あんぱん

高知新報を訪問するのぶ / あんぱん 第65回

2025/6/27(金)第13週「サラバ 涙」

あらすじ

闇市で渡された東海林の名刺を手に、のぶは新聞社「高知新報」に足を運びました。のぶは「高知新報」で仕事を求めるつもりでした。しかし、闇市で泥酔していた東海林はのぶのことを全く覚えていませんでした。

のぶはその場を立ち去ろうとしました。そんなのぶに対して東海林が提案しました。近く行われる入社試験を受けてみてはどうかと。「高知新報」では近日中に女性記者を募集する計画があったのです。のぶは入社試験に挑むことにしました。

入社試験でのぶは筆記試験と実地試験を通過。しかし、面接試験で試験官の一人・霧島が厳しい口調でのぶに告げました。のぶには戦時中に愛国の鑑として「高知新報」の紙面で紹介された過去がある。思想は簡単には変わらないと。

のぶは採用されるのを断念。一方、のぶが去った後に東海林が霧島に食い下がりました。のぶは戦後に苦悩する女性の代表だ。自分が責任を持つので採用してほしいと。東海林の訴えは聞き入れられ、のぶは「高知新報」に採用されるのでした。

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感想

のぶちゃんが新聞記者に

のぶちゃん、あやういところで東海林さんに救われました。

責任は俺が取る!と啖呵を切った東海林さん、男前だなと思わせたその直後に頼りなさを全開にさせていましたが・・・

それにしても、戦時中のぶちゃんの活動が愛国の鑑として新聞記事になったことが、戦後になって回収されるとは。

のぶちゃんが悔やんでも悔やみきれない過去に、今になって足を引っ張られるのぶちゃん。

ところで、面接をした三人の男性のうち中央の男性にとても違和感を感じました。

思想は簡単には変わらないと、その男性はかつての「愛国の鑑」に言ってましたが、他の何よりも戦争をあおったのは新聞社ではなかったか、という違和感です。

のぶちゃんを「愛国の鑑」と持ち上げた記事そのものが煽りです。

それはともかく、のぶちゃんが採用されたのはよかった。

朝田家の人々はちょっと心配していましたが。

今週の振り返り:二人の登場人物の死

戦争が終わって初めての週。

戦争が終わっても月曜から水曜日までの3回の放送はつらい場面が続きました。

のぶちゃんが教壇に立ち生徒たちに謝罪する場面から今週はスタート。

その後、場面は朝田家に移動。

朝田家の家族は、教師をやめてしまう人が多いらしいという会話をし、のぶちゃんのことを心配していました。

朝田家の家族が心配する中、やっぱりのぶちゃんは教師をやめていました。

すっかり目の輝きを失ったのぶちゃん。

子供らに体操の楽しさを教えたいと夢を語っていた頃ののぶちゃんの輝きは完全に消え失せていました。

夢が見つかると誰よりも速く走れるのぶちゃんですが、夢を失うとその反動から誰よりも落ち込んでしまうようです。

そして、沈んだ表情を浮かべたのぶちゃんが教師をやめたことを次郎さんは見抜いていました。

次郎さん、本当にのぶちゃんのことをよく理解している。

ところが・・・

のぶちゃんの最大の理解者である次郎さんがまさかの急逝。

次郎さんが亡くなった回には、もう一人、主要等人物が亡くなっていたことが判明しました。

千尋くんです。

のぶちゃんが失意のどん底にいる中で嵩くんが復員。

柳井家に戻った嵩くんが真っ先に千代子さんに尋ねたのは千尋くんのことでした。

千尋くんの戦死を知る嵩くん。

しかし嵩くんの反応は冷静でした。

嵩くん、千尋くんの戦死を覚悟していたらしい。

次郎さんの死と千尋くんの戦死、二人の死が語られたのが火曜日。

戦争は終わりましたが、戦時中よりもつらい回でした。

今週の振り返り:のぶちゃんと嵩くんの関係

そしてようやくのぶちゃんと嵩くんが焼け野原になった高知市内で再会。

戦前は、元気で明るいのぶちゃんが、引っ込み思案で暗い嵩くんを叱咤激励する。

それが二人の関係の定番でした。

しかし、嵩くんと焼け野原で再会したのぶちゃんは、心の中も焼け野原のようでした。

嵩くんを叱咤激励したあの明るさは微塵もない。

嵩くんも相変わらず沈み続けていました。

しかし、沈みながらも嵩くんの心の底では新たな希望が芽生え始めていました。

そして、嵩くんの心の中で芽生え始めた希望がのぶちゃんの心の再生のきっかけとなりました。

戦前までは、のぶちゃんが守る立場、嵩くんは守られる立場でした。

戦争が始まってからは、のぶちゃんは叱る立場、嵩くんは叱られる立場。

でも、焼け野原の場面で、やっと二人の立場は対等になったような気がします。

のぶちゃんと嵩くんの関係性に大きな変化が生じた記念すべき瞬間だったと思います。

そして、次郎さんが亡くなる間際に見つけた新しい夢を知ったのぶちゃんは、次郎さんが残した夢が自分の夢となりました。

のぶちゃん、全力疾走を再開。

一方の嵩くんも、健ちゃんの登場によってようやく笑顔を取り戻しました。

そんな中、のぶちゃんは新聞記者に。

のぶちゃんの人生が動き始めました。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

高知新報の東海林さん

次郎さんが亡くなる間際に見つけた「もっと大きな夢」をついに知ったのぶちゃん。

次郎さんの夢とは、のぶちゃんに全力で走ってほしいというものです。

その次郎さんの夢を叶えるために、のぶちゃんが再び全力で走り始めます。

のぶちゃんが走るのは速記の道。

次郎さんが生前に使っていた速記の本を使って速記の勉強を始めたのぶちゃんは、速記の練習をするために闇市へ。

どうして速記の練習が闇市なのか?

のぶちゃん、闇市の商売人と客のやりとりを速記で書き写すことで練習を積むらしい。

そしてのぶちゃんは、闇市である人物と出会います。

この出会い、のぶちゃんのこれからの人生の上で極めて重要な出会いです。

もしかすると、のぶちゃんと嵩くんの二人の今後の関係にとっても重要な出会いになるかもです。

さて、のぶちゃんが闇市で出会うのは酒に酔った二人の男です。

この二人、東海林さんと岩清水さんという名前で、二人はどうやら上司と部下の関係らしい。

酔っ払って機嫌が良くなった上司の東海林さんが、のぶちゃんががやっていることに興味を示します。

のぶちゃんがやっていることとは速記です。

のぶちゃんが東海林さんに説明します。

闇市でいろんな人の話を聞いて書き取っていると、戦後の混乱の中でもたくましく生きている人の会話に励まされているのだと。

のぶちゃんの話にすっかり感心した東海林さん、酔った勢いでのぶちゃんに言います。

新聞記者に必要なものをすべて持ち合わせている、君のような人を我が社は待っていた、君を我が社に採用する、と。

そしてのぶちゃんが東海林さんから手渡された名刺に印刷されていた社名は「高知新報」。

仕事を探していたのぶちゃんは、新聞社での仕事に賭けようと心に決める。

そんな出会いです。

ちなみにのぶちゃんが新聞社に就職するエピソードは史実がもとになっています。

このあたりから、のぶちゃんのストーリーは史実に近いものになっていくようです。

のぶちゃんが高知新報に就職試験を受ける

酔っ払った東海林さんに名刺をもらった翌日。

のぶちゃんは、もらったその名刺を持って高知新報の編集局へ。

ところが・・・

東海林さんは、前の晩に会ったばかりで名刺まで渡したのぶちゃんのことを全く覚えていません。

前の晩、東海林さんはかなり酔っ払っていたようです。

のぶちゃん、どうやら採用してもらえそうもないと悟り即座に退散。

しかし、そんなのぶちゃんに対して東海林さんは、近いうちに入社試験があるから受けてみてはどうかと提案します。

のぶちゃん、高知新報に就職できる可能性がちょっとだけ出てきました。

ほどなくしてのぶちゃんは同社の入社試験に挑戦。

筆記試験を経て、街に出て取材して記事を書く実地試験と順調に進むのぶちゃん。

しかし、戦時中ののぶちゃんのあるエピソードが思いがけない形で回収され、のぶちゃんはピンチに。

のぶちゃんを「愛国の鑑」として掲載した新聞社は、のぶちゃんが入社試験に挑戦中の高知新報でした。

そして、面接試験で試験官の一人がのぶちゃんのことを覚えていました。

面接官は、思想は簡単には変わらないはずだと言って、愛国の鑑だったのぶちゃんの採用に難色を示すようです。

かつて、誰もが讃えた新聞掲載。

それが、就職の際の足かせになるとは・・・

のぶちゃんが高知新報に就職

のぶちゃんの採用に難色を示したのは霧島さんという方。

その霧島さんに東海林さんが訴えます。

戦時中の仕事を過ちと感じ苦悩しているのぶちゃんは今の女性たちの代表だと。

そして、責任は自分が取るからのぶちゃんを採用したいと訴える東海林さん。

酔っ払うと色々と問題を起こしそうな方ですが、シラフのときはなかなかの人物のようです。

そんな素敵な人物の助けがあってのぶちゃんは晴れて採用。

のぶちゃんの高知新報への就職が決定。

のぶちゃんの新しい道が決まったところで物語の前半が終了です。

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POSTED COMMENT

  1. 中島立雄 より:

    ずんこ様、戦前のマスゴミ(主に新聞社)が戦前、戦中で、愛国、報国で国民をマインドコントロールした責任は相当重いと思います。戦後にしれっと左寄りにシフトした大手某新聞社もあったし。ここの人達は自分達の戦争責任について少しは総括したみたいだけど、反省はしたのかね?

  2. 還暦のたつお より:

     名乗る程の者ではございません様。申し訳ありませんが、終戦直後の歌としてはやはり「星の流れに」を推します。これを聞くと映画「肉体の門」を思い出します。五社英雄監督版もロマンポルノ版も悪くなかったけど、何と言っても鈴木清順監督、野川由美子さん主演版が最高でした。「ラ・ラ・ランド」でデミアン・チャゼリ監督はこの映画の色彩感覚からかなり影響を受けています。

  3. 名乗る程の者ではございません より:

    還暦のたつお様

    確かに「リンゴの歌」と戦後展開といえばベタなんですが朝ドラで流れたら個人的には戦後編開始という気になりますね
    「エール」では主人公作曲作品でなかったゆえか流れてなかったような気がします、「まんぷく」では立花塩業の社歌になってましたがこれはこれでおもしろかったですが何か違和感もありました(「まんぷく」ってヒロイン義兄二人と元同僚の調理師が出征しましたが三人とも生還してましたね、私が「まんぷく」好きな理由のひとつです)
    「リンゴの歌」から始まり菊地章子さんの「岸壁の母」「星の流れに」と続くのが戦後の群像劇に流れる三大BGM歌謡だと思っています

  4. ずんこ より:

    いやいや…待って…!
    そもそも最初にのぶちゃんを「愛国の鑑」としてもてはやしたのは、あなたたちだったよね。
    それを今になって、ハシゴ外す?
    それに人は簡単には変わらないなら、お宅の新聞社やあなた自身はどうなのよ⁈

    …って、朝から軽くおこになってしまいました。

  5. 中島立雄 より:

    採用試験で心境を正直に話したのぶさん。二人の試験官は信じなかったけど。東海林さんの助け舟で採用。猫の手とは東海林さん一流の照れ。酔った時の発言の責任をちゃんと取ってくれた。さあこれからが大変。未知の世界へ。

  6. よるは去った より:

    東海林「カストリはいかんが・・・・記憶が飛ぶ・・・・。」

    終戦直後の酒を飲んで落命した人や失明した人もいたといいますが。

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