本放送:2011年12月21日(水)
再放送:2014年6月25日(水)
再々放送:2024年12月11日(水)
第12週「薄れゆく希望」
花言葉の花「アネモネ」
あらすじ
世間の怖さを知る以前よりもお客さんに深く頭を下げられるようになった糸子。闇屋の噂の影響は案じていたよりは少なく、店にはお客さんが戻って来ました。そしてお金の代りに受け取る食料が再び増えて来るオハラ洋装店。
モンペ教室を再開して間もなく大日本婦人会の澤田がやって来て、モンペ教室をやめてミシンを供出しろと迫ってきました。丁寧な対応を心がける糸子ですが澤田の態度に激怒し「ええからはよ帰ってんか!」と怒鳴り、追い返してしまいます。
善作の仏前で苦悩する糸子は突如優子の散髪を思い立ちます。しかし、短く切り過ぎだと優子は木岡の家に不満を言いに行きました。たまたま来ていた木岡の弟は「軍服屋のおっちゃんが邪魔したな」と糸子に伝えてくれと優子に言います。
伝言を糸子に伝える優子。その言葉で糸子はひらめきました。大急ぎで軍服縫製の準備を整え大日本婦人会の澤田を迎えた糸子は、軍服製造でミシンの供出を免れます。またしても善作に助けられたと感謝する糸子は仏前で手を合わせるのでした。
感想
モンペ教室が再開!と思った途端にやって来ました時代を超えて存在する独善おばちゃん集団、この時代の呼称は大日本婦人会。毎度々々ストーカーのようにオハラ洋装店にやって来るおばちゃんたちですが、いい味出してます。
『ごちそうさん』にも大日本婦人会の強面のおばちゃんたちが登場しましたが、こちらのおばちゃんたちの方が悪役然として迫力もありますね。『ごちそうさん』の場合は、コミカルに見せる都合上迫力を下手に出せない事情もあったのでしょう。
「決戦です!モンペはボロキレでつくれ!」という大政翼賛会のチラシを葵の御紋のように振りかざし、教室を強引に解散させミシンを供出させよう、というよりは没収してしまう勢いのおばちゃんたち。でも糸子のほうが強かった。
「ええからはよ帰ってんか!(怒)」
「どこの親分や、素人ちゃうで、あのドス」と面白がって話す昌ちゃん。素人ちゃうでって、昌ちゃんは玄人のドスを知ってるんでしょうか。身近なところにどこぞの親分がいたんでしょうか。
おばちゃんたちに啖呵を切ったものの、苦悩する糸子。「絶対嫌や、これを取られるわけにはいかない、お父ちゃんが反物を売り払ってまで買ってくれたもの」商売が出来なくなるというそれ以上に善作お父ちゃんの思い出の品のミシン。
苦しい時の善作頼み、善作お父ちゃんの仏前で「どないしたらええんやろ、お父ちゃん教えて」と必死になって手を合わせる糸子。いつの間にやら隣で一緒に手を合わせている優子ちゃんが可愛い。
その優子ちゃんの前髪が伸びていることに気付いたのがすべての始まりでした。もう善作お父ちゃんはいないから散髪しても文句言われないだろうと糸子。それまで「お父ちゃん教えて」と祈ってたのに瞬時の手のひら返し。
おかっぱにされた優子は「変や!」と激怒。何故か木岡のおっちゃん、おばちゃんに母の暴挙を訴えに。するとそこには軍服屋のおっちゃんこと木岡の弟・やっさんが。優子が糸子の娘と聞かされて、糸子に伝言を頼みます。
「軍服屋のおっちゃんが邪魔したなってお母ちゃんに言っといてや」
この伝言に糸子ひらめく。猛ダッシュで木岡のおっちゃんの家に駆け込むと、まだいる軍服屋のおっちゃんに「ぐん・・・ぐん・・・軍服作らせて下さい!」
軍服縫製という「大義」を得てミシン供出を辛くも免れた糸子。はじめは「お父ちゃんが教えてくれないから自分で考えたと言ったものの、優子の散髪からはじまる今回のことの成り行きを思うほどに「やっぱしお父ちゃんか」と、また感謝する糸子。
そもそもがその昔、軍服屋のおっちゃんことやっさんの商売が苦しい時に助けの手を差し伸べてくれた。その恩返しをしたかったというやっさん。善作お父ちゃんの残した宝物の場所まで、目に見えぬ善作お父ちゃんが導いてくれたのでした。合掌。