2025/6/24(火)第13週「サラバ 涙」
あらすじ
のぶに見守られる中、次郎が息を引き取りました。次郎の初七日が過ぎ、のぶは朝田家に顔を出しました。ふさぎ込んでいるのぶに蘭子が言いました。そんな顔をしていると次郎が悲しむだろうと。そして蘭子は、のぶを静かに抱きしめました。
朝田家からの帰り道、のぶが御免与駅で高知に向かう汽車を待っていると、そこに軍服姿の嵩が汽車に乗ってやってきました。しかし、のぶも嵩も、お互いに気づかずにすれ違ってしまいました。
柳井家に帰った嵩が、千代子に真っ先に尋ねたのは千尋のことでした。千尋は戦死していました。千尋の死を知った嵩は一人つぶやきました。生きて帰ってきたのは自分よりも優秀な千尋の方がよかったのにと。
その翌日、嵩は朝田家を訪問。訪ねてきた嵩を迎えたのは釜次でした。すでに千尋の戦死を知らされていた釜次は、千尋の死を悼みました。一方、次郎をなくしたのぶは、心にぽっかりと穴が空いたままでした。
第18週
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感想
戦争は終わったものの、戦時中の回よりつらく悲しい回でした。
次郎さんの最期
今回が始まって早々、次郎さんが亡くなりました。
前回、次郎さんが危篤である旨の電報を受け取ったのぶちゃんが、節子さんとともに海軍病院に駆けつけると、喀血したらしい次郎さんは病牀で眠ったままでした。
次郎さんの手を取るのぶちゃん。
最後の力を振り絞ってのぶちゃんに何かを伝えようとする次郎さん。
しかし次郎さんの手は、のぶちゃんの手の中で力を失う。
脈をとった医師は無言で首を横にふるだけ。
泣くことも忘れたようなのぶちゃん。
泣き崩れる節子さん。
登場人物たちの仕草と表情だけで語られた悲し過ぎる次郎さんの最期でした。
のぶちゃんと嵩くん
次郎さんの初七日を終え朝田家に挨拶のために顔を出したのぶちゃん。
その帰り道、のぶちゃんが御免与駅で汽車の到着を待っていると、そこに復員した嵩くんが姿をあらわす。
駅舎を出て御免与の懐かしい風景を眺めているらしい嵩くん。
一方ののぶちゃんは、嵩くんに背を向けたまま到着した汽車に乗るために改札口へ。
完全なすれ違いで終わりましたが、今のタイミングでは二人とも再会したところでお互いに何を言ったらいいのか分からなかったかも。
そして嵩くんは柳井家へ。
柳井家に帰ってきた嵩くんが、千代子さんに真っ先に尋ねたのは千尋くんのことでした。
最愛の弟のことを嵩くんはずっと気にかけていたのでしょう。
残念ながら千尋くんは戦死していました。
まだ生きて帰ってこれた実感がわかないらしい嵩くん。
自分が帰ってこれた喜びよりも弟を亡くした悲しみを噛みしめている様子。
懐かしい柳井家に無事に戻ってこれたというのに、戻ってきて最初に感じる感情が深い悲しみだとは。
一方ののぶちゃんも次郎さんを亡くした悲しみの中。
大事な人を亡くした喪失感の中にいるのぶちゃんと嵩くんですが、二人の物語後半の展開が少しだけ見えてきました。
次週以降の数週間は、希望しかないような展開になりそうです。
ネタバレあり:次週以降ののぶちゃんと嵩くん
今回、のぶちゃんはこれから仕事を見つけるつもりだとカマジイに告げました。
そしてのぶちゃんは今週の放送の中で仕事を見つけます。
そこからの展開は、これまで以上に史実をモチーフにしたストーリーが展開されました。
次週、第14週以降では、のぶちゃんは新聞記者に。
一方の嵩くんは健ちゃんと廃品回収を開始。
しかし、少しづつ自分を取り戻す中でもっと文化的な仕事をやりたくなり、新聞記者の採用試験に挑戦。
第15週では、新聞社の入社試験に挑む嵩くんは、そこでのぶちゃんと再会。
嵩くんは新聞社に採用され、のぶちゃんと嵩くんは同僚の関係に。
第16週では、のぶちゃんと嵩くんが東京へ出張。
のぶちゃんはその後の人生に大きな影響を受けることになる薪鉄子代議士と出会い、一方の嵩くんは八木さんと再会。
第17週では、のぶちゃんが新聞社を退社し上京。
のぶちゃんは東京で薪鉄子代議士の秘書になるのではないかと予想しています。
そして第17週か第18週のどこかで、ついに嵩くんはのぶちゃんに対しての想いを告白できるようです。
そして第18週では嵩くんも上京。
のぶちゃんと嵩くんの東京での新生活が始まります。
予習レビューと史実のリアルエピソード
のぶちゃんが教師を辞める
今週は終戦の翌年の昭和21年(1946年)1月からスタート。
終戦から五ヶ月が経過するものの、食糧事情は厳しく朝田家も質素な食事を強いられる、登場人物たちはそんな状況です。
そして、そんな状況下でのぶちゃんが教師をやめる決断を下します。
今週のドラマの中では教育現場ではGHQ主導により軍国主義教育からの転換がはかられ、黒塗り教科書のエピソードも登場。
終戦をはさんで教える正義が正反対になり、それに悩んで教師を辞める人も少なくない。
のぶちゃんもその一人です。
のぶちゃんが教師をやめることを真っ先に報告するのはもちろん夫の次郎さんです。
でも、報告を受けて次郎さんは驚きません。
やっぱりそうか、そんな気がしたと応える次郎さん。
のぶちゃんが教師をやめることを次郎さんは予測していたようです。
さて、のぶちゃんが教師をやめるフラグは戦時中の場面でいくつも立っていました。
特に次郎さんと結婚してからののぶちゃんの教師という職業への迷いの描写はすべてがフラグでした。
ところでのぶちゃんは、終戦後の最初の登校日で今まで教えていたことがすべて間違っていたことを謝るのだそうです。
その時の子供たちの反応が脳裏から肩ときも離れなくなり、のぶちゃんは教師を辞めることを決意。
体操の楽しさを子供たちに伝えたいというのぶちゃんの夢は失われてしまいます。
次郎さんの病状
今週、次郎さんの病状がますます悪化します。
肺結核を患い呉の海軍病院に入院している次郎さんですが、薬が不足し治療も十分に受けられない、そんな状況下での病状の悪化です。
のぶちゃんは学校を休んで病床の次郎さんに付き添う日々。
そんな中で、次郎さんは新たに大きな夢ができたとのぶちゃんに語ります。
戦時中、戦争が終わったら世界中の人たちの人生を写真に収めたいと語っていた次郎さんですが、それよりも大きな夢ができたのだそうです。
でも次郎さんはその夢を口では語りません。
次郎さん、その夢をノートに書くんです。
しかも、日本語の普通の文字ではなく速記の記号で書く。
だからのぶちゃんは記号の羅列を読めない。
その数日後、次郎さんの容態が急変し、のぶちゃんの手を握りながら次郎さんは息絶えてしまいます。
のぶちゃん、次郎さんが見つけた大きな夢は分からないままです。
次郎さんを亡くしたのぶちゃんのその後
次郎さんを亡くしたのぶちゃんはこの後どうなってしまうのか。
それが今週、すなわち物語前半の最後の週の最大のトピックかもしれません。
のぶちゃんは教師をやめた直後に次郎さんを亡くしたことで収入が途絶えます。
なので、仕事を見つけなければなりません。
クラバアはしばらく朝田家にいてもいいと言ってくれるものの、羽多子さんは甘えるなと厳しい。
息子を亡くした義母をしっかり支えてやれというのが羽多子さんの考えです。
では、息子を亡くした義母の節子さんはどうなるのか。
実は節子さんには長男がいて、長男夫婦が大阪に住んでいるらしい。
その家には孫もいるので、節子さんは大阪の長男のもとへ。
そして節子さんは、のぶちゃんにこう言うみたいです。
のぶちゃんは若いのだから若松の家に縛られることなく、幸せになってほしいと。
この節子さんの気づかいで、のぶちゃんと嵩くんの結婚の道がひらけます。
第18週
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千尋さんの最期は、どうも違ったようでうす。特殊潜航艇(回天?)の乗員に志願した彼は戦場の海域に赴く前に、潜航艇を載せた輸送船ごと撃沈されて、命を落としたようです。一応訂正です。
千尋さんのモデルとなった方が乗艦していた駆逐艦「呉竹」は、敵潜水艦を発見、攻撃して損害を与えますが、そののち別の潜水艦の攻撃で撃沈され、千尋さんのモデルとなった方も亡くなられました。また、生還した嵩さんが生還した事への悔恨と虚脱状態に苦しむ所は、塚本晋也監督の「野火」で地獄のようなフィリピンの戦場から生還した主人公がPTSD状態みたいになる場面を思い出します。この映画の原作の大岡昇平氏の小説「野火」は昔、市川崑監督、船越英二氏主演でも映画化されています。ちなみに、塚本監督版と市川崑監督版とでは結末が異なります。小説の方はまだ未読なので、読んでどちらが原作に近いか確かめたいと思います
釜次「お国のためじゃろと・・・・なくしてええ命は・・・・一つもない・・・・。」
愛弟子を失ってから、いやもしかしてその以前からずっと抱えてきた想いでしょうね。
蘭子「お姉ちゃんが・・・・何も食べんとしょんぼりしとったら・・・・次郎さん、」悲しむき・・・・。」
同じ悲しみを乗り越えて来たからこそですね。