虎に翼

平成11年(1999) / 虎に翼 最終回/第130回

2024/9/27(金)最終週/第26週「虎に翼」

あらすじ

平成11年(1999年)、寅子が亡くなり15年が経ちました。優未は雀荘の仕事をしつつ、花江と花江のひ孫たちの面倒を見る暮らしを続けていました。そんなある日、優未は解雇された女性と出会い、弁護士を紹介しました。

そのころ朋一とのどかは、航一の老後の面倒を見ていました。航一は老人ホームに入っていました。優未が家族と暮らそうと言っても、航一は拒み続けていました。そんな航一が思い出すのは寅子が横浜地方裁判所長に就任した日のことでした。

その日「笹竹」で所長就任の栄転を仲間たちから祝福された寅子は、来店した桂場と言葉を交わしました。桂場は、女性が法律の勉強をするのも法律を仕事にするのも今でも反対だと寅子に言いました。

しかし、よねに反論され桂場は前言を撤回。寅子のような女性が特別だった時代は終わったと言う桂場に対して寅子は言いました。時代がそれを許さず自分を特別な存在にしただけだと。そして寅子は、心の中のはるに「地獄の道は最高だった」と告げるのでした。

<<前回129回 | 『おむすび』>>

最終週/第26週
虎に翼|感想あらすじネタバレトップページ

Sponsored Link

感想

最終週振り返り:美佐江ちゃん

前週の最後、美雪ちゃんの正体が美佐江ちゃんの娘であることが判明しました。

そして、トラちゃんにやり残した仕事があったことが、最終週を目前にしたタイミングで判明しました。

少年法改正の議論なども、やり残した仕事なのかもしれません。

しかし、このテーマはトラちゃんが一人で、しかもトラちゃんの代だけで解決できるような問題ではありません。

一方で美佐江ちゃんの事案は、トラちゃんが一人で解決できたかもしれない。

美佐江ちゃんはどうやらトラちゃんに救いを求めていたらしい。

しかし、あと一歩のところでトラちゃんは美佐江ちゃんのことを手放しました。

それがめぐりめぐって、美雪ちゃんという形になって戻ってきました。

最後の数週間はあまりにも多くのテーマが盛り込まれていたため、美佐江ちゃんの問題、美雪ちゃんの問題が小さく見えてしまったきらいがないでもない。

でも、トラちゃんの裁判官人生の中で美佐江ちゃん問題は極めて大きな問題です。

その大きな問題を封印してきたトラちゃんは悔やんでも悔やみきれなかったに違いない。

しかし、美雪ちゃんと向き合うことで、トラちゃんの中では美佐江ちゃんの問題に終止符を打つことができたのでしょう。

最終回振り返り:美雪ちゃん

美雪ちゃんが更生の道を歩み始めたのが1972年。

それから27年後の1999年、40代前半になった美雪ちゃんが登場しました。

優未ちゃんは見知らぬ女性に弁護士を紹介。

その見知らぬ女性がトラちゃんにとって極めて大きな存在だとは知る由もなく。

しかし、仕事でミスか何かをして解雇されたとはいえ、美雪ちゃんはその後真っ当な道を歩んでいたことだけは間違いなさそうです。

トラちゃんが美雪ちゃんに不処分の判断を下した時には、まだ将来の美雪ちゃんがどうなるのかはまったく見えませんでした。

27年後の美雪ちゃんの姿によって、トラちゃんの仕事は完結しました。

最終回振り返り:1999年のトラちゃん

今回は1999年から始まるだろうと予想していました。

なので冒頭でいきなり元気そうなトラちゃんが明るい朝日の中に出てきた時にはビックリ。

しかし、すぐにトラちゃんの遺影が写され、次のカットでは一人ぼっちの優未ちゃん。

そしてナレーションによって明かされたトラちゃんの死。

明るい演出だったので、トラちゃんがこの世にいなくなったという寂しさを感じることなく、トラちゃんのいなくなった世界を見ることができました。

そして、場面は再び前回と同じ横浜地裁所長の就任祝いの席に。

最終回振り返り:横浜地裁所長の就任の日のトラちゃん

横浜地裁所長の就任の日、笹竹に来た桂場さんがトラちゃんに言いました。

「君のようなご婦人が特別だった時代は終わったんだな」

その桂場さんの答えてトラちゃん曰く。

「いつだって私のような女はごまんといる。ただ時代がそれを許さず特別にしただけ」

このトラちゃんの最後のセリフに、これまでのトラちゃんのすべてが集約されているような気がします。

これまでトラちゃんは、何度も女性の特別扱いに違和感を表明していました。

「特別」は「女性初」という言葉で表現されてきました。

何度も「女性初」ともてはやされてきたトラちゃんでしたが、その度に感じる「女性初」への違和感。

「女性初」という言葉がなくなる世の中がトラちゃんが目指す世の中だったのかもしれません。

ただ、「女性初」の違和感を感じる地獄の道を歩き続けてきたトラちゃんの人生に悔いはないようです。

最後に登場したはるさんの幻に対して言った一言。

「最高!」

この「最高」という言葉、ドラマの中のセリフではありますが、猪爪佐田寅子を演じきった沙莉ちゃんの言葉にも聞こえました。

はるさんの幻に見せた嬉し泣きの顔。

あれは演技の上でのトラちゃんの嬉し泣きでもあり、沙莉ちゃんのリアルの嬉し泣きでもあったような気がします。

最高の人生を過ごせたトラちゃんのストーリーが終わりました。

半年間、当ブログにお付き合いいただきありがとうございました。

次回作もお付き合いいただけますと嬉しいです。

Sponsored Link



予習レビューと史実のリアルエピソード

トラちゃんの最後の登場場面:ドラマとリアルの相違点

ドラマの中では、トラちゃんは昭和49年(1974年)春に横浜家庭裁判所の所長に就任。

女性初の裁判所長になりました。

そして就任の日の夜に所長就任祝いが「笹竹」で開かれ、明律大学の同窓生たちがトラちゃんを祝福。

そこから25年スキップして平成11年(1999年)男女共同参画社会基本法が施行された年。

そしてトラちゃんの死後15年の頃の最晩年の航一さんや50代になった優未ちゃんが登場します。

しかし史実では、リアルトラちゃんが女性初の裁判所長に就任したのは昭和47年(1972年)。

横浜家庭裁判所ではなく新潟家庭裁判所での所長就任でした。

また、平成11年(1999年)の時点で航一さんは存命という設定ですが、史実ではリアルトラちゃんが死去した翌年に亡くなっています。

リアルトラちゃんとリアル航一さんの再婚後の年譜

以下に、リアルトラちゃんとリアル航一さんの再婚後の歩みをまとめました。

年齢リアルトラちゃん年齢リアル航一さん
1906後の初代最高裁長官三淵忠彦の長男として生まれる
1914台湾銀行勤務の武藤貞雄の長女として生まれる
193125東京帝国大学法学部を卒業して司法省に入省
194026第二東京弁護士会に弁護士登録をし日本初の女性弁護士となる
194640夫・和田芳夫と死別
195549妻・祥子と死別
195641三淵乾太郎と再婚50和田嘉子と再婚
1971 65定年退官
197257新潟家庭裁判所所長に就任し日本初の女性裁判所長になる
197358浦和家庭裁判所所長に就任
197863横浜家庭裁判所所長に就任
総理府婦人問題企画推進会議委員に就任
197964法制審議会民法部会委員に就任
197965定年退官
労働省・男女平等問題専門家会議座長に就任
198066東京家庭裁判所調停委員兼参与員に就任
第二東京弁護士会に弁護士登録
198267東京都人事委員会委員に就任
198368労働省婦人少年問題審議会委員に就任
198469死去
198578死去
1999男女共同参画社会基本法

<<前回129回 | 『おむすび』>>

最終週/第26週
虎に翼|感想あらすじネタバレトップページ

POSTED COMMENT

  1. ばなななち より:

    新しい表現に挑戦し続けていて面白い朝ドラでした
    表現したいテーマが多すぎて渋滞してたのがもったいなかったかな
    サイコさんの特別な存在になりたい周りは深掘りしたパターンも見たかったです

    感想ブログお疲れ様でした!
    自分では見えない目線からの感想などが読めて楽しかったです!
    おむすびの記事も楽しみに待っております!

  2. あさのあさみ より:

    地獄の道はサイコー!! by寅子
    視聴者もそんなトラちゃんの人生を伴走できてサイコー!!
    もう私の中では、
    「カーネーション」と並ぶ、朝ドラ史上最高傑作です
    こんなにも自分事として笑って泣いて怒って考えた朝ドラはないのではないでしょうか
    しかし、100年近く昔からの話なのに、こんなにも共感できてしまうこと自体が問題なんですけどね

    それでも雨垂れ石を穿つごとく、トラちゃんは進み続けました
    穂高先生には、雨垂れにはなりたくないと激怒していましたが、未来の為に自ら雨垂れになるのは光栄なのですね
    桂場さんは納得したようです
    優三さんよりも航一さんよりも長い付き合いの桂場さん、誰よりもトラちゃんを理解してます
    私のイチ推しキャラです笑

    松山ケンイチさんや沢村一樹さんなどに比べて、老けメークが足りないと指摘されてた岡田将生さんですが、最終回の90代を際立たせる為にセーブしてたのですね笑
    でも、愛する妻に2度も先立たれて、航一さん寂しいですね

    とにかく、今はロスがハンパないです
    テーマがてんこ盛りで自分でも未消化なところもあるので、最初からまた全部観たいくらいです
    脚本家の方も言ってましたが、あと1クール欲しかったですね
    まだ若いのに、社会派ドラマとエンタメドラマを両立させて、すごい力だと思います
    そして、それを体現した伊藤沙莉ちゃんあってこその名作でした

  3. Grace より:

    半年間の朝ドラは大変ですから,脚本家,演出の皆様に敬意を表します。残念なのは,どのドラマにも言えることですが、終盤,あまりにも時間を飛ばしすぎることです。これは、土曜日にも放送をすれば20回分くらいは増えますから,NHKに要望したいところです。

    前半は大変緻密に描かれていました。後半は,それに比べて,あまりにも多くの社会問題が扱われて、詰め込みすぎの感じがありました。先日,脚本の吉田さんがNHKのインタビューに応えておられましたが、彼女の頭にはまず,法律があり、そしてマイノリティの苦悩があったそうです。そこに,三淵さんを当てはめたという印象を少し受けました。ドラマ化するのは大変な努力が必要だったことと思います。

    しかし、一つ、これはしてはいけなかったと思うことがあります。それは再婚の折に,星姓にならず、事実婚を選ばせたことです.当時,事実婚という言葉はなかったと思いますので、内縁の妻というふうに見られたと思います。これがドラマの中では何の問題にもならなかったことは不自然です。あの保守的な桂場さんに、何も言わせなかったことも,おかしいです。エリート中のエリートである、お二人の出世に影響しなかったこともありえないことです。ドラマである以上、ある程度のデフォルメは当然ですが、ここは事実を尊重しなくてはいけなかったと,思います。三淵さんに失礼です。モデルのある作品は難しいので、お察しいたしますが、ドラマをプロパガンダ史のようにしてしまうのは賛成できません。それなら,モデルなしのオリジナルのフィクションを書いた方が良いと思います。はじめに思想ありき,でないほうが宜しいかと,感じます。

    私は間接的に三淵さんを存じ上げていたこともあり、時差のあるところにおりますが、できるだけ拝見して、楽しませて頂き,ありがとう存じました。ブログ主の方にもお礼を申し上げます。

  4. YH より:

    毎回最終回にコメントさせてもらっています。
    今回もありがとうございました。
    毎日9時頃になったら「感想アップされたかな」とチェックし、アップが遅いと心配してました。
    寅翼は、実在の人物や法曹界の出来事をベースにしているので、リアル寅ちゃんの人生等の周辺情報はとても貴重で、それらを理解した上で視聴することで、エンタメとリアルのバランスを取りながら楽しむことができました。
    これだけの情報量だと細かいミスは仕方ないですね。それ以上に我々読者は恩恵を受けてますし。
    「おむすび」もよろしくお願いします。

  5. 還暦のたつお より:

    主人公が、幽霊になる後日譚。娘に優未さんが娘の美雪さんを助け。夫婦の会話。子供たちを見る事が余生の楽しみ。「ほんの僅かだが確かにいる。」女性法曹者一同桂場さんへの反論。すごすご引き下がり。ハルさんも現れ、地獄について尋ねる。はて?

  6. 松茸 より:

    前の方のコメントのとおり前夫和田さんとの死別時の年齢が40歳になっています。32歳では?

  7. あら より:

    日付が9月23日になってます。

  8. 読み手のひとり より:

    リアルトラちゃんの表の年齢の中に誤りがあります。誤字もたびたびあるブログでしたが、最終回まで誤りがあるのは残念です。放送が完結する前に修正されることを望みます。

コメントを残す