生みの親・キヌとの再会 / ブギウギ 第111回

2024/3/8(金)第23週「マミーのマミーや」

あらすじ

梅吉が亡くなりました。梅吉の葬儀では、松吉が涙ながらに梅吉の自慢をしました。葬儀の席でスズ子は、杖をつきながら歩いている初老の女性に挨拶されました。その女性はスズ子の生みの親・キヌでした。

スズ子は、15年ぶりに再会したキヌと二人だけで話をしました。そしてスズ子とキヌは再会を約束。キヌの立ち去り際、キヌは何者なのかと愛子はスズ子に尋ねました。愛子の質問に対してスズ子は答えました。「マミーのマミーや」と。

そして迎えたスズ子が香川を去る日。生前、梅吉が大事にしていた亀を愛子は欲しがりました。しかし梅吉代わりの亀を松吉は手放すことができませんでした。亀の代わりに松吉は、梅吉が撮影した愛子と亀の写真を愛子に贈りました。

東京に戻ったスズ子は、梅吉の遺影をツヤの遺影に横に並べました。しかし、スズ子は仏壇のリンを紛失。リンを探す中でスズ子は、15年前にキヌにもらった懐中時計を見つけました。その懐中時計をスズ子は愛子に贈ることにしました。

感想

今週のサブタイトルは「マミーのマミーや」。

マミーのマミーとは、愛子ちゃんのマミーのマミー、すなわち実母のキヌさんのことです。

スズ子ちゃんの中に確実に存在し続けたであろう実母への複雑な感情、養父母への思いが清算されるまでが今週のお題でした。

そんな今週は前半（月〜水）は、渡米をきっかけに母として悩むスズ子ちゃん。

そして後半（木〜金）が、マミーのマミーが描かれました。

前半も後半も、テーマは母。

なので前半の母としての悩みが後半になって回収される構成なのかなと予想していました。

しかし、前半と後半に特段の関連はなかったかなというのが今週を終えての感想です。

今週の振り返り：前半（月〜水）

前半は渡米の話が浮上するものの、愛子ちゃんは渡航許可が降りず、愛子ちゃんを日本に置いて渡米することに悩むスズ子ちゃんの苦悩が描かれました。

渡米するか否か。

迷いに迷うスズ子ちゃんが思い出したのはツヤさん。

ツヤさんなら、娘の自分を置いてどこかに行くことはないだろう。

スズ子ちゃんはまた、麻里さんにも相談しながら、麻里さんもまた子育てに徹するだろうと考えました。

そして子育てを優先することが母親としての本来のあり方だとスズ子ちゃんは考えました。

しかし麻里さんの助言は意外なものでした。

麻里さんは言いました。

スズ子ちゃんは人を楽しませる特別な仕事に就いているのだから、自分とは同列には考えられない、と。

また、スズ子ちゃん自身も、ツヤさんが生きていたなら自分の背中を押してくれたに違いないと考え直した。

スズ子ちゃんは、ようやく渡米すると決断を下せました。

しかし、ついに渡米できても、米国滞在中に思い出すのは愛子ちゃんのことばかりだったようです。

そんな母としての苦悩を経験したスズ子ちゃん。

後半では、二人の母への複雑な想いが清算されました。

今週の振り返り：後半（木〜金）

スズ子ちゃんはどうやら、梅吉さんとツヤさんが実の両親ではなく養父母であることを、自分に教えてくれなかったことを、これまでずっと気に病んでいたらしい。

その疑問を最期を迎えた梅吉さんにぶつけました。

そのときの梅吉さんの答えが素晴らしい。

泣けました。

スズ子は本当の子だから、自分たちが養父母だと言う必要などない。

梅吉さんもツヤさんも、スズ子ちゃんを本当の子だと心の底から信じていました。

だから、自分たちは養父母だと考えたことなど一度もなかったようです。

実際、ツヤさんが亡くなる間際に梅吉さんに言いました。

スズ子ちゃんの母親のままでいたい。

だからスズ子ちゃんとキヌさんを会わせてくれるなと。

ところが、スズ子ちゃんとキヌさんは再会してしまいました。

しかし、スズ子ちゃんとキヌさんが再会しても、ツヤさんはスズ子ちゃんの母親のままでした。

ツヤさんがスズ子ちゃんの母親のままでいられたのは梅吉さんの働きが大きい。

今回の説明によれば、梅吉さんはキヌさん一家の写真も撮っていたらしい。

そして梅吉さんはキヌさんに対して複雑な感情は微塵も抱いていなかったらしい。

どうやらツヤさん以上に梅吉さんは、スズ子ちゃんを自分の子だと信じて疑わなかったようです。

そんな梅吉さんが間に入ったので、スズ子ちゃんとキヌさんが再会しても、ツヤさんはスズ子ちゃんの母親のままでいられました。

そして梅吉さんがいたおかげで、スズ子ちゃんは二人のマミーを受け入れることができたようです。

梅吉さんの大阪時代と東京時代は残念なお父ちゃんとしてしか描かれなかった梅吉さん。

しかし最後は、スズ子ちゃんとツヤさん、そしてキヌさんまでをも救う偉大な存在になりました。

というわけで梅吉さんはこれにて退場。

お疲れ様でした。

予習レビュー

実母・キヌさんと再会

ドラマの中でスズ子ちゃんは実母・キヌさんと再会します。

少なくともスズ子ちゃんの中には実母にどうしても会いたいという気持ちはそれほど強くないはずなので「感動の再会」場面にはならないかと思います。

しかし泣かせてくれるかもしれないやり取りが用意されています。

スズ子ちゃんがキヌさんと再会するのは梅吉さんの葬儀でのこと。

梅吉さんの葬儀では、スズ子ちゃんはキヌさんと軽く言葉を交わす程度です。

スズ子ちゃんの中では母親はツヤさんだけなので、再会といってもこの程度になるのは当然です。

さて、ちょっとだけ言葉を交わすスズ子ちゃんとキヌさんの姿を見た愛子ちゃんが、スズ子ちゃんに尋ねます。

「マミーの友達？」と。

愛子ちゃんの目にも「友達」としか映らないらしい。

しかし、愛子ちゃんの質問に対するスズ子ちゃんの答えがグッときます。

「マミーのマミーや」

スズ子ちゃんがキヌさんを母親として受け入れた瞬間です。

実は、梅吉さんが息を引き取る直前、スズ子ちゃんは梅吉さんに白状しています。

自分が養子であることを知っていたことを。

続けてスズ子ちゃんは、養子であることを隠し続けてくれた梅吉さんに礼を述べています。

スズ子ちゃんの心の中にトゲのように刺さり続けていたであろう、出生の秘密に対するわだかまりが、今週すべて清算されるのかもしれません。