2024/9/19(木)第25週「女の知恵は後へまわる?」
あらすじ
寅子の名を知る美佐江にそっくりな少女・美雪は、同級生の少年を階段から突き落とし負傷させた疑いで、家裁で調査を受けていました。程なくして、寅子は美雪の審判を行うことになり、美雪は泣きながら自分がやったことを認めました。
昭和46年(1971年)冬、涼子が司法試験に合格し、その報告のために上京。星家にやってきました。その日、よねも来て涼子を祝福。よねは弁護士にはならず、学生たちに法律を教える場を作るつもりだと寅子とよねに告げました。
一方、美位子の事件の上告はなかなか受理されませんでした。しかし美位子は、よねと轟の事務所で働くことに居心地の良さを感じていました。そんな美位子によねは言いました。他人の悲劇を聞いて自分を安堵させるなら、ここにいるのはやめろと。
そんな中、思い詰めた表情で朋一が星家にやってきました。朋一は航一と寅子に告げました。裁判官をやめたい、裁判官として努力する意義を見失ってしまったと。朋一の気持ちを受け入れた航一は、その直後に桂場のもとに足を運びました。
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感想
美雪ちゃんの「涙の謝罪」
泣きながら自分のやったことを謝罪する美雪ちゃんの泣きっぷりがいかにも芝居くさい。
泣いて謝っているのではなく、泣いて謝ったフリをしながら、心の中ではトラちゃんを見下しているのは明らか。
ドラマの中では美雪ちゃんの正体は明らかにされていないので、このページの本欄では美雪ちゃんの正体は伏せておきます。
しかし美雪ちゃん、そっくりだった美佐江ちゃんと同じくらいしたたか。
美雪ちゃんの泣く姿を見て思い出したことがあります。
それは、美佐江ちゃんのお父上が三条支部に怒鳴り込んできたときのこと。
お父上いわく、美佐江ちゃんは犯罪者扱いされたことにショックを受け憔悴しきっていたのだとか。
ところがその直後にライトハウスにいた美佐江ちゃんはトラちゃんはいつも通り。
犯罪者扱いされてショックを受けたことなど感じられませんでした。
それどころか自分を犯罪者扱いをしたトラちゃんの後ろ姿を見てニヤリ。
これはブログ主の憶測ですが、美佐江ちゃんは嘘泣きをしてお父上に訴えたのに違いない。
自分は犯罪者扱いされたと。
そして嘘泣きでお父上を動かしトラちゃんに圧力をかけることができると算段したのでしょう。
美佐江ちゃんの嘘泣きはドラマの中では描かれはしませんでしたが、嘘泣きしたことは容易に想像がつきます。
その美佐江ちゃんの嘘泣きと同じことを美雪ちゃんはしたのではないか。
そんな気がした、美雪ちゃんの「涙の謝罪」でした。
涼子さまの物語のエンディング
涼子さまが再び上京。
そして涼子さまがお店の名前を「ライトハウス」にした理由もようやく見えてきました。
育ちの良い涼子さまにとって、かつてよねちゃんが男子学生の股間を蹴り上げたことはかなりのインパクトのある出来事だったらしい。
と同時に涼子さまにとっては、自分自身の在り方を主張してもいいんだと気づくきっかけでもあったのでしょう。
戦後、華族制度が失われ、涼子さまはひとかたならぬ苦労をしたはずです。
しかも、普通の人の苦労なら同情が集まりますが、涼子さまに集まる同情は、きっと「ざまあみろ」という感情をたっぷりと含んだ同情だったに違いない。
そんな同情に反発しようとする涼子さまの心の支えがよねちゃんの股間キックだったのでしょう。
そして涼子さまの言葉を借りると「いつも心によねさんを住まわせていた」と言うことですが、心によねちゃんを住まわせてあることを忘れないために、店名をライトハウスにしたのかも。
そして「世の中への私なりの股間の蹴り上げ方」として司法試験に挑戦。
弁護士になれなかった人ではなく。弁護士になれたのにならなかった人の道を選びました。
涼子さまの生き様、美して凛々しい。
涼子さまの波乱に富んだ人生の物語も、最終週を目前にしてようやくエンディングを迎えたようです。
追伸:一方のよねちゃんは涼子さまが学生時代に放った言葉を根に持っていたようです。
「お気立てに難がある」
こんな耳慣れないフレーズ、よねちゃんよく覚えてました。
朋一くんの心が折れる
朋一くんの心がついに折れてしまいました。
「家裁で頑張れると本当に思ってた」
「司法をよりよくしたかった」
「何のために頑張るのかわからなくなった」
朋一くんの失意が伝わってきます。
しかも、奥様から突きつけられた離婚。
朋一くん、人生最大の危機かも。
朋一くんの失意を受け止めた航一さんが向かった先は桂場さんのいるところ。
次回、航一さんと桂場さんのバトルが展開されるのでしょうか。
予習レビューと史実のリアルエピソード
今週、トラちゃんは法制審議会少年法部会の委員に任命されます。
法制審議会とは、法律の内容を検討することが目的です。
今週のドラマで描かれる昭和45年、少年法の対象年齢を引き下げるか否かの議論が法制審議会の少年部法会で行われ、そのメンバーの一人がリアルトラちゃんでした。
今回の本欄では、法制審議会少年法部会でのリアルトラちゃんの活躍をご紹介します。
そもそも法制審議会とは
法制審議会には、裁判所、検察庁、日本弁護士連合会、そして有識者から委員が選ばれ、法改正が必要か否かを議論。
議論の結果出された答申をもとにして法務省が法律の改正案を作成します。
しかし、リアルトラちゃんが委員として参加した法制審議会少年法部会は、審議会での議論が始まる前から法務省が「改正要綱」を作成。
結論ありきの議論が強引に進められたため議論は紛糾しました。
リアルトラちゃんと少年法部会の関わり
少年法部会は昭和45年7月より昭和51年12月までの6年半の間に計70回近く行われ、その大部分にリアルトラちゃんは参加しました。
少年法部会が行われた場所は東京の法務省の一室。
少年法部会が続けられている昭和47年6月から翌年の11月まで、リアルトラちゃんは新潟家庭裁判所に異動となりました。
しかし、その際にリアルトラちゃんに委員を続けさせてほしいという声が上がりました。
そのためリアルトラちゃんは、少年法部会が開かられる日は新潟から上京するという異例の対応を求められたのだそうです。
少年法部会でのリアルトラちゃんの立ち位置
少年法部会で議論されたのは、少年法の対象年齢を引き下げるか否かという点でした。
少年法の対象を「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げること。
そして、18歳、19歳は少年ではなく「青年」として、大人と同等の刑事手続きの対象とすること。
起訴・不起訴の判断は検察官に委ねること、などの法改正の是非が議論の対象となっていました。
少年法部会では、少年法の対象年齢を引き下げに賛成する者が多数。
少数派である少年法の対象年齢を引き下げ反対派の一人がリアルトラちゃんでした。
リアルトラちゃんが、少年法の対象年齢を引き下げに対して反対の立ち位置にいた理由は次のとおりです。
リアルトラちゃんが少年法の対象年齢引き下げに反対した理由
少年の非行の原因の大半にありました。
なので、非行少年の更生を促すにあたり、少年だけでなく家庭の状況も調査し、家族の指導も必要だとリアルトラちゃんは考えていました。
しかし少年法の対象年齢引き下げによって、大人と同じ対応がされた場合、家庭の状況の把握や、家族の指導が出来なくなる。
その結果、更生の機会が失われてしまう。
それが、リアルトラちゃんが少年法の対象年齢引き下げに反対した理由でした。
少年法部会での議論の概要
法制審議会少年法部会の目的は少年法の対象年齢を引き下げの是非を議論することでした。
しかし、法務省が作成した「改正要綱」を前提とした結論ありきの議論が進められました。
そのため、家庭裁判所は反発。
多岐川さんの実在モデルである宇田川氏は、法務省の「改正要綱」に反対する「決議文」を作成しました。
この「決議文」の草稿を作った一人がリアルトラちゃんでした。
さて、結論ありきの強引な議論だっため、部会は常に紛糾。
法務・検察グループと、家裁・弁護士グループは激しく対立し、険悪極まりない空気に包まれることもしばしば。
そんな空気をリアルトラちゃんは和らげ「菩薩さん」とまで呼ばれるように。
最終的に、少年法の対象年齢の引き下げは撤回。
しかしその一方で、検察の関与を強める内容で中間報告がとりまとめられました。
その結果に対してリアルトラちゃんは「私たちができたのはここまで(少年法の対象年齢の引き下げ)」と失望の言葉を残しています。
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音羽さん、なかなかストレートに自分の意見を言う。寅子さんは彼女に昔の自分をみているのかな。何か美雪さん本当の事を言っているのかな、涼子さん司法試験合格。でも弁護士にはならない。よねさんの美位子さんの忠告。言葉はキツイが愛がある。最後に朋一さんの爆弾発言。なんか今回は人の生き方についての回かな。桂場さんに会いに行く航一さん。果たして?