2021年4月1日(木)第17週「うちの守りたかった家庭劇」
あらすじ
鶴亀家庭劇の座員の一人、百久利が出征。その直後、一平は座員たちに対して鶴亀家庭劇の解散を断腸の思いで宣言しました。鶴亀家庭劇の解散は、鶴亀の社長・大山が一平に指示したことでした。
座員たちは、受け入れがたい劇団の解散の宣言にやむなく従うことにしました。しかし、一人だけ劇団の解散を納得できない者がいました。千代です。千代だけは解散を受け入れることができず、劇団の存続を涙ながらに訴えました。
そんな中、みつえと福富一家が疎開することになりました。千代がみつえを訪ねたそのとき、婦人会の女性たちがトランベットの供出を求めにやって来ました。しかしみつえは、体をはって福助のトランペットを守り抜きました。
千代は岡安のシズも訪ねました。そして劇団の解散が納得できない自分の気持ちを打ち明けました。千代の気持ちを聞かされたシズは、岡安を諦めていないと千代に告げました。みつえとシズの覚悟を知った千代は、一人でも芝居を続けると宣言するのでした。
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予習レビュー
福助くんの出征、岡安の閉店、百久利の出征。
そしてついに鶴亀家庭劇が解散です。
鶴亀家庭劇を解散する決断を下したのは鶴亀の大山社長です。
一平くんとして非常に不本意な決定ながらも立場上従わざるを得ません。
座員たちも、しぶしぶ解散の決定に従うようです。
そんな中、千代ちゃんだけは劇団の解散に反対。
今週のサブタイトルである「うちの守りたかった家庭劇」は今回のことを指しているのでしょうか。
ところでサブタイトルは過去形になっています。
ということは守りきれなかったということを意味します。
これまで朝ドラを通して戦争の時代を繰り返し見てきましたが、この時代の重苦しさは何回見ても慣れることができません。
その度に落ち込みます。
コメントへの返信 by 朝蔵
借金取りから千代ちゃんを守った時(よるは去ったさん)
あの時に咄嗟に見せたみつえちゃんの体をはった行動は、今回へのフラグだったのかもしれません。
さすがごりょんさんの実の娘だけのことはあります。
ビックリするくらいくだらない事(二代目魁光さん)
単なる「くだらないこと」ではなく「ビックリするくらい」のレベルを求めるところが実に素敵です。
婦人会の人あっさり引き下がってくれて(還暦のたつおさん)
珍しく物分かりの良いおばちゃんがボスだったのが幸いでした。
さすがにごりょんさんの娘だけ(秋桜おばさん)
血のつながった母娘であることを確信できる瞬間でした。(笑)
感想
追い詰められた人々
劇団解散を受け入れるための自分への言い訳を探す座員たちの気持ちを思うと胸が締め付けられる思いでした。
芝居が楽しすぎて実家の父のもとに帰れずにいた。
だからこの機会にやっと実家に帰れる、というのは自分に言い聞かせるための言い訳に違いありません。
力なく「おもろない」と一言だけ言って、その場を立ち去って行った千さんの背中もまた切ない。
そして何より、大山社長の解散宣言を「見限られた」という言葉で表現した一平くんの気持ちを思うとやりきれません。
しかし大山社長を責めるわけにもゆきません。
大山社長のことです。
よっぽどの考えがあっての決断だったのでしょう。
追い詰められた人々の気持ちがヒリヒリと伝わってくる回でした。
次週へのフラグ?
福助くんが大事にしていたみつえちゃんの覚悟。
そしてみつえちゃんの実の母であるごりょんさんの岡安再興への覚悟。
二人の覚悟に心が震えました。
ところで、みつえちゃんが文字通り命がけで福助くんが大事にしていたトランペットを守り抜いたのは、福助くんそのものを失いたくないという気持ちからでしょう。
みつえちゃんにとって福助くんの存在がどれほど大事なのかがよくわかりました。
今回のみつえちゃんの描写、次週へのフラグなのかもしれません。
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割烹着に白たすき掛けのご婦人達。
朝ドラで太平洋戦争を扱うと必ずと言ってよいほどに登場するので、これまではそんなものかとただ眺めていただけでしたが、今回、ちょっと調べてみました。
ドラマで登場したのは<大日本婦人会>
これは実在した組織名なのですね。
1942年に創設されて、大政翼賛会の下部組織に位置付けられ、全階層の女性を国家総力戦体制に動員することを目指して活動したとあります。
で、それ以前は、
1.愛国婦人会 内務省・厚生省系
国防及び戦死者の遺族・傷病兵を救う
農村託児所などの社会事業、各種学校扱いの講習科の設置などもあり
2.大日本連合婦人会 文部省系
学校教育への理解、家庭教育の振興などを掲げた
3.大日本国防婦人会 陸軍省・海軍省系
出征兵士の見送りや慰問袋の作成など、銃後活動を行った
などが、それぞれに活動していた。
割烹着に白たすきは大日本国防婦人会の<会服>からのもので、集団内での「着物競争」を防ぐためだったが、防空演習や労力奉仕での非活動性が批判を受けるようになりもんぺにとってかわられた、とあります。
大日本国防婦人会も、当初は軍とは関係ない一般婦人が集まり<大阪国防婦人会>として始まったとのこと。
(ここまで大日本国防婦人会と書いてきましたが、国防婦人会なのか大日本国防婦人会なのか、良く解りません。
一つの資料の中で両方が使われている・・・)
それにしても、愛国婦人会講習科として始まり、現在も高等学校として続いている機関があるなど、調べてみたら目から鱗です。
一平~
千代ちゃんに1人でやらせないで~
( ̄▽ ̄;) ( ̄~ ̄;) ( ̄□ ̄;)!!
(-A-) (-A-) (-A-) ← ざっくぅ
おしまい
みんなそれぞれの大切なものを奪われてしまうのが、見ていて辛いです。
私たちは戦後を生きて来て、その後の世の中のことを知っていますが、真っ只中に生きていた人たちはどれだけ不安の中にいたことでしょうね。
みつえちゃん、さすがにごりょんさんの娘だけあって肝が太いです。
イギリス人は非常時にもユーモアを忘れませんでしたが、日本人はどんどん悲壮感に傾いていきます。喜劇を楽しむ余裕などとうに無くなっていたのですね。愛国婦人会の人あっさり引き下がってくれて良かった。みつえちゃんの捨て身のファインプレーでした。岡安を離れないシズさん。大阪大空襲の時が心配です。別のドラマで前例があるだけに。あきらめの悪さばが千代の良いところでもあります。
諦めの悪い人達が織りなす泥臭い抵抗劇。
私は嫌いではないですよ(笑)
昨今のコロナ禍でも自粛だらけでもその中で何ができるのかを世界中が頭を捻って考えて色んなアイデアを振り絞ってきました。
暗い世の中だから不謹慎だと全てを投げ出すのは逆効果です。そういう時こそユーモアを忘れてはいけません。
TBSラジオで伊集院光さんは東日本大震災直後のラジオ番組で「悲しいこと、怖いこと、暗いことしか思いつかなくなったときは、ビックリするくらいくだらない事を考えて僕に教えてください。全部過ぎ去った後にくだらないことで笑える日が来ること祈っております」とコメントしました。
マイナス思考は人のエネルギーを吸い取ります。
そうなりませんように…。
みつえ「さあ殺って・・・・・・・・・!」
あれだけの形相見せるのは、借金取りから千代ちゃんを守った時以来・・・・・・・・?
1966年にNHK大阪が制作したドラマで、「おもろい男」という作品がありました。これは花菱アチャコさんの伝記ドラマで、アチャコさんには金田龍之介さん。横山エンタツさんにはエンタツさんの子息の花紀京さんが扮していました。原作、脚本を手掛けたのは藤本義一さん。天才監督川島雄三の弟子で直木賞作家というより大阪11PMの司会者として有名な人でした。当時7歳だった私はこのドラマをリアルタイムで見ていましたが、中国大陸に慰問に赴いたアチャコさん一行が、トラックで移動中に敵機の襲撃を受けて右往左往するシーンしか記憶に残っていません。
何故か、NHKのドラマでは、この後も「こころはいつもラムネ色」、「わろてんか」そして今回の「おちょやん」と三度にわたってアチャコさんを登場させています。これは「おもろい男」を制作した時に収集した時代考証の資料や、モデルとなった実在の人物に関する資料が多数保存されていて、この財産を定期的に有効活用しているのではないかという気がするのです。「おちょやん」での芝居茶屋の描写には前述した「ヨーイどん」の時に集めた資料が多いに役立っていると思われます。これは,民放ではなかなかできないNHKならではの技だと思います。