2024/6/6(木)第10週「女の知恵は鼻の先?」
あらすじ
寅子が花岡と偶然に再会しました。そのころ花岡は、東京地裁の判事として食糧管理法違反の事案を扱っていました。寅子は花岡の子供たちに分けてあげようと、ホーナーからもらったチョコレートを差し出すものの、花岡は受け取ることを固辞しました。
寅子と再会した花岡はその足で桂場のもとを訪ねました。そのころ花岡は、人としての正しさと司法としての正しさの間で苦悩していました。その苦悩を桂場に打ち明けると、花岡はその場を立ち去りました。
その日の夜、久藤とホーナーが家族の分のチョコレートを持参し猪爪家にやって来ました。ユダヤ人のホーナーは多くの親類を亡くしていました。その事実を知った花江は、アメリカ人のホーナーの親切を受け入れることができました。
そんな中、民法改正審議会が開かれました。審議会が長時間にわたる中、休憩時間に穂高が寅子に詫びました。法律の世界に引き込んでしまって申し訳なかったと。しかし寅子には、穂高が詫びる理由がまったく理解できませんでした。
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感想
15分のドラマとは思えないほどの情報量が詰まった回でした。
1時間くらい見ていたような錯覚におちいっています。
花岡くんとの再会
前回に引き続きトラちゃんと花岡くんの再会場面からスタート。
前回の本欄に書きましたが、数年ぶりの再会、しかも戦争という過酷な時代を経ての再会にしては、トラちゃんも花岡くんも再会への喜びが乏しく見える。
トラちゃんが再会を喜ぶ心の余裕がないのはわかるものの、花岡くんはどうなの?
ここまでが前回の再会場面への感想。
しかし、どうやらトラちゃん以上に花岡くんは苦悩を抱えているらしい。
梅子さんの言葉を思い出してみたりと、思い出に酔うばかりで、今を生きているようにはとても見えない。
笑顔に力はなく顔色も悪い。
胸の中に抱えているらしい苦悩をトラちゃんには言えなかった花岡くんでしたが、桂場さんには遠回りな表現ながら口にすることができました。
「人としての正しさと司法としての正しさがここまで乖離するとは」
それだけ言うと桂場さんのもとを立ち去る花岡くん。
疲弊しきった花岡くんの後ろ姿が目に焼きついて離れません。
花岡くんはトラちゃんと公園で別れ際
「じゃあ、また」
「またばったり会ったら」
と、声を掛け合いながら別れましたが、この言葉どおりのことになるのか。
悪い予感しかしない花岡くんの再登場でした。
ホーナーさん
前回、司法省の廊下でトラちゃんにチョコレートを渡したホーナーさん。
トラちゃんの家には子供たちが何人も知ったホーナーさんは、1枚だけじゃ足りないねとトラちゃんを気遣ったのが前回。
そのホーナーさんがチョコレートをたくさん持ってきて猪爪家にやって来ました。
しかし、どうしてそこまでするの?
ホーナーさんはトラちゃんと一緒に仕事をしているわけでもない。
トラちゃんに恩義を感じているようなこともない。
しかし、ホーナーさんがそこまでする理由はすぐに判明しました。
ホーナーさんはユダヤ系アメリカ人。
ヨーロッパにいる親類の多くが亡くなったらしい。
ホーナーさん、亡くした自分の家族の姿を、トラちゃんの向こう側にいる家族に見出していたのかも。
そしてホーナーさんの悲しみを知った花江ちゃんも、アメリカ人に対する複雑な感情が少しだけ溶けた様子。
花江ちゃん、これを機に復活するのかな?
穂高教授
穂高教授は勘違いしているらしい。
トラちゃんが弁護士をやめたのは、法曹の世界がつらすぎたからやめたのだと。
そして生活のために、逃げ出した法曹の世界にやむを得ず戻って来たのだと。
だから穂高教授はトラちゃんに詫びました。
そして家庭教師の仕事まで見つけてきました。
一方のトラちゃんには、穂高教授が詫びる理由がわからない。
そして久しぶりの「はて?」。
穂高教授の勘違いがきっかけになって再びトラちゃんの口から「はて?」が飛び出しました。
花江ちゃんの復活のフラグが立った今回、「はて?」もまたトラちゃん復活のフラグ?
そうでありますように。
予習レビュー
今週、あの花岡くんが再登場します。
そして花岡くんに関するとても悲しい伏線が、花岡くんの再登場場面の中でさりげなく貼られます。
誰にも気づかれないように・・・
花岡くんは佐賀から東京に異動になったようです。
花岡くんが東京に戻ってきたのはトラちゃんと再会する一年前のこと。
今週の花岡くんは、東京地裁で経済事犯専任判事というポジションで、食糧管理法違反の事案を担当しています。
具体的には、闇で流通する食糧を入手した脱法者の事案の担当です。
さて、トラちゃんと花岡くんが再会したとき、トラちゃんは米国の役人からもらったチョコレートを持っています。
花岡くんに二人の子供がいることを聞かされたトラちゃんは、花岡くんにチョコレートをあげようとします。
しかし花岡くんは職掌がら、そのチョコレートを受け取るわけにはいかない。
だからチョコレートの受け取りを拒絶します。
この「チョコレートの受け取りを拒絶」が、花岡くんの今後に関する悲しい伏線です。
伏線はどのように回収されるのか。
これは実際にあった出来事がモチーフになっています。
終戦直後、闇米などを取り扱ったことで食糧管理法違反で検挙、起訴された被告人の事案を担当していた山口良忠氏という人物がいました。
生真面目な山口氏は、闇米など違法に入手した食糧だけでなく、親類縁者から送られてきた食糧なども受け取りを拒否。
ついに栄養失調で死亡。
このリアルの悲しい出来事が、ドラマの中で花岡くんによって再現されてしまうのです。
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花岡くんとの偶然の再会。
花岡くんの「変わってない」の言葉とそれに続く「どんな猪爪もみんな猪爪」の言葉が、トラちゃんの気持ちを前に向かせてくれたようです。
友達は、ありがたいですね。
ホーナーさんの過去を知り、花江ちゃんの気持ちもほぐれました。
穂高先生の勘違いに、トラちゃんの「はて?」が帰って来ました。
いよいよ本格的に再起動なるか。
相変わらず、甘未を食べようとすると現れるトラちゃん。
桂場さんのちょっとうんざりした顔、気の毒だけど笑っちゃう。
先日の6月2日(日曜)、NHKラジオの「伊集院光の百年ラヂオ」で三淵嘉子さんのインタビュー放送を特集していました。一週間はらじるらじるで聞けますから、よかったら聞いてみてください。とても利発な感じのリアル寅子さんの雰囲気が伝わります。おすすめです。
「つらくてやめた」「逃げ出した」の男性陣。はて?
寅ちゃん、子どもが出来て(しかも倒れちゃうという)みんなが休め、一番大事なのはお子さんを産んで育てること、と言われて辞めちゃったわけだけど
皆さんの理解では、現代と同じく、出産と育児休業みたいな感じでお休みしろ、のつもりで、弁護士事務所辞めろってつもりじゃなかったのかな。
まあ、休んでいる時の給料は?とか、制度として整ってないときには、気を遣うばかりで休めないかもですが。
寅ちゃん、イノシシじゃないけど猪突猛進なので
休めと言われた、イコール、辞めろってことか、って思ったわけですが
周囲のことば通り、あの時は体調回復まで休む、体調回復したら働くってことで、良かったのかな。
よねちゃんの「ほっとしやがって」
これも引っかかっていまして。
結婚出産育児と仕事の両立。その道を探る前に「求められていない」ってきれいさっぱり辞めたのが、「つらくて辞めた」「逃げ出した」って理解になってたのか。
明日寅ちゃんが何を言い出すのか?
花岡君と再会。「みんな私が変わったと。」変わってないけど、何かとつっかえ棒が多くて今までみたいな言動が取れない。花岡君の現在の役職が彼のその後に影を落とし。桂場さんとも再会。どうやら花岡君のただならぬ様子に気付いたらしい。ライアン氏、ホーナー氏訪問。チョコレートに大喜び、アメリカに対して含む所のあった花江さんにも笑みが。ライアン氏謎多し。審議会。穂高氏対神保氏。穂高氏意外にも転職の勧め。「はて?」