虎に翼

優三の死と向き合う寅子 / 虎に翼 第44回

2024/5/30(木)第9週「男は度胸、女は愛嬌?」

あらすじ

昭和21年(1946年)10月。直言が亡くなり、直明は自分が猪爪家の大黒柱になると言い出しました。そんな直明に対して寅子の気持ちは複雑でした。成績優秀だった直明が進学の夢をあきらめたことを寅子は受け入れられなかったのです。

そんなある日、見知らぬ復員兵が寅子のもとを訪ねてきました。その復員兵は、寅子が優三に持たせたお守りを持っていました。そして優三の世話になったことや、優三の最期の様子を寅子に語りました。

優三の最期を聞かされても、寅子は何事もなかったかのような顔をして日々を過ごしていました。寅子が無理をしていることを察したはるは、寅子にお金を渡しました。お金を渡しながらはるは、好きなものを食べ悲しみと向き合うように寅子に言いました。

はるにお金を持たされ闇市に足を運んだ寅子は、優三が出征する前に美味しいものを一緒に食べた日のことを思い出しました。そのとき優三が口にした言葉を思い出し、寅子は初めて声をあげて泣きました。

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感想

本作第1回の冒頭、トラちゃんが河原で広げた新聞紙の「日本国憲法」を見て涙する場面に戻ってきました。

そして、その場面でトラちゃんが流した涙の理由も明らかになりました。

トラちゃんは心が折れていた

今週に入ってから笑顔を完全に失っていたトラちゃん。

笑顔を失っただけでなく、いつも虚な目つき。

ブログ主はトラちゃんの胸中をこんなふうに推察していました。

優三くんの死など度重なる不幸に対して感情を動かそうものなら心が壊れてしまいかねない。

だから度重なる不幸を見て見ぬフリをしているのだと。

しかし、はるさんの見立ては違いました。

トラちゃんにお金を渡しながらはるさんはこう言いました。

「これ以上心が折れて粉々になる前に優三さんの死とゆっくり向き合いなさい」

トラちゃんは心が折れていた。

しかも粉々になる直前。

そこまで心が折れていたので、度重なる不幸に対して感情を動かす力すら失っていたのかもしれません。

はるさんも、トラちゃんと同様に心が折れてしまう経験をしたのでしょう。

直道くんが戦死したとき、そして直言さんが亡くなったときも。

また直道くんが亡くなり、心が折れてしまった花江ちゃんのこともはるさんならしっかりと観察しているはずです。

だからはるさんには「わ・か・る」。

心が折れてしまった人がどんなふうになるのか。

そして、心がそれ以上折れると心が粉々になってしまうことを。

トラちゃん危ないところでした。

トラちゃんの涙の理由

本作第1回の冒頭、トラちゃんが河原で広げた新聞紙の「日本国憲法」を見ながら流した涙の理由が明らかになりました。

第1回の冒頭を見た限りでは、トラちゃんは「日本国憲法」公布に感激しているように見えました。

ようやく男女平等の理念が謳われたことに対してトラちゃんは感涙した。

ブログ主はそのように受け取めていました。

しかし、トラちゃんの流した涙は夫を亡くした悲しみの涙でした。

トラちゃんの涙の理由はこれではっきりとわかりました。

そして、トラちゃんがようやく涙を流したことで、心が折れてしまうほどにかかっていた負荷が軽くなったのかな?

今回はトラちゃんがようやく涙を流せたところで終わり。

次回は涙を流した心にかかっていた負荷から解放されたトラちゃんが、再び立ち上がるところから始まるのでしょうか。

もしそうであるならば早ければ次回。

遅くとも次週に入って早々、トラちゃんらしいトラちゃんが戻ってくるはずです。

ここしばらく、重く苦しくつらい回が続いていました。

夜明け前の闇が一番暗いと言いますが、今回のトラちゃんの闇が、夜明け前の一番暗い闇でありますように。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

今週は、花江ちゃんのご両親、花江ちゃんのご主人である直道くん、トラちゃんのご主人である優三くん、さらにトラちゃんのお父上である直言さんが亡くなります。

直言さんが亡くなるのは終戦の翌年の昭和21年秋。

死因は栄養失調と肺炎の悪化による衰弱死です。

直言さんは、はるさん、トラちゃん、直明くん、そして花江ちゃんに看取られながら息を引き取ります。

最期まで、いかにも直言さんらしい残念な言葉の数々を口にしながら・・・

一方、直言さんの実在モデル・武藤貞雄さんはどのような最後を迎えたのか。

以下、簡単にまとめます。

武藤貞雄さんが亡くなったのは昭和22年10月。

直言さんが亡くなったのが昭和21年なのに対して武藤貞雄さんが亡くなったのはその翌年の昭和22年です。

直言さんと武藤貞雄さんの最期にはあと2つ異なる点があります。

1つ目は死因。

武藤貞雄さんは肝硬変で亡くなりました。

2つ目。

ドラマの中で直言さんは、はるさんに看取られながら息を引き取りますが、武藤貞雄さんは奥様に先立たれています。

武藤貞雄さんの奥様・ノブさんが亡くなったのは昭和22年1月。

武藤貞雄さんが亡くなる9ヶ月前のことでした。

奥様・ノブさんの死因は脳溢血。

急死だったそうです。

ドラマの中の直言さんは、奥様に看取られながら逝くことができて幸せだったと言えるかもしれません。

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POSTED COMMENT

  1. 還暦のたつお より:

    焼け跡を歩く復員兵姿、あのお守りは。やはり優三さんの戦友だったか。(正確には戦友ではないか。)意気消沈気味の寅子さん。はるさんからの思いやりのおこずかい。でも焼き鳥よくあったな。焼き鳥屋のおばさんのこころずかい。危なそうに見えたのかな。古新聞で見た日本国憲法。涙からの再出発。

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