2021年2月4日(木)第9週「絶対笑かしたる」
あらすじ
新劇団の芝居では、女性の役は女優が演じると一平は決めていました。そのため、天海一座の頃から女形を続けていた漆原に対して、女形をやめるよう一平は求めました。一平のことを子供の頃から可愛がっていた漆原には一平の言葉がショックでした。
女形をやめて男役をやってほしい。一平は漆原に頭を下げて頼みました。一平の頼みに漆原は激怒しました。そして漆原は、芝居そのものをやめて道頓堀を去ると決意。そんな漆原の決意を知った女形役者の仲間たちは、漆原に深く同情しました。
一方、新劇団への参加を拒否した千之助はこれまでの日々を思い出していました。須賀廼家万太郎に見捨てられた直後に天海天海から声をかけてもらった時のこと。千之助は天海に恩義を感じていました。
そんなある日、女形役者の仲間たちは漆原の意趣返しのために一平を取り囲みました。その現場に駆けつけた漆原は仲間たちを制止。しかし、一平は漆原を挑発しました。女型は時代遅れだ。もう女形はお払い箱なのだと。
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予習レビュー
残念なお父ちゃんの借金取りから逃れるために道頓堀を去ることになった千代ちゃんが、一度だけ代役を引き受けたことがありました。
女中役の役者さんがぎっくり腰で動けなくなり、千代ちゃんはその代役でした。
さてあの時、楽屋で身動きひとつ取れなくなってしまった役者さんが、今回のストーリーの主役ともいえる女形役者の漆原さんです。
これまでずっと女形役者一筋でやってきた漆原さんが、女形をやめろと一平くんに強いられます。
ところで漆原さんは、天海一座の中で他の誰よりも一平くんのことを可愛がっていたとの由。
可愛がっていたボンから、自分の最も大事な仕事をやめろと言われるわけです。
漆原さんのショックは察するにあまりあります。
一平くんが座長に指名されたことで、ただでさえ新劇団が解散の危機に陥っているというこんな時に。
さらに騒ぎを大きくするようなことをして、一平くんは一体何を考えているのでしょうか。
ちなみに一平くんが考えていることは、次回に明らかになります。
コメントへの返信 by 朝蔵
そもそも女形は(よるは去ったさん)
女型という職業にはそんな歴史があったのですか。
たいへん勉強になりました。
裏テーマの時代に乗る福富(二代目魁光さん)
「過渡期」が裏テーマとして全面に出てきましたが、そのことに早いうちから警鐘を鳴らしていた福富のボンは早すぎた天才かもしれません。(笑)
初めて見せた繊細な一面(二代目魁光さん)
繊細さを隠すために面倒臭い人になっているのかもしれませんね。
千之助の実力を認めた一平の父と、千之助の友情(還暦のたつおさん)
朝ドラらしからぬ「男臭い」エピソードでしたね。
老婆役は昔も今も男の人(丹善人さん)
言われてみれば喜劇の世界の老婆は男ばっかりですね。
価値観の転換する時代(たいとうみほさん)
価値観の転換する時代の当事者として自分のアイデンティティにも関わる問題ですからね。
自らの存在まで否定された事(重信六三郎さん)
おっしゃる通りアイデンティティが崩壊しかねない問題です。
感想
千之助師匠のこと
今回は一平くんの見せ場のはずでしたが、千之助師匠に持って行かれてしまいました。
万太郎師匠と組み、須賀廼家兄弟として一世を風びした過去。
それが一転。
万太郎師匠に見捨てられた失意の中で、天海師匠から一緒にやりたいと声をかけられて救われた過去。
その恩義があるから、一平くんの面倒を見切れないながらも見捨てることができないのでしょうか。
時に千之助師匠の行動が自暴自棄に見えるのは、天海師匠の死からいまだに立ち直っていないのではないか。
そんな気さえしてきました。
ただの面倒臭い人だとばかり思っていました、千之助師匠のことを。
実は深い苦悩を抱えた、とても繊細な神経の持ち主だったようです。
千之助師匠のことが一気に好きになりました。
追伸:ちょっとネタバレになりますが、今回、天海師匠が千之助師匠に一緒にやりたいと願い出る場面。
おそらく明日のある場面へのフラグかと思います。
おちょやん|感想あらすじネタバレトップページ
漆原さんを始め本作に登場する女形の人達、普段の仕草も女性っぽく、トランスジェンダーのように描かれているような…。
“男は男らしく、女は女らしく”が当たり前だったこの時代、美輪明宏さんの登場やトランスジェンダーが社会的に認知される時代はまだまだ遥か先の事…。
『エール』のミュージックティ…も、仕草や言葉遣いの為に辛い目に遭った事を語っていましたが、彼らがトランスジェンダー故に、女形としてしか生きる道が無かったとしたら…。
漆原さんにとって女形を辞めろという事は、仕事を奪われるだけで無く、自らの存在まで否定された事になるのでしょう…。
一平君の方針と女形の扱い、なるほどなあと思いました。女性が男性役をやる宝塚を考えるとよくわかりますが、女形も男役も、異性から見た理想の女性像・男性像を形作るものなので、現実の女性・男性とは違うものがある。ファンタジーなんです。歌舞伎にしろ宝塚にしろ、その世界に馴染まない人が見ると「今時こんな人間現実にはいない、あり得ない」と、馬鹿馬鹿しくなるようなストーリーです。一平君はだから、ファンタジーの象徴である女形を切り、女性演者によるリアリティの路線に舵を切りたいのでしょう。万太郎一座の大げさな演出と違う、日常生活の中に存在する笑いを求めようと。
朝ドラの鑑賞の仕方でさえ、ファンタジーを求める人とリアリティを要求する人のせめぎ合いがあります。価値観の転換する時代なら余計、その相剋は激しかったんじゃないかと感じました。
新しい喜劇に女形はいらない。
でも、老婆役は昔も今も男の人が持ち芸でやっていますね。
博多淡海とか吉本新喜劇の人とか、元東京都知事の意地悪婆さんや
アミダ婆アとかも。老婆だと関係ないのか。
オレを笑わせてみろ。きっかけが欲しいんですよね。
ミルクセーキ、「エール」でバンブー店内で早稲田の応援団も飲んでいました。千之助の実力を認めた一平の父と、千之助の友情、千之助の一平への屈折した思い。それぞれの喜劇への思いが複雑に交錯した回でした。
御寮さんの覚悟の潔さに比べて一平の覚悟のなんと自分本位に見えることか!
少なくともそういう演出がされている
またある意味福富の面々の商売への変貌の徹底ぶりもある意味潔い
そういうことか
一平のキャラクターを際立たせる狙いなのか!?
破天荒な千之助兄さんが初めて見せた繊細な一面。
そして初代天海師匠と一平くんとの人間関係のフラグも全て明らかになりました。
初代天海師匠と一平くんへの想いは人一倍。
しかし自分の笑いをただ追及することに集中するばかりで育成していくことには自信がないことをのぞかせましたね。
劇中で何度もリピートされた「お前は何者じゃ!ああ?」も全て繋がりました。
「お前は何者じゃ!ああ?自分喜劇役者やろがい!だったら笑わせてみろや!そしたら劇団入ったる」ということですね。
女形はいらない。この話題は必然でしたね。
座員に女性がいることで漆原さんの存在価値は無くなってしまう。
早かれ遅かれその問題が間違いなく出たはず。今回はその投げかけとなりました。
その道標を今日、明日で示すことになりますね。
そして裏テーマの時代に乗る福富と時代遅れの岡安との対比。
明日の結末をある程度知っているので、岡安も舵取りして行くことになるのかなと。
やがて訪れる福助くんとみつえちゃんがその架け橋になって…。
史実では鶴亀(松竹)から声をかけられたのはリアル千之助(曾我廼家十吾)の方だった
だから座長は千之助で、千之助がリアル一平を片腕として招いていると既に指摘した
よって今週のエピソードは事情を知る人々にとって不自然な展開になっている
気になるのは月曜日に回復した視聴率が再び落ち込んだことだ
詳細の事情は不案内だが関西のコアなファンにとってその不自然さが心外だということはないか
いまの展開は何が言いたいのかよく見えてこない
千之助の昔話が唐突に出てきたが彼が一平の父に昔されたことを千代に試したということは
千之助が千代に一目置いているということではあろう
それにしては一平の行動が話を複雑にし過ぎている
明日に向けて着地を決めれば良いが狙い過ぎて空中分解の心配もある
フィクションは史実をを超えないと感動が無い
一平「女の役は女の人に・・・・・・・・。」
そもそも女形は真の女性が舞台で舞を見せたりするのが公俗上よろしくないという江戸時代の考えから生まれた役回りですね。