2025/9/5(金)第23週「ぼくらは無力だけれど」
あらすじ
八木の会社で蘭子が草吉と再会。蘭子は草吉を柳井家に連れて来ました。のぶと羽多子、そしてメイコは草吉との再会を喜び、草吉もまたのぶと嵩が結婚したことを知り喜びました。草吉はまた、愛国の鑑だったのぶが一番心配だったと語りました。
そのころ、嵩は手蔦の事務所にいました。手蔦は嵩に頼みたいキャラクターデザインの仕事の内容を説明。嵩は主人公のアイデアを提案しながら草吉のことを思い出していました。帰宅後、草吉が来ていたことを聞かされ嵩は驚きました。
その日の夜、のぶは草吉から聞かされたことを嵩に語りました。草吉は欧州戦争から帰国して以来、自分はずっと根無し草だったのだと。のぶは続け、草吉の心にはまだトゲが刺さっているままだと嵩に告げました。
その一ヶ月後の8月15日。終戦の日を迎え黙祷を捧げた後、嵩はのぶに問いかけました。戦争で心に傷を負った人たちの心のトゲを抜いてあげたい。そのために自分たちは何を出来るのかと。そして嵩は「あんパンを配るおじさん」の絵と向き合うのでした。
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感想
ヤムおじさん
前回の最後、蘭子ちゃんを驚かせた人物はやっぱりヤムおじさんでした。
ヤムおじさんは今週の月曜日にもまさかの登場。
ヤムおじさんや他の若者たちの着ているものを見ておそらく食品を扱っている会社で働いているのであろうことは見えてました。
画面の隅々まで観察している人によれば、ヤムおじさんの背後にはそこがパン屋であることを示す貼り紙があったそうですが。
ヤムおじさん、パンを焼きながら放浪する生活はもうやめたらしい。
歳をとって風来坊のような生活を続けていくのが厳しくなったのでしょうか。。
だとするとちょっと寂しい。
とは言ってもすでにかなりの高齢のはずです。
それもやむを得ないのかな。
さて、久しぶりに登場したヤムおじさんの軽口が今回も楽しい。
「線路で寝てたあいつがこんな立派な家に」
ヤムおじさんの中では嵩くんはいつまでも「線路で寝てた奴」。
メイコちゃんの「チビ3号」という呼び名はこれが初めてかも。
そして、羽多子さん、のぶちゃん、蘭子ちゃん、メイコちゃんの女性たちに「お前ら老けたな」と女性に対して口が裂けても言ってはいけないことを言う。笑
しかし地雷を踏んだと気づいた直後、一人ひとりに謝る気づかいが素敵です。
ところでヤムおじさん、嵩くんとのぶちゃんと羽多子さんが三人一緒に暮らしている理由はすぐに察したはずです。
しかし、その理由をあえて聞く。
あえて聞いた上で嵩くんと羽多子さんが結婚したのかと笑いとってから、のぶちゃんと嵩くんが結婚した事実に今更ながら驚く。
見事な間の取り方。
そんな楽しいヤムおじさんですが、戦争で負った心の傷はまだ癒えてないらしい。
最終回までにヤムおじさんの心の傷が癒えるのかは分かりませんが、嵩くんのライフワークとなるアンパンマンがヤムおじさんに希望を与えますように。
ところでヤムおじさんがさりげなく言いました。
「絶望の隣は満更捨てたもんじゃなかった」
かつてヤムおじさんは「絶望の隣は絶望の二丁目」なんて言って、「絶望の隣は希望」という寛先生の言葉をバカにしていました。
深い絶望を経験したはずのヤムおじさんには「絶望の隣は希望」なんて信じられなかったのでしょう。
でも今回、ヤムおじさんは「絶望の隣」にちょっとだけ希望を見出したらしい。
「絶望の隣は満更捨てたもんじゃなかった」
このヤムおじさんのセリフは、ヤムおじさんの心のトゲが抜け、ヤムおじさんの心が再生するフラグかなと思いたいです。
手蔦治虫
ヤムおじさんが柳生家に来たとき、嵩くんは残念ながら外出中でした。
そのとき嵩くんは手蔦治虫の事務所へ。
手蔦治虫の仕事部屋は男子禁制ならぬ男女禁制。
つまり自分以外、誰も足を踏み入ることが許されない手蔦治虫の聖域です。
そこに入室することが許された嵩くん。
漫画家にとって最大の光栄かと思います。
それにしても手蔦治虫はさすが漫画の神様です。
嵩くんが描く女性の多くがのぶちゃんであることを見抜く目が鋭い。
プライドが高い女性が繰り返し描かれていることも見抜いてしまう手蔦治虫。
プライドが高い女性とはやっぱり登美子さんのことでした。
一方で、主人公のキャラクター像がまだ見えない手蔦治虫が嵩くんに相談。
嵩くんが提案するのはまさかのヤムおじさん。
ヤムおじさんというキャラクターが手蔦治虫のアニメ映画で回収されることになるとは・・・
ところで次週、手蔦治虫のアニメ映画は完成し劇場公開されるところまで描かれるはずです。
予告映像にもそれらしいカットが挿入されていました。
ヤムおじさんも嵩くんがキャラクターを手がけた作品を鑑賞するのかな?
アンパンマン
本作『あんぱん』も残り3週となりました。
そしてここ数週間ずっと宙ぶらりんのままだったアンパンマンがいよいよ動き出すフラグが。
戦争で心に傷を負った人のために出来ることは何か?
嵩くんがそう問いかけた直後に思い出したのがアンパンマンでした。
予告映像の中で、本作で初めて「アンパンマン」という言葉が登場しました。
次週から「アンパンマン」が多くの子供たちのヒーローになるまでが描かれ始めるようです。
予習レビューと史実のリアルエピソード
蘭子ちゃんと八木さんの関係
今週、蘭子ちゃんと八木さんの関係に進展があるかもしれません。
あるいは蘭子ちゃんと八木さんの関係に変化が生じるきっかけだけが描かれて終わりかもしれませんが。
少なくとも何かが始まるのは確かなようです。
今週、蘭子ちゃんは姉夫婦と母が暮らしている四谷のマンションの階下の一室に引っ越してきます。
蘭子ちゃんがいよいよ引っ越しの日を目前にひかえ引っ越しの荷造りをしちえると、蘭子ちゃんのもとに八木さんがやってきます。
蘭子ちゃんが書いた宣伝文が載った雑誌を八木さんが届けに来るのだとか。
そのときに蘭子ちゃんは八木さんに唐突に言うんです。
もう八木さんの会社には行かないと。
何故、そんなことを蘭子ちゃんが言い出すのかは今のところ不明です。
八木さんはもちろん困惑します。
そんなこと言わないでくれと訴えるものの、どうやら蘭子ちゃんは黙ったまま何も答えてくれない。
一体、蘭子ちゃんの中で何が起こったのでしょうか。
「臆病にならないでほしい」
蘭子ちゃんと八木さんの間でそんなやりとりがあった数日後。
蘭子ちゃんが四谷のマンションへの引っ越し作業を完了し、のぶちゃんの部屋へ。
そのときすでにのぶちゃんは蘭子ちゃんが八木さんの会社に行くことを拒んだ事実を知っているらしい。
何故、のぶちゃんがその事実を知っているのかまでは今のところ不明ですが。
のぶちゃんが蘭子ちゃんに言います。
「蘭子に好きな人がいるなら臆病にならないでほしい」と。
のぶちゃんは蘭子ちゃんの恋心をかなり早い段階から気がついていました。
ところでのぶちゃんが蘭子ちゃんの恋心に気がついたころ、蘭子ちゃんにはまだ心の余裕がありました。
一生恋愛するつもりはないと言い切るほどの心の余裕が。
そしてその後も蘭子ちゃんはいつも通り八木さんの会社を訪ね、いつも通り八木さんと向き合って打ち合わせなどを行なっていました。
でも、蘭子ちゃんと八木さんの二人は仕事の関係とはいえ、あまりにもお互いの心の距離が近すぎる仕事の関係でした。
二人ともこよなく愛する「言葉」の仕事を一緒にやっていたので。
そして仕事の関係でありながら、心の距離が近すぎたことで蘭子ちゃんの心の中に芽生え始めた淡い恋心は、時を経るほどに本格的な恋心になってしまったのかもしれません。
ところで蘭子ちゃんには一生分恋したような相手を亡くした悲しい経験があります。
その経験が蘭子ちゃんを恋愛に対して臆病にさせているのでしょう。
再び大事な人を亡くすのが怖い。
そんな臆病な感情です。
のぶちゃんはそんな蘭子ちゃんの気持ちを鋭く見抜いたらしい。
「蘭子に好きな人がいるなら臆病にならないでほしい」
のぶちゃんのこの言葉で蘭子ちゃんの心が救われるといいのですが。
ちなみにその場に一緒にいた羽多子さんも蘭子ちゃんに言うんです。
「自分の気持ちに正直に生きなさい」と。
豪ちゃんのときに蘭子ちゃんの背中を押したのは羽多子さんでした。
羽多子さんのこの一言が、蘭子ちゃんの背中を再び押すことになるのかもしれません。
蘭子ちゃん振り返り
蘭子ちゃんと八木さんの関係が進展する気配でいっぱいの今週、蘭子ちゃんと八木さんの出会いの場面を振り返ってみました。
蘭子ちゃんと八木さんの出会いは、当時八木さんが雇われ店長として働いていた雑貨店でした。
その頃、作詞をすすめられながら気が乗らない嵩くん。
そんな嵩くんの秘めた才能を見抜いていたらしい八木さんが言いました。
あいつの言葉はすべてが詩だと。
そんな八木さんの言葉に蘭子ちゃんは反応しました。
そんなことを言うあなたも詩人だ、みたいなことを。
このときに蘭子ちゃんは八木さんに自分と同じ匂いを感じたのかもしれません。
一方の八木さんも、蘭子ちゃんの反応を見て蘭子ちゃんに自分と同じ匂いを感じたような気がします。
軍隊時代、八木さんは嵩くんに同じ匂いを感じたと言いました。
あの時の八木さんの言葉が蘭子ちゃんとの関係によって回収されるのかもしれません。
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ヤムおじさん、お久しぶりでした。ヤムおじさんの元の職場のモデルになった「木村屋」のあんぱん食べてみたいな。
やっと「アンパンマン」本格始動。ここまで長かったな。こうなると水木先生が妖怪まで辿り着くまで苦闘していた「ゲゲゲの女房」が懐かしい。あれも実話ベースなので実在の人物が沢山出てたなあ(杉浦太陽がやってたねずみ男は別として。)