ブギウギ

スズ子が下す大きな決断 / ブギウギ 第122回

2024/3/25(月)最終週/第25週「世紀のうた 心のうた」

あらすじ

大晦日の「オールスタ男女歌合戦」で圧巻のパフォーマンスを披露し、楽屋に戻ったスズ子のもとには水城アユミが訪問。スズ子の歌に感激したこと、自分はもっと勉強する必要があると思ったことを水城アユミはスズ子に伝えました。

年が明け数日が経ったころ、スズ子は羽鳥家を訪問。歌手を引退するつもりであることを羽鳥に告げました。自分は水城アユミにエネルギーをもらったから歌えた。そして燃え尽きてしまったとスズ子は羽鳥に言いました。

スズ子に対して羽鳥は応えました。スズ子の心境の変化は察していた。しかし歌手引退までは予想していなかった。続けて羽鳥はいつになく厳しい口調でスズ子に告げました。引退はさせない。歌手を引退するなら絶縁すると。

羽鳥の言葉にショックを受けながら帰宅したスズ子はタケシたちにも歌手引退を宣言。タケシはスズ子の歌手引退に猛反発しました。思い悩むスズ子は愛子に相談。引退の決意を受け入れてくれた愛子をスズ子は抱きしめました。

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感想

いよいよ最終週を迎えました。

本作では主人公の最期は描かれません。

描かれるのは主人公の歌手としての「終わり」です。

その「終わり」のフラグが立ちました。

「終わりの始まり」から最後の一週間のスタートです。

引退の決意

「オールスタ男女歌合戦」でパフォーマンスを披露した直後、楽屋で寝そべるスズ子ちゃんはこのときから歌手引退を考え始めていたのでしょうか。

正月も自宅のベッドで寝そべったままで燃え尽きてしまったスズ子ちゃん。

スズ子ちゃんが麻里さんに語ったところによれば、これまでもステージの直後に燃え尽きてしまったことはある。

しかし今回は燃え尽きたまま力がどうにも入らない。

楽屋でスズ子ちゃんが寝そべっているとき、スズ子ちゃんのパフォーマンスを絶賛するタケシくんに対して、静かにしてほしいとスズ子ちゃんは言いました。

あの楽屋のときからスズ子ちゃんは自分への違和感を感じていたのかな?

一方の羽鳥先生は、スズ子ちゃんが「オールスタ男女歌合戦」の新旧対決に挑む前から、スズ子ちゃんの異変に気がついていたらしい。

さすが羽鳥先生、するどい!

ただし歌手引退までは羽鳥先生も想定外でした。

そして、いつになく厳しい羽鳥先生の反応は、視聴者のブログ主にとって想定外。

羽鳥先生を本気で怖いと思った初めての瞬間でした。

羽鳥先生の反応

水城アユミに『ラッパと娘』を歌わせてもいいかとスズ子ちゃんが相談したときの羽鳥先生の反応も厳しいものがありました。

しかし引退の決意を聞かされた羽鳥先生の反応はそのとき以上に厳しい。

「君が引退するのは、今まで作ってきた歌を葬り去ること」

前々週、「羽鳥善一作曲2000曲記念ビッグパーティー」が開かれたことが示すとおり、羽鳥先生はこれまで2000曲以上の作曲をしています。

2000曲の中でスズ子ちゃんの歌が占める割合はごくわずかなはずです。

実際、史実では服部良一氏が手がけた笠置シヅ子さんの楽曲は50曲強です。

全体の2%強。

数だけで考えたら、スズ子ちゃん引退のインパクトはそれほど大きくはありません。

2%強が葬り去られたとしても、それでも2000曲以上は葬り去られずに済むのだから。

これが立場が逆ならショックも大きい。

もし羽鳥先生が作曲家を引退するなどと言い出したら・・・

自分の楽曲のほぼすべてを羽鳥先生に作曲してもらってきたスズ子ちゃんは、歌手生命を絶たれたも同然です。

過去の歌も葬り去られ、未来の歌も失われてしまうわけです。

しかし、羽鳥先生の過去の歌の2000曲以上は葬り去られるわけではなく、羽鳥先生の未来まで失われるわけではありません。

なのに羽鳥先生は「歌を葬り去る」とまで言う。

スズ子ちゃんと苦楽を共にしながら作り出してきた歌が、羽鳥先生にとってどれほど大事な歌なのか、ということなのでしょう。

続けて羽鳥先生は言いました。

「もし歌手をやめるなら僕は君と絶縁します」

歌手引退は絶対に許さないという羽鳥先生のこれまでになく強い意思表示。

絶縁をほのめかす羽鳥先生の強い言葉によって、最終週の幕が開きました。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

笠置シヅ子さんが引退を決意したタイミング

最終週となる今週、ドラマの中ではスズ子ちゃんが歌手引退の決意から最後のコンサート。

そして歌手引退後の日常が少しだけ描かれます。

スズ子ちゃんは『オールスター男女歌合戦』直後に歌手引退を決意。

一方、笠置シヅ子さんが歌手引退を決意するタイミングは、ドラマで描かれるタイミングとは異なるようです。

笠置シヅ子さんがいつ歌手引退を決意したのかは定かではありません。

しかし歌手引退までの出来事を時系列にまとめてみると、笠置シヅ子さんがいつ歌手引退を決意したのかが見え隠れしてきます。

以下、歌手引退までの出来事を時系列にまとめてみました。

笠置シヅ子さんが歌手引退を表明したのは昭和32年。

前年の大晦日の『第7回NHK紅白歌合戦』で大トリを務めた直後のことでした。

上に記した笠置シヅ子さんが大晦日の『第7回NHK紅白歌合戦』で大トリを務めた昭和31年。

この年、笠置シヅ子さんにある異変が生じていました。

昭和31年1月、日劇での『ゴールデンパレード』。

同年3月、同じく日劇での『たよりにしてまっせ』。

笠置シヅ子さんは日劇の2つの公演に出演。

また同年の春には、笠置シヅ子さんは新曲『ジャジャムボ』『たよりにしてまっせ』の2曲を発売。

日劇への出演と新曲の発売後から、笠置シヅ子さんは舞台活動を停止していました。

そして十ヶ月ほどの空白の期間を経て、昭和31年大晦日の『第7回NHK紅白歌合戦』での大トリ。

年が明けた昭和32年早々に笠置シヅ子さんは引退を宣言。

ドラマの中でスズ子ちゃんは昭和32年に引退を決意します。

しかし笠置シヅ子さんは上に記した一連の流れから、昭和31年のうちに引退を決意していたいのではないかと言われています。

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POSTED COMMENT

  1. 名乗る程の者ではないZ より:

    燃え尽きたと言えば「あしたのジョー」の最終回、個人的には「北斗の拳」ラオウ昇天シーンと並ぶ名シーン

  2. 還暦のたつお より:

    歌合戦の後、疲労困憊したスズ子さん。この状態を理解できないタケシ君。もう体力は限界に来ているのか。走馬灯のように巡る思い出。やはりもう完全燃焼してしまったか。白い灰になったか。羽鳥先生、引退には反対、いつになく厳しい言葉。タケシ君ショックで出奔。愛子さんと大野さんは受け入れてくれたみたい。

  3. よるは去った より:

    愛子「引退したら···········歌は歌われへんの·············?」

    リアルスズ子さんは引退の後は鼻歌すら歌わなかったとか·············。

  4. 丹善人 より:

    典型的な燃え尽き症候群。いや、なった事無いけれどこんなものか。
    全盛期で突然の引退宣言。お母さんと同じじゃない。と見ていた人すべてが思ったはず。

    愛子ちゃんはその宣言の場に居合わせたけれど、趣里は知らない。
    もしいたとしたらどう思っただろうかな。

  5. 名乗る程の者ではないZ より:

    比較対象になるだろうから当時のことを記憶のみでコメントしときます

    キャンディーズは確かに「普通の女の子に戻りたい」と日比谷で宣言しましたが、その後は芸能界引退ではなく後楽園球場コンサートまでにはグループ解散というスタンスに変化しています
    スーちゃんとミキちゃんは覚えてないけどランちゃんは「見ごろ、食べごろ、笑いごろ」という当時レギュラー出演していた番組内のコントで頻繁に目指せ竹下景子というプラカードを掲げてたような記憶がありますね、実際に2年間ぐらいの休養の後に平成ゴジラシリーズで有名な大森監督のデビュー作「ヒポクラテスたち」で女優として芸能界復帰しています
    まあ、日比谷での宣言は何らかの不満が溜まりまくり結果キレて辞める宣言してしまったが最終的にグループ解散で落ち着いたということなんでしょうね

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