あんぱん

のぶが退院する / あんぱん 最終回/第130回

2025/9/26(金)最終週/第26週「愛と勇気だけが友達さ」

あらすじ

のぶの手術の一週間後。嵩がのぶの病室に入ると、気丈に振る舞うのぶはいつものように嵩に微笑みかけました。ほどなくして、のぶは退院。退院はできたものの、自分がいなくなった後の嵩のことがのぶは心配でした。

のぶは自分がいなくても大丈夫かと嵩に問い、あと少ししか一緒にいられないかもしれないとつぶやきました。続けてのぶは言いました。嵩は本当に優しい、そんな優しい人の妻になれた自分は世界一の幸せ者だと。

のぶは、一番大好きな歌を歌ってほしいと嵩にリクエスト。のぶがリクエストしたのは、没になったアンパンマンの主題歌でした。嵩に歌ってもらったのぶは、命の終わりはすべての終わりでなく受け継がれていくものだと嵩に語りました。

それから五年間、のぶは病気が治ったかのように元気に過ごしました。元気になったのぶは、子供たちへアンパンマンの読み聞かせをその後も続けました。そして、のぶは嵩に言いました。「嵩さんはうちのアンパンマンや」

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最終週/第26週
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感想

クライマックスへの懸念

本作『あんぱん』の制作がリリースされてすぐのタイミングで、アンパンマンのこともやなせたかしさんのことも何も知識がないブログ主は、やなせたかしさんに関する本を読みました。

そして、やなせたかしさんの生涯を知る中で、本作について心配なことが出てきました。

それは、主人公夫婦の永遠の別れの場面が結末で描かれることになりそうだということです。

やなせたかしさんは奥様に先立たれていたからです。

主人公夫婦の永遠の別れはこれまで朝ドラの中でも繰り返し描かれてきました。

そんな描写の中でも、ブログ主が特につらすぎて直視できないのは妻に先立たれる夫の描写です。

当ブログがフォローした朝ドラのいくつかはそんなクライマックスが描かれました。

『マッサン』は、妻に先立たれて独り身になった最晩年の主人公の描写から始まり、妻との永遠の別れが物語の最終回でした。

『エール』も主人公は妻に先立たれました。

『エール』では、主人公が妻と出会った頃の姿になって、それまで病床にいた妻の死が暗示されました。

しかし、妻に先立たれる結末を迎えながらも永遠の別れの瞬間を回避した作品もありました。

『らんまん』です。

『らんまん』では、妻の描写は衰弱するところまで。

それから数年スキップし、一人ぼっちになった最晩年の主人公の後ろ姿。

主人公が妻を亡くす場面が上手にスキップされたことはブログ主には救いでした。

そんなわけでブログ主は『あんぱん』は最悪の場合でも『らんまん』パターンで終わってほしいと切に願っていました。

そして迎えた最終回。

とても素敵な最終回でした。

前回、のぶちゃんは入院し余命数ヶ月と宣告。

しかし、そこから何年も生き延びるという奇跡の展開。

これは史実をモチーフにしたエピソードです。

史実では、リアルのぶちゃんはすっかり元気になったため丸山ワクチンの投与を中止。

リアル嵩くんもそれを気に留めてはいなかったのだとか。

するとリアルのぶちゃんの病状は再悪化しついに帰らぬ人に。

この、リアルのぶちゃんがすっかり元気になった後のエピソードはドラマの中では完全に省略。

永遠の別れはしっかりと回避され『らんまん』よりも安心のクライマックスとなりました。

半年間ありがとうございました

上にも記したとおり、本作が始まるまでブログ主はアンパンマンのことも、やなせたかしさんのことも全く知識がありませんでした。

アンパンマンはその名前だけは知っていましたが一度も見たことはありませんでした。

『手のひらを太陽に』は小学校で散々歌わされたのでよく知っていましたが、作詞家がアンパンマンの作者と一緒なんていうことすら知りませんでした。

そんなブログ主が今ではアンパンマンにハマり、やなせたかしさんの世界にハマっています。

作品の背景、作者の背景を知るだけでこれだけ評価が変わってしまうわけです。

もともとアンパンマンが大好きだった人や、やなせたかしさんの大ファンだった人は、ブログ主の想像も及ばぬような感動をしているものと思われます。

そんな深い感動を体験した方に、日々浅い感想をお届けしてしまったことを最後にお詫び申し上げます。

次回作でも小泉八雲の熱心なファンの方には申し訳ないのですが、浅いなりにブログ主なりに精一杯の感想をお届けします。

次回作も当ブログをよろしくお願いいたします。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

一時は、自分に残された時間はわずかしかないと覚悟したのぶちゃん。

しかし、奇跡的に5年も生きながらえた姿が描かれドラマは完結。

最期の別れという悲しすぎる場面は描かれないようです。

では、史実ではリアルのぶちゃんとリアル嵩くんの別れはどのようなものだったのか。

以下にまとめてみました。

「アンパンマンの勲章を観る会」

1991年(平成3年)、リアル嵩くんは勲四等瑞宝章を受章。

大勢の知り合いにお祝いしてもらったリアル嵩くんは、そのお礼にと「アンパンマンの勲章を観る会」と銘打ったパーティーを開くことにしました。

赤坂プリンスホテルで開かれたそのパーティーはリアル嵩くんがショーを企画。

リアルのぶちゃんはパーティー嫌いでしたが、こんなに楽しいと分かっていたら私の友だちも招待したかったと大喜び。

そこでリアル嵩くんは、もう一度やるのでリアルのぶちゃんの友達を全員招待しようと約束しました。

しかしその頃、リアルのぶちゃんの体調は再び悪化し始めていました。

それまでリアルのぶちゃんは丸山ワクチンを1日おきに投与していました。

しかし、ガンが全身に転移していることを知らされていなかったリアルのぶちゃんは、体調が良くなったことで丸山ワクチンを打つのやめていました。

しばらくの間、その事実をリアル崇くんは知りませんでした。

そして、丸山ワクチンの投与をやめた事実をリアル嵩くんが知って、丸山ワクチン投与の再開をすすめてもリアルのぶちゃんは拒んでいたのです。

「アンパンマン20周年の未来を祝う会」

1993年(平成5年)7月、リアル崇くんはリアルのぶちゃんと約束したパーティーを開くことにしました。

パーティーのタイトルは「アンパンマン20周年の未来を祝う会」。

リアルのぶちゃんはその日が来るのを楽しみにしていましたが、パーティーの直前に容態が悪化し車椅子なしでは参加できないような状態に。

しかし車椅子に乗った姿を人に見せたくないというリアルのぶちゃんの気持ちをリアル崇くんは大事にし、リアルのぶちゃんは欠席。

リアルのぶちゃんのために開かれたパーティーはリアルのぶちゃんが不在のまま開かれました。

その四ヶ月後の11月13日、リアルのぶちゃんの容態が急変しました。

リアルのぶちゃんの最期

リアルのぶちゃんは東京女子医大病院に緊急入院。

リアル崇くんは毎日病院に通いました。

丸山ワクチンの投与も再開し少しは顔色が良くなるものの医師からは絶望的と宣告されました。

入院から8日が経過した11月21日、その日リアルのぶちゃんはいつになく元気でした。

その日、病室で見ていたテレビに偶然リアル崇くんが出演し、そのことを大喜びしました。

その日の夜、リアル崇くんが病室に行くと、リアル崇くんが大丈夫かと心配になるほど、リアルのぶちゃんはおしゃべりをしました。

その翌朝。

リアルのぶちゃんは意識不明になりました。

その日の午後4時、リアルのぶちゃんはリアル崇くんに手をにぎられながら息を引き取りました。

享年75歳。

余命3ヶ月の宣告を受けた日から、リアルのぶちゃんは6年も生きることができました。

一方のリアル崇くんは、両親、弟、叔父叔母の最期を看取ることはできませんでしたが、最愛の妻を手を握りながら見送ることができました。

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POSTED COMMENT

  1. 名乗るほどの者ではない より:

    ワイは弘兼先生作品では「人間交差点」と「ハロー張りネズミ」は好きだが「島耕作」は苦手、柴門先生の作品では「家族の食卓」と「僕の歌は君の歌」は好きだが「東京ラブストーリー」や「あすなろ白書」は苦手
    というワイにとって極端にスキキライが分かれるこの夫婦作品ですが、ふと思ったのが「黄昏流星群」(これは好きのカテゴリー)を柴門先生が描いたら八木と蘭子のようなストーリーになるのかなと、あくまでもワイの偏見ですが

  2. そうは、言っても心に残るシーンが多かったのも事実、特に釜じい(吉田鋼太郎さん)とヤムおじさん(阿部サダオさん、本当は旧仮名のオだけど変換できなかった)件は泣かされました。

  3. 総評です。このドラマ、及第点以上だと思いますが、漫画家の奥さんの伝記朝ドラとしては、個人的な好みもあるけど「ゲゲゲの女房」の方が良かった。中園ミホさんの仕事としても朝ドラでは「花子とアン」が優れていて、朝ドラ以外だと「ドクターX」がダントツです。(特に第三シリーズ最終回は、屈指の名編です。)褒めるつもりが辛口になって申し訳ありません。どうしてもお話の焦点があちこちぶれているような気がして。まあ耄碌爺の戯言だと思って聞き流して下さい。

  4. よるは去った より:

    林田N「アンパンマンは飛び続け・・・・。」

    「サザエさん」「ドラえもん」がそうであるように「アンパンマン」も原作者やなせたかし先生他界の後も誰かに支えられ続けられる存在であってほしい。

    エエ年齢になって十数年経った現在もテレビで放映されている「アンパンマン」を視る度に心癒やされる自分がいます。

  5. ばなななち より:

    命や正義などのテーマを通して感じた最高のドラマでした
    長い週に渡って戦争の時代を映していましたが、
    戦争の空気感や悲しみを感じることで、後半のアンパンマンが産まれた理由の感動に繋がっていて本当面白い作品でした!!

    たかしくんはアンパンマンの先生、のぶちゃんはアンパンマンの先生の奥さん
    2人ともなにものかになれて本当良かった
    ハッピーエンドで本当よかった

    半年間ブログありがとうございました!
    楽しく読ませていただいています!
    次作もよろしくお願いします
    ほいだらね!

  6. おむすび→あんぱん→ばけばけ より:

    最後にやなせたかしさんはNコンの課題曲も3曲作詞されている。1975年の「夕焼けに拍手」と1985年の「花と草と風と」と東日本大震災があった2011年の「ぼくらは仲間」などいずれも小学校の部だけど。この2年後の2013年にやなせたかしさんは他界している。2011年のNコンの審査発表の間のスペシャルステージではドラマにも出てきた「アンパンマンのマーチ」を小学生たちが合唱している。

  7. おむすび→あんぱん→ばけばけ より:

    最後はいい終わり方だったのでは、のぶちゃんの退院した後「来年は崇さんと一緒に桜を見ることはできないけど」と言っていた桜のところをのぶちゃんがかけぬけてあんぱんは終わり。のぶちゃんは奇跡的に生き延びたどころか足の速いところを見ると少し若返ったような感じにも見えた。少し残念なのは八木さんと蘭子ちゃんのその後がどうなのかが書かれていなかったのも少し気になるけど、結局メイコちゃんの娘2人の登場があまりなかったのと成長した姿は見ることができなかったのが惜しい。一度だけでも出番があって欲しかったなあ。

  8. あさのあさみ より:

    ほぼ二人芝居、切なくて優しくて穏やかな最終回でした

    どうにもビミョーだった前作からの王道朝ドラだと期待して見始めましたが、良い意味で期待を裏切られました
    軍国主義に染まるヒロイン、ヒロインを登場させず2週間にも渡る過酷な戦場描写、全然王道ではありませんでした 
    何者にもなれなかったと泣くヒロインには多くの女性が共感したことでしょう
    中園ミホさん、たくさんのヒット作があるベテラン脚本家ですが、今作は1番力を入れて執筆したのではないでしょうか?

    それにしても「アンパンマン」
    子供が好きだったので、テレビも見てたし、映画も見たことあるし、絵本もあるし、CDだってまだ我家にあります(改めて歌詞カードをみて作詞が全てやなせ先生だったと初めて知りました)
    子供向けだと完全に軽く見てましたが、今回、アンパンマンにこんなにも哲学的で深い意味があったのかと知って驚きました

    朝蔵さん今作も感想解説ありがとうございました
    小泉八雲については全く詳しくないので、次作も楽しみに、頼りにしています

  9. なんか、素直に泣ける最終回。「たとえ命が終わるとしても。」余りにもシンクロし過ぎる歌詞。生まれ変われるとしても、切ない。夫婦の余生、五年の猶予。子供達の心に、夫婦で作りだした作品が残り続けるとしても。悲しい。やはり朝ドラ受けは今田さん。

  10. 名乗るほどの者ではない より:

    総括感想
    ワイはアンパンマンよりおむすびまんの方が圧倒的に好きやわ
    おしまい

  11. YH より:

    いやぁ、遂に終わってしまいましたね。
    優しい余韻を残して、良い終わり方でした。

    楽しくも色々と考えさせられる半年間でした。
    「虎に翼」もそうでしたが、戦争の前後で主人公と周囲の人生が激変し、志半ばで亡くなった方々の思いに触れることは、国内外で戦争に関する環境が悪化する中、大切なことと思います。

    毎回、最終回にコメントしていますが、今回も楽しませて頂きました。
    次回作「ぱけぱけ」へのコメントも楽しみにしています。

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