2023/11/14(火)第7週「義理と恋とワテ」

あらすじ

ある日、スズ子は内緒の話があるといって松永に呼び出されました。そして、スズ子と二人きりになった松永はスズ子に言いました。梅丸のライバル会社である日宝に一緒に移籍しないか。三日以内に答えを聞かせてほしいと。

松永からの誘いに困惑したスズ子は羽鳥善一にそのことを相談。羽鳥は移籍に大反対しました。同じころ、秋山はダンサーの中山からプロポーズされていました。しかし秋山はプロポーズを受けるかどうか悩んでしまいました。

その数日後、スズ子は松永とともに日宝の社長・大林と面会しました。大林は梅丸の1.5倍の給料をスズ子に提示。契約書への署名を求めました。スズ子はその場での即答を避けるものの松永は改めて移籍をすすめました。

そんな中、六郎からの手紙を受け取ったスズ子は、ツヤが病気であることを知りました。ツヤの治療費のためにも日宝への移籍が必要だとスズ子が考え始めたそのとき、部長の辛島がスズ子の下宿に乗り込んできました。

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感想

スズ子ちゃんと松永氏

松永氏に思わせぶりなお誘いはデートのお誘いではなく移籍の誘いでした。

そもそも松永氏が日報への移籍の話にのった理由。

それはスズ子ちゃんに語ったとおり、自分がやりたいことをするには梅丸にいるよりも日宝に移籍した方がいいという判断から。

処遇も良かったのでしょうが、松永氏は資産家のボンという設定。

多少の処遇のアップはそれほど魅力的ではない。

それよりも梅丸ではできない自分のやりたいことを実現しようと思ったら日宝の環境こそが最適だと考えたのでしょう。

そして日宝で自分の夢見るステージを作るにはスズ子ちゃんの存在が欠かせない。

だからスズ子ちゃんを誘った。

一方のスズ子ちゃんは松永氏への恋心のせいで松永氏の本音が見えていないらしい。

スズ子ちゃんの中では、松永氏からの移籍の誘いは恋の告白と同じようなものなのかもしれません。

ところで前週最後に放送された予告映像の中でスズ子ちゃんが泣きながら夜の道を歩くカットがありました。

あの夜の道のカットはスズ子ちゃんが松永氏の気持ちを知ってしまった後の姿なのか。

今週のスズ子ちゃんのドラマが動き始めました。

美月ちゃんと中山氏

美月ちゃんもまた前回に引き続き迷いに迷っています。

否、前回以上に迷っています。

前回は中山氏の指導に対する違和感が迷いの理由でした。

中山氏は自分の立ち位置まで決めようとする。

先輩と後輩の関係はそんなものなのか。

しかし、自分の立ち位置を決められてしまうことに対する違和感を禁じ得ない。

今回はさらに中山氏は美月ちゃんにプロポーズ。

中山氏の指導への違和感さえなければ、美月ちゃんはこのプロポーズを喜んで受けれ入れているかと思います。

しかし指導への違和感が解消されない中でのプロポーズ。

もしプロポーズを受け入れたら、ダンサーとしての立ち位置だけでなく、人生の選択さえ中山氏に決められかねない。

美月ちゃん、ますます迷いが深くなっているはず。

恋をとるか義理をとるかで迷うスズ子ちゃんに対して、美月ちゃんの迷いは恋をとるか自分の人生をとるかの迷い。

迷いに終止符を打つのはスズ子ちゃんと美月ちゃん、どちらが先になるのでしょうか。

ツヤさん

前週の最後に少しだけ触れられたツヤさんの体調不良が早くも回収されました。

前週の段階では六郎くんがツヤさんを「風邪」と言っていたものの、熱々先生の見立ては違うらしい。

そして治療にはお金がかかる。

そんなタイミングで舞い込んでいた移籍話を受け入れれば、給料は梅丸の1.5倍になる。

六郎くんからの手紙を読むまでのスズ子ちゃんの迷いは、松永氏への恋心と梅丸への義理の板挟み状態にありました。

松永氏への恋心をとるか、梅丸への義理をとるかという迷いです。

しかし恋心よりも義理もよりも優先せずにはいられないツヤさんの治療費の工面という現実的な問題が浮上。

その問題を解決する方法はすでに目の前にある。

それは契約書に署名するだけ。

しかし、そこへカラポンが駆け込んできました。

今回はここでおしまい。

次回は面倒なことになりそうです。

今週のサブタイトル「義理と恋とワテ」の三つの要素が、次回あたりから複雑に絡み合いながら話が進んでゆくのでしょうか。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

今週、演出家の松永くんが「日宝」に移籍しないかとスズ子ちゃんを誘うエピソードが描かれます。

このエピソードは史実をもとにしています。

史実では次のようなことがありました。

演出家の松永くんの実在モデルは益田貞信氏。

日宝の実在モデルは東宝です。

益田貞信氏の祖父は三井物産を創業した益田孝雄男爵です。

そんなセレブ家庭に生まれ育ち欧米で最先端の舞台芸術に触れた経験がある益田貞信氏は、松竹の社風が合わずに東宝に移籍。

益田貞信氏が東宝に移籍したのは昭和13年(1938年)6月のことでした。

そして翌年の春、かねてより笠置シヅ子さんの才能を買っていた益田貞信氏が、東宝に移籍しないかと笠置シヅ子さんを誘いました。

東宝への移籍を誘われた当時、笠置シヅ子さんの養母は闘病中で、治療に多額のお金が必要でした。

そんな中での移籍話で東宝から提案された給料は、松竹の200円に対して東宝は300円。

笠置シヅ子さんは東宝の契約書に調印しました。

しかし調印の事実はすぐに松竹の幹部の知るところとなり、移籍問題は大騒動に発展しました。

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