2024/6/14(金)第11週「女子と小人は養い難し?」
あらすじ
昭和23年(1948年)12月。家事審判所と少年審判所の対立を解決するために、寅子は直明に賭けることにしました。直明は「東京少年少女保護連盟」のメンバーたちと演説を行い、心を動かされた浦野と壇はついに合併を受け入れました。
家事審判所と少年審判所の合併は前に進んだものの課題は山積みでした。最大の課題は東京家庭裁判所の事務所物件が見つからないことでした。そして迎えた昭和23年(1948年)大晦日。借りることができた物件で事務所を開く準備を職員総出で行いました。
事務所の準備が一通り終わったとき、多岐川が壁に絵を飾りました。その絵は花岡の妻が描いたものでした。多岐川は言いました。法律とは幸せになるためのものだ。法律に縛られて死んだ花岡を自分たちの戒めとするためにこの絵を飾るのだと。
昭和24年(1949年)1月。東京家庭裁判所が開所しました。終戦間際、戦争孤児たちを救うと心に決めていた多岐川は万巻の思いを込めて看板を掲げました。そして東京家庭裁判所の開所の瞬間の喜びを寅子たちと共有するのでした。
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感想
前週の最後の瞬間にハーシーの口から花岡くんの死が告げられ、今週の月曜日のアバンタイトルで花岡くんの死因が回収。
悲しいエピソードから始まった今週はまた、かつての仲間たちのうち3名が再登場。
しかし、その再登場も複雑な気持ちで迎えた再登場でした。
今週の振り返り:よねちゃんと轟くんの再登場
花岡くんの死が報道された新聞を街角で読む復員兵の姿。
その復員兵こそ轟くん。
しかし、轟くんの次の映像にはかつての「俺たちの轟」の姿はありませんでした。
轟くんがそれほどまでに絶望した理由は月曜日の回で語られました。
轟くん、どうやら一時は戦場で疲弊しきり日本に帰る気力すら失ったこともあるらしい。
そんな轟くんの心の支えとなったのが花岡くんの存在でした。
花岡くんが判事になったことを戦地で心から喜んだ轟くん。
花岡くんがいる日本に必ず生きて帰ろうと、戦場で自分を必死に鼓舞したであろうことは容易に想像がつきます。
そして、花岡くんが待つ日本にようやく帰って来れた。
ところが日本に帰ってきて真っ先に轟くんの目に飛び込んできたのは花岡くんが餓死したことを報道する新聞の記事。
花岡くんの存在を支えに、自分は戦場から生きて帰ってきた。
一方の花岡くんは兵役を免れていたにも関わらず、戦争が間接的な理由となって命を落とす。
轟くんにとってあまりにも皮肉な展開です。
あのまま轟くんを放っておいたら、轟くんは間違いなく廃人になっていたかと。
しかし轟くんは危ういところで救われました。
轟くんを救ったのはよねちゃん。
明律大学時代、反目しあいながらも似た者同士でもあったよねちゃんと轟くん。
大学時代の二人の描写は今週へのフラグだったようです。
似た者同士の二人は最強のバディとなりました。
しかし、悲しみの中での二人の再登場。
本当は喜ぶべき二人の再登場にして二人の再会のはずなのに、あまりにも切ない再登場&再会となってしまいました。
今週の振り返り:ヒャンちゃんの再登場
ヒャンちゃんが意外な形で再登場を果たしました。
そしてヒャンちゃんの再登場もまた、複雑な気持ちで迎えることになりました。
汐見さんと結婚し、汐見さんとともに多岐川さんのご自宅に身を寄せていたらしいヒャンちゃん改め香子ちゃん。
多岐川さんや汐見さんとの会話の中で、職場にトラちゃんがいることを知ったのでしょう。
多岐川さんか汐見さんが香子ちゃんに話したものと思われます。
香子ちゃんの同窓生の女性が職場にいるよって。
想像するに、多岐川さんまたは汐見さんは、同窓生が職場にいる事実を教えれば、家族と別れて寂しそうな香子ちゃんも少しは元気が出ると期待したのではないか。
ところが、同窓生が職場にいることを教えた途端に香子ちゃんの表情は曇ってしまった。
そして自分が日本にいることはトラちゃんには絶対に言わないでほしいと、多岐川さんと汐見さんに釘を刺したのでしょう。
汐見さんは優しいから、理由など聞かずに香子ちゃんの頼みを受け入れたはず。
多岐川さんも変人ですが、実はとっても優しい人なので香子ちゃんの気持ちを最大限に尊重しようと決めたはず。
しかし酔っ払ってうっかりミスをやらかしてしまった。
多岐川さん、痛恨のミスです。
今はまだ香子ちゃんの今後がどうなるのかは全く見えません。
しかし多岐川さんの痛恨のミスが、良い方向に作用することを願うばかりです。
今週の振り返り:多岐川さん
変人キャラとして登場した多岐川さんは今回、ヤケドしそうなくらい熱い男として回収されました。
餓死した花岡くんをバカ呼ばわりしたことも納得できました。
前回まではどちらかといえば「働かないおじさん」の部類に属していた多岐川さん。
一転して今回からは「理想の上司」に格上げ。
次週以降、多岐川さんと会えるのが本作の楽しみにひとつになりました。
次週予告
よねちゃんが次週も登場。
しかし、弁護士をやめたトラちゃんをよねちゃんは許してはいないらしい。
トラちゃん自身は法律の世界から離脱した自分への負の感情をようやく克服できたのに、その負の感情を今度は第三者から突きつけられることに。
ここまで書いて気がつきました。
ヒャンちゃん改め香子ちゃんがトラちゃんとの再会を喜ばなかったのも、法律の世界から離脱したことへの後ろめたさがあるのかなと。
もつれてしまった糸のような魔女ファイブの関係。
修復されるのはいつになるのでしょうか。
予習レビューと史実のリアルエピソード
多岐川幸四郎の意外な一面
変人、多岐川幸四郎の意外な一面が少しづつ明らかになってきます。
久藤さんが多岐川幸四郎のことを「彼ほど少年問題に熱心な人はいない」と言うものの、トラちゃんは半信半疑。
しかし久藤さんが言うことはどうやら本当だということがわかり始めるのです。
例えば・・・
直明くん曰く、
・子供たちを救うボランティア活動を日本に初めて取り入れた
・京都の学生たちを子供たちを救うために団結させた
・非行少年たちの更生に尽くした
などなど。
多岐川幸四郎の部下の一人である汐見さんも言います。
・朝鮮から引き上げ上野駅に着いたとき戦災孤児たちを目撃
・子供たちを幸せにすることに残りの人生を捧げよう
などなど、と。
これら多岐川幸四郎の意外な一面、実在モデル・宇田川潤四郎のリアルストーリーがモチーフになっています。
宇田川潤四郎氏のリアルストーリー
宇田川潤四郎氏は戦後、妻と3人の子供たちとともに満州から引き揚げてきました。
そして、戦争で両親を亡くした戦争孤児に実態を目の当たりにました。
そんな宇田川潤四郎氏は、朝鮮から引揚後しばらくして京都少年審判所の所長に就任。
人手不足の状態を解消すべく自ら大学に足を運びました。
そして集まった学生たちに、子供たちの相談にのってくれるよう協力を要請。
非行防止の指導(保護観察)を目的とした、アメリカ生まれのBBS運動(Big Brothers and Sisters Movement)を始めました。
また、自ら土地を探して、宇治少年院を開設。
これらリアルストーリーも、ドラマの中の多岐川幸四郎の意外な一面に反映されています。
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直明君の演説で一発逆転。でも寅子さんには割り切れない思いが。小橋さんいささか皮肉めいて。多岐川さん檄を飛ばし過ぎて腰が。設置場所その他課題山積。謎の絵画、作者は花岡夫人。
とりあえず間に合った。多岐川さん心に沁みる名言。多岐川さん過去のトラウマと転機。汐見さんが多岐川さんの一番の理解者、そんな彼が多岐川さんと寅子さん似ていると。