あんぱん

柳井家を出て行く登美子 / あんぱん 第3回

2024/4/2(水)第1週「人間なんてさみしいね」

あらすじ

ある日、嵩と千尋はシーソーに乗って遊んでいるとのぶがやって来ました。嵩と千尋の関係を知らないのぶに嵩は説明ました。千尋は弟だが、千尋自身は東京での暮らしも、両親のことも、そして兄である自分のことも覚えていないのだと。

そんな中、登美子が嵩に告げました。高知に用事ができたのでしばらく留守にする。用事が終わったら迎えにくるので、それまでこの家で待っていてほしいと。その翌日、嵩は学校を欠席しました。のぶは嵩のことが心配でした。

学校を休んだ嵩は柳井家を出た登美子の後を追っていました。登美子はすぐに迎えに来るとだけ言うと嵩を振り返らずに去っていきました。その頃、登美子が置き手紙を残して出て行ったことで千代子は激しく動揺。一方の寛はすべてを知っていました。

ほどなくして、登美子は再婚するために子供を置き去りにしたのだと町の噂になりました。噂話を聞いたのぶは嵩のもとに足を運び、自分が嵩を守ると宣言。その日、のぶと嵩の心ははじめて通じ合うのでした。

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感想

登美子さん

3回目にして悲しすぎる展開です。

登美子さんが柳井家を出ていきました。

登美子さんが嵩くんの散髪をしながら言った言葉にブログ主は激しく反応してしまいました。

「母さんもこの絵、好きよ。でももう前を向かなきゃね」

という言葉です。

「この絵」とは、嵩くんが描いた家族の絵のことです。

登美子さんが「母さんもこの絵、好きよ」と言ったのは、半分は本当ですが半分は嵩くんを傷つけないためのクッションかと。

続けて登美子さんが言いました。

「でももう前を向かなきゃね」

これは過去を捨てようという宣言です。

この言葉、嵩くんに対して言ったというよりは、自分自身に対して言った言葉かと。

若くして夫を亡くして登美子さんも苦しんだことは間違いありません。

そして、その苦しみから逃れるために子供を置き去りにする。

というか、子供を置き去りにしてしまうほどの深い喪失感に苦しんだのかもしれません。

そして、御免与町を去っていく登美子さん。

パラソルをさす登美子さんは、決して嵩くんと千尋くんを振り返ろうとはしませんでした。

この場面、リアル嵩くんが絵に描いて残しています。

リアル嵩くんは、去っていく母の後ろ姿は「ごめんね」と言っているようだったと書き残しています。

ドラマの中の登美子さんも二人の子供に謝りながら去って行ったと思いたいです。

寛先生と千代子さん

登美子さんが再婚して家を出ることを寛先生だけはどうやら知っていたらしい。

登美子さんから告げられたのでしょう。

寛さんなら何も言わずにすべてを受け入れてくれそうなので。

登美子さん、いい意味でも悪い意味でも人を見る目があります。

一方で千代子さんは何も聞かされていなかったらしい。

登美子さんから聞かされていないのはもちろんのこと、寛先生からも聞かされていなかった様子。

寛さん、千代子さんにこの話をしたら騒ぎになると察したのかな?

騒ぎを起こさぬよう、寛さんは登美子さんをそっと出させてあげたのかもしれません。

寛さん、大きな人です。

一方でちょっと気掛かりなことが。

登美子さんが再婚するために子供を置き去りにした事実がなぜ町の人たちのうわさになっているのか。

この事実を知っているのは、寛先生と千代子さんの二人だけです。

寛先生は奥様にさえ言わないくらいなので、登美子さんの件を第三者に言うとは思えない。

すると千代子さんがしゃべったということになります。

千代子さん、案外口が軽いのかも。

千代子さんはもしかすると口が軽いのかな?と思わせる場面がもう一つあります。

それた、登美子さんが出て行った直後。

千代子さんは言いました。

あの親子は来たときから嫌な予感がしたみたいなことを。

人への疑いを安易に口にする千代子さん。

夫である寛先生と比較すると、何かと心配になってきます。

しかし寛先生が立派すぎるだけで、千代子さんは普通の人ということだけなのかもしれません。

のぶちゃん

今回の最後、のぶちゃんが嵩くんに言いました。

「嵩はうちが守っちゃる」

この一言が、第1回の冒頭で描かれた中年期ののぶちゃんと嵩くんにつながってくるのでしょう。

そして、のぶちゃんが嵩くんを守り支えるストーリーが始まった瞬間を見たような気がしました。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

のぶちゃんと嵩くんの出会い

この物語の冒頭がのぶちゃんと嵩くんの出会いの瞬間でした。

物語が少しだけ進んで、転校してきた嵩くんが初めて登校する場面でもなく、たまたま家が近所だったから知り合う場面でもなく、いきなり冒頭。

これだけでも十分すぎるほどインパクトのある出会い場面です。

それに加えて、二人の出会いの場面はのぶちゃんにとっては大好きなお父さんが出張から帰ってきたとき。

一方の嵩くんは、大好きなお父さんを亡くして悲しみの中、東京から御免与にやってきたタイミング。

二人は真逆の状況で出会いました。

さて、ドラマの中では小学生時代に出会ったのぶちゃんと嵩くんでしたが、史実の中でのリアルのぶちゃんとリアル嵩くんの出会いは、二人が成人してから。

さらにドラマの中では二人の出会いは戦前でしたが、史実の二人の出会いは戦後です。

なのでドラマに描かれたころ、二人はまだお互いの存在を知りません。

昭和初期、二人は何をしていたのか。

以下に簡単にまとめてみます。

二人が出会うまでのリアルのぶちゃん

リアルのぶちゃんこと小松暢さんは大正7年(1918)に大阪府生まれ。

リアル嵩くんが生まれたのは大正8年(1919年)ですが、リアル嵩くんは早生まれなので二人の学年は一緒です。

二人が出会うまでのリアルのぶちゃんも、ドラマの中で描かれるのぶちゃんと同様に「ハチキン」「韋駄天」などと呼ばれる足の速い女の子だったようです。

その足の速さは短距離走の県大会で優勝するほどの実力。

そして、ドラマの中ののぶちゃんと同様に、リアルのぶちゃんのお父さんも商社に勤務していました。

勤務先は、当時日本最大の総合商社だった鈴木商店。

リアルのぶちゃんが生まれたとき、お父さんは同社の大阪の木材部に配属。

そのためリアルのぶちゃんは大阪生まれです。

ところで『虎に翼』の中で主人公のお父さんが疑獄の容疑者として逮捕される場面がありました。

あの疑獄の舞台となった企業は鈴木商店と同じ財閥系の企業でした。

話を本作に戻します。

リアルのぶちゃんは6歳の時にお父さんを亡くしています。

成長したリアルのぶちゃんは女学校を卒業後に東京の会社で働いた後に結婚。

しかしご主人は終戦直後に病死。

戦後の混乱期、リアルのぶちゃんは自活するために高知新聞者の記者募集に応募。

採用されて同社の戦後初の女性記者に。

そして高知新聞社への就職がリアル嵩くんとの出会いに繋がります。

二人が出会うまでのリアル嵩くん

リアル嵩くんことやなせたかしさんが生まれたのは大正8年(1919年)。

ドラマの中の嵩くんは初登場時にすでに亡くなっているという設定ですが、リアル嵩くんも4歳のときにお父さんを亡くしています。

その後しばらく、リアル嵩くんはお母さんと弟の三人暮らしを始めます。

そしてリアル嵩くんが小学二年生のとき。

お母さんがリアル嵩くんに言いました。

あなたは身体が弱いから、大人になるまでお医者さんの家で預かってもらうと。

そして叔父が経営する柳瀬医院に連れてこられました。

まだ幼かったリアル嵩くんはお母さんの言葉をそのまま素直に信じたそうですが、お母さんは再婚したので、リアル嵩くんを叔父の家に預けたのです。

優しい叔父に我が子同然に育てられたリアル嵩くんは中学を卒業後は東京の美術学校へ進学。

美術学校を卒業後、製薬会社に就職するものの一年ほどで召集され軍隊へ。

戦地の中国から帰国し、故郷の高知でしばらく友人の家の仕事を手伝った後に、高知新聞社の記者募集に応募。

同社に採用されリアルのぶちゃんと出会いました。

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