NHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ばけばけ』
2025年12月15日 〜 12月19日放送
あらすじ
怪談に夢中になるヘブン
ヘブンが一週間続けて金縛りに遭いました。そこでトキの提案により、ヘブンは大雄寺でお祓いを受けることになりました。
大雄寺の住職はヘブンのことを気に入り怪談を語って聞かせました。住職が語る怪談にヘブンは夢中になりました。
ヘブンに怪談を語るトキ
帰宅後、怪談に強い興味を示すヘブンにトキが言いました。自分も怪談が大好きだ。怪談はたくさん知っているのでいくらでも話ができると。
その日以来、毎晩トキはヘブンに怪談を語って聞かせました。そして、トキとヘブンの間には特別な感情が芽生え始めていました。
銀二郎からの手紙
トキはヘブンに熱心に怪談を聴かせました。しかし、トキがヘブンに怪談を教えることはヘブンの日本滞在記が完成に近づくことを意味していました。
トキはヘブンとの別れを意識し始めました。そんなある日、トキに宛てて手紙が届きました。その手紙の差出人は銀二郎でした。
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今週の展開
56: 12/15(月)
57: 12/16(火)
58: 12/17(水)
59: 12/18(木)
60: 12/19(金)
予習レビューと史実のリアルエピソード
今週はドラマの中で二つの怪談が語られます。
語られる怪談は『水飴を買う女』と『鳥取のふとんの話』。
それぞれのあらすじは以下の通りです。
怪談『水飴を買う女』
中原町には、ひっそりとした路地に、小さな飴屋の店がありました。その店では、昔から「水飴」と呼ばれる甘い飴を売っていたのです。水飴というのは、麦芽から作られる琥珀色に透きとおった糖液で、母乳が出ない子どもに与える栄養代わりの食べ物としても、昔の人々に親しまれていました。素朴ながらも、どこか命をつなぐ尊い甘味であったのです。
その飴屋には、毎晩、夜が更けて人通りも途絶えたころに、ひとりの女が訪ねてきました。女は白い着物を身にまとい、顔色は紙のように青ざめており、どこかこの世の人とも思えないほどやつれて見えました。彼女は決まって水飴を一厘分だけ買い求めるのです。飴屋の主人は、女のあまりの痩せぶりや不気味なほどに血の気を失った顔を見て、不審に思わずにはいられませんでした。何度も親切心から「どうなさったのですか」と声をかけましたが、女は一言も答えることはなく、ただ黙って去っていくばかりでした。
とうとう、ある晩のことです。飴屋は女の正体を確かめたいという好奇心にかられ、思い切って女のあとをこっそりつけてみることにしました。すると、女は町外れの暗い道を通り抜け、やがて墓場の方へ歩みを進めていったのです。飴屋は恐ろしさに身を震わせ、とうとう最後までついていく勇気がなく、慌てて自分の店へと戻ってしまいました。
しかし翌晩になると、女はまた飴屋を訪れました。けれどもその夜は水飴を買おうとはせず、店の前に立ったまま、じっと飴屋を見つめながら「一緒に来てください」とでも言うように、しきりに手招きをしてくるのです。飴屋は不気味に思いながらも、今度こそ確かめようと決心し、友人を誘い合わせて女の後を追いました。そして、彼らは女とともに再び墓場へと足を踏み入れていったのです。
やがて、とある大きな石塔の前までたどり着いたその瞬間、女の姿はぱっと掻き消えるように消えてしまいました。驚いて立ちすくむ一同の耳に、地の底から赤ん坊の泣き声が聞こえてきたのです。皆で力を合わせて石塔を動かしてみると、そこには信じがたい光景が広がっていました。墓の中には、毎夜水飴を買いに来ていたあの女の骸が横たわっており、そのすぐそばには、生きた赤ん坊がひとり、提灯の明かりを見つめながら、まるで安心したかのようににこにこと笑っていたのです。
さらに赤児の横には、小さな茶碗が置かれており、その中には水飴が入っていました。どうやらこの母親は、まだ息絶えぬうちに生きたまま葬られてしまったのでしょう。そして墓の中で赤児を産み落としたのです。哀れにも、母の体はやがて冷たくなってしまいましたが、それでも母の魂は子を想う気持ちを捨てず、幽霊となって夜な夜な飴屋を訪れ、水飴を求めては、自らのわが子に食べさせていたのでした。
怪談『鳥取のふとんの話』
鳥取の町でのことです。そこに新しく、小ぢんまりとした宿屋が開業しました。まだ人々にあまり知られていないその宿に、最初の宿泊客として訪れたのは、一人の旅商人の男でした。初めての客を迎えた宿の主人は胸を弾ませていましたが、思いもよらぬ出来事が待ち受けていたのです。
その夜、深い眠りに入っていた旅商人は、ふとんの中からかすかに聞こえてくる声に目を覚ましました。「あにさん寒かろう」「おまえこそ寒かろう」――それは子どもらしい幼い声であり、しかし確かに自分のすぐそばから響いてきました。商人は恐怖にとらわれ、これは幽霊の仕業に違いないと思い込み、慌てて宿の主人に訴えました。けれども主人は「そんな馬鹿なことがあるものか」と取り合いませんでした。
ところが、その後も宿屋に客があるたびに、同じ怪異が繰り返されました。宿泊客は皆、夜半になるとふとんから子どもの声が聞こえると口をそろえて言うのです。そしてとうとうある夜には、宿屋の主人自身がはっきりとその声を耳にしました。「あにさん寒かろう」「おまえこそ寒かろう」――寒さに震える兄弟のやり取りのような声でした。
主人はついに事の真相を突き止めねばならないと考え、そのふとんを手に入れた古道具屋を訪ねて事情を問いただしました。すると古道具屋は、重い口を開き、悲しい出来事を語り始めたのです。
そのふとんは、鳥取の町はずれにある小さな貸家の家主から買い取ったものでした。その貸家には、貧しい夫婦と、まだ幼い二人の男の子が暮らしていました。しかし運命は残酷で、両親は相次いで亡くなってしまい、幼い兄弟だけが取り残されたのです。二人は両親の形見である家財や着物を少しずつ売り払い、どうにか命をつないできましたが、ついに残されたのは一枚の薄いふとんだけになりました。
大寒の日、兄弟はその最後のふとんに身を寄せ合い、「あにさん寒かろう」「おまえこそ寒かろう」と言いながら、必死に寒さをこらえていました。ところがそこへ冷酷な家主がやって来て、家賃の代わりだと無情にも最後のふとんを取り上げ、二人を家から追い出してしまったのです。行くあてもない兄弟は、雪の舞う中をさまよい歩き、ついには追い出された家の軒先に身を寄せて、互いの体を抱きしめ合いながら眠りにつきました。
その夜、神様は凍える兄弟に憐れみをかけ、真っ白で温かな新しいふとんをそっと掛けてくださいました。二人はもう寒さも恐怖も感じることなく、穏やかな夢の中に沈んでいきました。やがてしばらくして、雪に埋もれた二人の小さな亡骸が見つかり、千手観音堂の墓地に葬られることになったのです。
この話を聞いた宿屋の主人は胸を痛め、哀れに思いました。そこでふとんを持って寺へ赴き、可哀そうな兄弟の魂を慰める供養をしてもらったのです。それ以来、不思議な声はぴたりとやみ、ふとんがものを言うことも二度となくなったということです。
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