裕一君、中井さんの言葉に反発して、逆に背中を押された感じで戦地に向かいました。
そうなることをわかった上で、あえて反発する様に仕向けたのでしょうか。
真実を見ることでしか自分の感情を正しく評価できないだろうと。
浩二君器用ですね。伯父さんの血を受け継いでいたりして。晩年は趣味で生活
してるかも。
潤一「戦場には生きるか死ぬかしかない・・・・・・・。」
それは間違いないことですが。
和俊「今日は自分たちにとって夢のような日であります・・・・・・・・・・。」
戦場にあった人はたちは生きているその日その日を大事にしていたんじゃないかなと思いました。
何度も書きますが、
音楽という、基本的には平和産業で働いていた人も
音楽で士気を高められて、
戦争に駆り出されちゃう、
恐ろしいことです。
(/_\;) (/_\;) (/_\;)
おしまい
1.裕一は、中井さんに痛い所を突かれて、かえって意固地になってしまいました。ただおかげで、藤堂先生の死に目に遭うことができたのですが、このことが、裕一に新たな重い後悔をもたらしそうです。
2.三郎さんは、将棋でも保隆さんのに絶対勝てないでしょう。
嵐の前の静けさですね。
親子間のしこりの完全解決、福島の穏やかな日々、あの世で仲良くしている父2人、藤堂先生との再会、部隊の楽団達とのセッション。
上げといて明日徹底的に落とすのかと思うと…。
中井さんに腹の中をバッチリ見透かされていた裕一。
綺麗事ばかりを並べ立てていた裕一にとって初めて触れる現実はあまりにも重過ぎるものですが…。
中井さんにとっては裕一が戦場を見たら、今まで自分と国を信じてやってきたことが無駄であることに気付き、絶望することが分かっていたでしょうから。
本当の「最後通告」を跳ね除けてしまった裕一はもう取り返しのつかないところまで行ってしまいましたね…。
裕一君はともかく、水野さんも中井さんも、自分がビルマで見聞した本当の事など、日本で書かせてはもらえないでしょうね。藤田嗣治氏みたいに「戦場の死屍累々の中に神々しさを見出した」などという感慨を抱いたのなら別ですが。今作中の今村嗣人さんも、おそらくアッツとかサイパンとかに従軍しているんだろうなと想像されます。
まさかのサプライズ演出でしたね!
共演のなかった三郎さんと安隆さんがあの世で仲良くしていたようで何よりでした。
2人とも人たらしなんで問題なかったんですけど(笑)
まささんはもう少しこの世で頑張ってもらいたいですね!
浩二の隠れた才能が発揮されましたね!
理由は独り身が長いという悲しい理由でしたね…。
そして前半部分のしこりの完全解決ですね。
浩二の好きなように生きてほしいと願うまささんと家族の為にと願う浩二の思いが上手く折り合いが付いた瞬間でしたね。
光子さんの「折り合いをつけて生きて行くの」が結実しましたね!
命が無駄か否か。それは後世の人が、ある命とその死を、未来を良くする為の良き教訓にできるかどうかが決めるのかもしれません。例えば「ごちそうさん」のタイに見るフードロス問題。家畜の被ばくや感染症殺処分も含めて、彼らの命を無駄にしない為に過剰生産を避け事故や蔓延の対策に本気で取り組み、結果その後家畜が無残な死に方をせずに済んだら、前に処分された命が生かされたという事。飲酒運転やあおり運転の遺族は「こんな死に方をする人をもう出すな」と社会にウェーブを起こしました。一方では孤独死とか介護殺人とか抜本的解決が見えないまま繰り返される最期もあり。いま裕一君が直面する、多くの命と死を、後世に生きるものにするか、無駄な犬死に終わらせてしまうかは、きつい事を言えば裕一君次第、五郎君次第。彼らがその後どう生きて、自分があの世に行った際に先に行った彼らに報告するのか、だと私は思いました。