本放送:2011年11月28日(土)
再放送:2014年5月31日(土)
再々放送:2024年11月16日(土)
第8週「果報者」
花言葉の花「チトニア」
あらすじ
昭和10年(1935年)1月、糸子と勝とハルの三人暮らしも馴染んで来たものの、勝は夫であって職人を雇ったわけではないとハルから注意を受ける糸子。その夜、糸子は初めて勝と床を並べ話し合うことにしました。
自分は仕事が好きなのでこの店がどれほど儲かってお金がたまっても自分は仕事はやめないこと。一方で家事などは死ぬまで出来ないかも知れないと告げる糸子に、勝は、糸子の仕事ぶりに惚れたのだから好きなだけ働けと応えます。
昭和12年(1937年)1月。店は「小原洋裁店」から「オハラ洋装店」に名前を変更。ますます繁盛する店に糸子は結婚して良かったと実感。ほどなくして糸子は長女・優子を出産。孫にのぼせ上がった善作が子守りを買って出ます。
昭和12年(1937年)9月。幸せいっぱいで仕事の後に子守りをする糸子は勘助に会います。勘助の浮かない顔にまた女にふられたかと勘ぐる糸子。勘助は重たい口を開いて言いました。「赤紙来てもうた」
感想
第8週がこれで終わりですが、実に不思議な週でした。これまでは糸子の強烈な意志で目の前の困難を切り開いたり、切り開けなくてはじき飛ばされたり。たとえはじき飛ばされても飛ばされた分だけ糸子の意志の強さがよくわかりました。
ところがこの第8週。祝言から出産と人生の中で極めて大切なターニングポイントでありながら、そこに糸子の意志がまるでない。祝言も自分がするともしないとも一言も意思表示しないまますべてが決定。
新婚生活がはじまっても、自分の意志はそこになく成り行き任せの暮らし方。ハルおばあちゃんが2度ほど注意しましたが、その注意を聞いているのかいないのか。その注意に対して自分の意志で動いたとも思えない。
ハルおばあちゃんの二度目の注意で、やっと床を並べて、今後も仕事をやめたくないことや家事やしっかり出来ないかもしれないことなどの「意志表示」はしたものの、いつも眼力で「・・・しちゃる」と決意を語る糸子からはほど遠い姿。
そんな流れの中で出産、子育てと続くものの、そこにも糸子の意志が感じられない。長女を背負ってる自分を弱くなってきていると感じることはあっても。
そして、勘助くんの「赤紙」。時代の変化は糸子の意志とは関係ないですが、でも祝言から出産、子育てと、勘助くんに召集令状が来るような時代の変化が、糸子の意志とは無関係という点で同列に見えてしまうのは僕だけでしょうか。
糸子の意志がないまま、というか意志とは無関係に人生と時代が勝手に動いてしまう、実に不思議は第8週でした。