虎に翼

のどかに不満を持つ優未 / 虎に翼 第114回

2024/9/5(木)第23週「始めは処女の如く、後は脱兎の如し?」

あらすじ

のどかへの不満を爆発させた優未が家から出て行ってしまいました。しかし寅子は、そのことを猪爪家に知らせることで騒ぎになってしまうことが心配でした。猪爪家に連絡すべきか、警察に相談すべきか、寅子は悩みました。

優未が向かった先は轟のもとでした。優未は悩みを轟に打ち明けました。百合のお世話をのどかがしないと。一方、優未の行き先を察した寅子は優未を迎えに行きました。寅子が優未を連れて帰宅すると、のどかは真っ先に優未に謝罪しました。

昭和37年(1962年)1月、裁判の前日。原爆裁判の原告の一人である吉田ミキが法廷に立つ決意を固め広島から上京しました。その日の夜、ミキと向き合ったよねは、ミキが無理して法廷に立とうとしていることを察しました。

よねの言葉に従いミキは法廷に立つことをやめ当事者尋問は中止。ミキの訴えは轟が代読しました。21歳の時に被曝したこと。人並みに扱われ穏やかに暮らすことだけが望みであること。そして、助けを求める相手は国以外に誰がいるのかと。

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感想

優未ちゃん件の

優未ちゃんがのどかちゃんを蹴っ飛ばした騒動は一件落着。

優未ちゃんが帰宅して早々、のどかちゃんが真っ先に謝罪したことで、のどかちゃんの心の闇は完全に解消されたことが改めて印象づけられました。

優未ちゃんのキックエピソード。

のどかちゃんの心の闇が解消されたことを再確認することが目的だったのかな?

一方、優未ちゃんが家を飛び出したと報告を受けたトラちゃん、久しぶりに妄想癖が出ました。

今回の妄想は猪爪家の人々が事務机の陰から湧いて出てくる妄想です。

トラちゃんの初期の妄想は、戦前の猪爪家の家族たちが出演する脳内劇場。

その後、裁判の当事者が事件を再現する脳内劇場。

今回はまったく新しいパターンです。

『カムカム』のるいちゃんとひなたちゃんも母娘そろって妄想癖がありましたが、この二人の妄想は常に自分が主役。

『ひよっこ』の主人公の妄想は天然キャラを全開させたミュージカル。

朝ドラの妄想場面だけ集めたら、楽しい短編集になるかもです。

轟くんの反応

優未ちゃんがのどかちゃんを蹴っ飛ばしてしまったと打ち明けた瞬間の、轟くんの反応が最高です。

轟くんはあの時のことを瞬時に思い出しました。

よねちゃんがハッシーの股間を蹴り上げたときのことです。

あの時のことを思い出した轟くんは、咄嗟によねちゃんの方をチラ見。

轟くんの視線が何を意味するのかを察したらしいよねちゃん、珍しく気まずそう。

でも、轟くんは今回も紳士でした。

よねちゃんをチラ見こそしたものの「山田、お前もやったよな」と恥をかかせるようなことだけは言わない。

轟くんは若いころからいつも大人の対応を見せてくれました。

大人の年齢になった今、より一層大人になった轟くん。

よねちゃん、いい相棒と組むことができましたね。

相棒

よねちゃんが轟くんを「相棒」と呼んだのはもしかするとこれが初めて?

よねちゃんが「相棒」なんていう言葉を使ったのは、改めて轟くんに一目置いたよねちゃんの気持ちを表しているのかもしれません。

原爆裁判の原告の一人であるミキさんが法廷に立つことを轟くんは反対していました。

見返りも得られず傷つくだけだからと。

しかし、よねちゃんは傷つく地獄を選ぶか否かは本人が決めることだと轟くんの懸念を一蹴しました。

よねちゃんの言ったことは正論です。

轟くんも同様に考えながらも、それでもミキさんのことが心配だったのでしょう。

轟くん、ここでも大人です。

そんな轟くんの「大人」をよねちゃんは一目置いたのかな?

轟くんを「相棒」と呼んだ上で、よねちゃんはミキさんに法廷に立つことをやめるように促しました。

そして、よねちゃんに背中を押される形で、ミキさんの思いは轟くんが代読。

よねちゃんの優しさがこれまでになく心に沁みました。

ところで、いつだったか司法試験に挑もうとしないよねちゃんに対してトラちゃんがこんなふうに言ったことがあります。

「あなたにしか救えない人がいる」

みたいなことを。

今回は、よねちゃんにしか救えない人、それがミキさんだったのかもと感じた回でもありました。

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予習レビュー

本作も放送期間は残すところ3週。

物語の終わりが見えてくる中で、主要キャラクターたちの人生の節目が描かれ始めました。

直明くんはお父さんに。

雲野先生は病気で倒れてしまう。

そして今週は梅子さんが大きな転機を迎えます。

そこで今回の本欄では梅子さんの振り返りを行います。

梅子さんのおにぎり

梅子さんが初めて登場したのは、トラちゃんの明律大学女子部に入学したときのこと。

周囲とは毛色が少し異なっていたために他のクラスメートの輪の中に入れなかった、トラちゃん、梅子さん、ヒャンちゃん、涼子さまはすぐに仲良しに。

よねちゃんだけは最初は孤高の人を貫き通していました。

そしてこのころから梅子さんのおにぎりがみんなのお腹と心を満たしていました。

孤高のよねちゃんの硬い心を少しだけやわらかくしたのも梅子さんのおにぎり。

その後、女子部から法学部に移り、男子学生たちとの関係を良好にできたときも梅子さんのおにぎりが大きく貢献しました。

花岡くんも生きていたあのころが懐かしいです。

梅子さんの闇

そんな梅子さんには知られざる闇がありました。

その闇が最初に暗示されたのは、穂高先生に代わって民事訴訟の講義をするために弁護士の大庭徹男が明律大学にやって来たときのこと。

大庭徹男が梅子さんのご主人であることが判明。

そしてご主人の前で「すんっ」になってしまう梅子さんの姿が、大庭家の夫婦関係のあり様を雄弁に物語っていました。

授業のあと、ハーシーたちは大庭氏に食事に連れて行ってもらったらしい。

そして食事の席で大庭氏には妾がいるという事実をつかんだらしい。

その直後に、トラちゃんが花岡くんに怪我をさせたピクニック。

トラちゃんが花岡くんに対して激怒したのは、花岡くんが妾を囲っている大庭氏の立場を擁護したからでした。

また、このピクニックの際に、まだ幼かった光三郎くんのいる目の前で、ハーシーたちが大庭氏には妾がいることを暴露。

その光三郎くんと妾が、その後にあんな関係になってしまうとは・・・

姿を消した梅子さん

梅子さんはトラちゃんたちと司法試験に挑むものの一度目は失敗。

そして迎えた二度目の司法試験の直前。

梅子さんは離婚を言い渡されてしまいました。

大庭氏が妾を妻として迎えるために梅子さんに離婚を突きつけたのです。

そこで梅子さんは光三郎くんだけを連れ出し家出。

司法試験には姿をあらわさす、その後しばらくの間、ドラマの中でも姿を消しました。

戦後の梅子さん

梅子さんがドラマの中に戻ってきたのは戦後になってから。

梅子さんが戻ってしばらくは波乱の展開でした。

梅子さんは光三郎くんを連れて家出したものの、その直後にご主人が倒れたことで大庭家に連れ戻されました。

ほどなくしてご主人が死去。

その直後に妾が捏造された遺言書を持ってやってきたところから修羅場はスタート。

そんな修羅場を潜り抜け、よねちゃんと轟くんの事務所に住まわせてもらいながらの竹もとでの修行の日々。

波乱の人生を送ってきた梅子さん、そろそろ穏やかな人生を過ごすことができるのでしょうか。

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POSTED COMMENT

  1. 駿河台の隣 より:

    よねさん、誰よりも人を思いやれるやさしさがあります。
    私の願いは一つ。よねさんが生き別れたお姉さんと再会できること。
    原爆裁判の原告として出廷予定だった女性がもしかしたらよねさんのお姉さん?と期待してしまいました。
    絶対どこかで会わせてあげてほしい。お姉さんへの懺悔から今のよねさんがいると思うので。

  2. Grace より:

    原爆裁判の判事に寅子ちゃんが選ばれていることに,違和感を覚えます。原告側の弁護団とあまりにも近い関係にあります。 実際にそういうことは許されるのでしょうか。公平を保つために,判事にはなれないのではないかと考えます。寅子ちゃんは辞退しなかったのでしょうか。雲野さんの葬儀に出るなと、よねさんが配慮したことで,判事と原告側が近い関係にあることを公にすべきでないことが現れていました。
    ドラマですから、とは思いますが、どうでしょう ?

  3. 底抜けに より:

    とてもリアルな百合さんの認知症の進行。
    もしも寅ちゃんがすんなり「星寅子」になり、「星優未」になる価値観だったら
    寅ちゃんが仕事をやめて百合さんを介護するとか
    家中で唯一働いていない優未ちゃんがヤングケアラーになるべきだとかになっちゃったのかなあと、ふと、思いました。
    星家のために、ね。

    個人がそれぞれに尊重され、その中で自然に助け合っていく
    お互いに尊重しながら、助け合い支え合う者同士が家族なのであり、それは「○○家」に属するから家族なのではない
    「○○家」に属するのが家族、なのだとすると
    そこで描かれているのは、「家族のようなもの」なんですね。

    認知症の百合さんを支えるのは、簡単なことじゃない
    お手伝いさんにかかる費用もあるし
    お手伝いさんが来ない時間もある
    そこで支えることが求められるなら、「家族のようなもの」から逃げ出したくなる
    それくらい、大変なこと。優未ちゃんの怒りも、のどかさんの逃げもよくわかる。
    優未ちゃんが猪爪家でなく、燈台に逃げ込んだのもなるほどでした。
    「家族」じゃなく「家族のようなもの」の方が癒やしになることってありますよね。

    そして背後にずっと流れる「日本国憲法」。
    平等、人権そして主権在民の意義
    しかしこれは、戦争によって突如手にすることができた憲法でした。
    戦争責任って何か、なぜ戦争を回避できなかったのか、戦争の傷の責任はどうとるのか
    上記のような家族のあれこれのなかに「日本国憲法」が流れている。
    「虎に翼」は本当におもしろいなと思います。

  4. 還暦のたつお より:

    優未さん何処へ?電話誰から?ルミナに罹った人の所。和田正人さんナイス説得。帰宅、あれ、のどかさんから謝ってきた。話は再び原爆裁判へと。証人吉田さん上京。よねさんと吉田さん。強がる吉田さん。吉田さんのダメージは思いのほか深かった。心から癒やすよねさん。結局手記の代読に変更。関係無いけど昨日の「新宿野戦病院」はコロナ禍を思い出した。感染してビジネスホテルに10日ほど缶詰になってたのでなおさら。

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