2024/5/8(水)第6週「女の一念、岩をも通す?」
あらすじ
故郷の朝鮮に戻ることになった香淑との思い出をつくるために、寅子たちは海に遊びに行きました。そして面々は、これまで一緒に過ごしてきた日々のことを思い出しました。そして香淑のリクエストで寅子は歌声を披露しました。
香淑が朝鮮に帰ってほどなくして、香淑に続いて涼子にも大きな問題が発生しました。父の郁次郎が芸者と駆け落ちしてしまったのです、そのため、涼子は婿を取って家を継ぐことを余儀なくされてしまいました。
涼子は、高等試験の受験を断念することを決断しました。そんな涼子の決断に対して、よねは怒りを爆発させました。しかし、涼子は言いました。母の寿子を見捨てることはどうしてもできないのだと。
そして迎えた高等試験の日。直言とはるに励まされながら寅子と優三は家を出発しました。そのころ、梅子は夫から離婚届を突きつけられていました。そして試験会場に梅子は姿をあらわさず、寅子たちを不安にさせました。
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感想
魔女ファイブのうち3人が脱落。
切なすぎる回でした。
脱落1:香淑ちゃん改めヒャンちゃん
香淑ちゃん改めヒャンちゃんが高等試験を泣く泣く断念しました。
前週まで、魔女ファイブの中で一番おとなしかったヒャンちゃんが、女子部の募集中止を知って学長に猛抗議するという意外すぎる行動に出ました。
実はこんな熱い想いを胸に秘めていたのかと驚かされたものです。
ところで、ヒャンちゃんの熱い想いはどこから来たのか?
厳選を考えたのですが、ヒントはかつてのよねちゃんの言葉の中にあるのかもしれません。
毒まんじゅうの試作のための魔女ファイブが猪爪家に集まったときのこと。
よねちゃんは魔女ファイブ一人ひとりが密かに抱えている悩みを指摘しました。
そんな中でよねちゃんがヒャンちゃんの悩みとして指摘したものは、家族の住む地から遠く離れて言葉も十分に通じない孤独と闘いながら勉強に励んでいること。
よねちゃんが指摘した孤独の中、女子部と魔女ファイブの中に受け入れてもらえたことがヒャンちゃんには嬉しかったのかもしれません。
だから、その恩返しをしたかった。
恩返しとは皆で高等試験に合格し女子部を存続させ、魔女ファイブのこれまでの努力を無駄にしないことです。
ところでヒャンちゃんはこの先にも登場場面が用意されています。
そして、まだ発表されていないストーリー後半にも登場することが予想されます。
ストーリー後半でヒャンちゃんの熱い想いが回収されることを切に願っています。
脱落2:涼子さま
以前、涼子さまのご両親が登場したときのことをよく覚えています。
お父上は妻に目もくれずに外出しようとする。
お母上もそんな夫など眼中にない様子。
涼子さまのご両親がいわゆる仮面夫婦であることは一目でわかりました。
今にして思えば、あのとき涼子さまのお父上が出かけた先は、今回駆け落ちした芸者さんのもとだったのかもしれません。
そんな仮面夫婦の関係を続けていたお母上、以前からいつも酒浸りなことが気になっていました。
しかし今回、アルコールに依存しすぎて壊れてしまった模様。
壊れてしまったお母上ですが、涼子さまはどうしても見捨てることができない。
涼子さまはこれから先、再び登場するかどうかは不明。
しかし、高等試験を断念する決断を下した涼子さまのその後、よねちゃんみたいに強い女性になりたかった涼子さまのその後を見てみたいものです。
ストーリー後半で再登場場面が用意されていますように。
ストーリー後半は戦後。
そのころ、涼子さまは苦労しているのかもしれませんが。
脱落3:梅子さん
ヒャンちゃんとの思い出づくりのために海に行った際。
こうしていつまでも思い出を作り続けることができると思っていたと切ないセリフを口にした梅子さんまでもが脱落しました。
しかも高等試験の受験日の当日(または直前?)に。
離婚届を突きつけるタイミングは、これから高等試験に挑む梅子さんに対する嫌がらせ以外の何者でもありません。
ところで梅子さんとその夫、そして息子たちとの戦いは、実は今回が始まりです。
ストーリー前半の終わりごろに梅子さんと家族の関係は、朝ドラらしからぬかなりエグい形で回収されます。
魔女ファイブの中で最年長ということもあり、いつも面々を上手にまとめていた梅子さんが、実は最も深い泥沼の中でもがいていた。
そんな梅子さんの真実が明らかになるフラグが立ちました。
予習レビューと史実のリアルエピソード
女子部新入生募集中止
今週、ドラマの中では名律大学女子部が再び存続の危機に立たされます。
名律大学の校内新聞で「女子部新入生募集中止!」と報じられ、普段はおとなしい香淑ちゃんが、この時ばかりは学長に対して猛然と講義する。
そんな場面があります。
名律大学の総務部長の説明によれば、年々入学希望者は減る一方で、経営も赤字を垂れ流す状態が続いている。
しかも高等試験でも女性の合格者は出なかった。
以上が名律大学女子部の新入生募集をやめる理由です。
そんな総務部長に対して香淑ちゃんが土下座をしてまで頼み込みます。
高等試験に必ず合格するので「女子部新入生募集中止」を待ってもらえないかと。
香淑ちゃんの必死の懇願により、「女子部新入生募集中止」は一年の猶予が与えられる。
ドラマの中では以上のような展開が描かれます。
ではリアルではどのようなことが起こっていたのか?
明治大学専門部女子部に、リアルトラちゃんが入学したのは昭和7年。
四期生として入学しました。
この年の女子部の入学者は約50名。
その6年後の昭和13年、女子部の入学者は16名にまで激減していました。
しかし昭和13年の秋に、リアルトラちゃんたち3名の女性が高等試験に合格。
3名の女性が高等試験に合格したことは新聞各紙が大々的に記事としてとりあげました。
特に当時は新聞の一面は連日のように日中戦争の戦果が報じられる中、3名の女性が高等試験に合格したニュースは注目度もひときわに高かったようです。
そして、その翌年から女子部の入学者が激増したのは言うまでもありません。
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えっと、日本政府が朝鮮国に対してフェアのように見えるのは、この時点がまだそうは言っても昭和12年、13年だからではないでしょうか。
ヒョンちゃんの兄が絶望して帰国し、よねさんが帰るなら今しか無いと忠告しました。
この先の日本が、敗戦に向けてどんどん余裕を無くしていく、日本国民に対してだって押さえつけてゆくのですから、朝鮮国に対しては……ということはないでしょうか。
あと、ヒョンちゃんたちが朝鮮語をしゃべって書けて、なのは、初等教育のころはまだ支配を受けていなくて、途中から日本語を学び、高等教育を日本で受けようとしたという流れなのではないでしょうか。
初等教育を日本語で行うということになると、母語を取り上げての強制ということになります。そういうやり方に、この先変わらないとも限りません。朝ドラでは描かないかもしれませんが。
香淑ちゃんの本来の読み方を訊ねる涼子さまの、気遣いが素敵です。
真のレディですね。
そんな涼子さまも、高等試験断念に。
「お前、それでいいのか⁈」
いい訳がない。
いい筈がない。
でも、そうするよりほかに方法がない。
家を守るなんて、と思っていたけれど、私たちのような庶民の家とご大家とは事情が全く違うのですね。
家を守ることは引いてはそこで働く玉ちゃんや執事さんはじめ、多くの使用人とその家族の暮らしを守ることに。
壊れてしまったお母さまには、無理。
涼子さまが担わなくてはならないのですね。
お母さまがあんなだからお父さんが外に女を作ったのか、お父さんが女を作ったのが分かったからお母さまがお酒に逃げたのか。
高等試験では、怒れる弁護士・よねちゃんの誕生でしょうか。
その試験会場に現れなかった梅子さん。
海岸で何を思うのか。
よねちゃんの怒りの火種が、また増えそうです。
今週の朝ドラで描写されていたのは、日本統治下の外地出身者でも高等教育を最高学府に進学できて、更にそれが女性であっても司法試験を受験できるということ。実際に、朝鮮半島出身の国会議員も陸軍中将もいるので、資格取得などについて法的な差別はなかったということなのですね。
また、朝鮮語も朝鮮文字も使用でき、朝鮮半島の人たちは朝鮮語で会話をしているということですから、言葉も文字もちゃんと使えたということです。更に、名前も本名も通り名も本人が自由に選べたというのがヒャンちゃんに関する描写から見てとれますね。
当時の日本人は特高警察はほぼ無関係の存在でした。特高を恐れたのは体制転覆をはかるひとたちや共産党革命を目指す人達。そのような動きをしやすい芸能人、舞台人も睨まれていたのは前回の「ブギウギ」でも軍からの圧力として語られていましたね。
海へ、別れを惜しんで。各々の思い。最後にあの唄をフルコーラスで。次に涼子さんの受難。そして離脱。桜川男爵、あの奥さんに嫌気がさしたか?うまく場を収めた寅子さん成長したか。続けて梅子さんの受難。脱落していく仲間たちの思いも背負って寅子さんは試験に臨む。