2024/7/17(水)第16週「女やもめに花が咲く?」
あらすじ
山の境界線をめぐっての現地調停で、書記官の高瀬と申立人の森口との間で喧嘩が勃発。寅子は高瀬を気づかうものの、高瀬は寅子の気づかいを拒み、森口に対してなぜ激昂したのかを話そうとはしませんでした。
その日、寅子が家に帰ると、優未がテストの点数を書き換えようとしている現場を目撃。寅子は優未に謝罪しました。嘘をつかせたのは自分だと。寅子の謝罪を受け、優未は、テストになると緊張してしまうのだと寅子に告げました。
優未の言葉を聞き、寅子は亡き優三が高等試験のたびに緊張していたことを優未に話しました。優未は優三がどんな人だったのか聞きたがったものの、寅子は胸が詰まって優三のことを話すことができませんでした。
その翌日、三条支部で寅子と航一が話している杉田の弟がやって来て話し始めました。森口が高瀬の亡くなった兄のことに触れた途端、高瀬は起こり始めたのだと。杉田の話を聞かされた航一は、高瀬は兄の死を受け止めきれていないのではないかと応えました。
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感想
航一くんの洞察
何を考えているのかさっぱり分からない航一さんですが、ご本人は他者の考えていることをするどく洞察する高い能力を持っているようです。
二つのセリフからそれが見えてきました。
一つ目。
前の晩、トラちゃんが泣いたことを見抜きました。
これは気持ちを察したというよりは、目が腫れていたことに気づいたのでしょう。
しかし、泣いたことだけが目が腫れる原因というわけではありません。
体調が悪ければ、あるいは睡眠が不足しているだけでも目が腫れることはあります。
にも関わらず航一さんは、目が腫れた原因を泣いたことに特定しました。
目が腫れている以外に、航一さんは何を察したのかもしれません。
二つ目。
高瀬くんが森口さんに対して激昂した理由を杉田弟に聞かされたとき、間髪を入れずに航一さんは言いました。
兄の死を受け止めきれていないのではないかと。
航一さんは高瀬くんとは面識はあるでしょう。
しかし、親しく話す間柄ではありません。
そもそも二人が会話したことがないことだって考えられる。
にも関わらず航一さんは、高瀬くんが激昂した理由をするどく指摘しました。
ただし、トラちゃんが前の晩に泣いたことを航一さんは言い当てましたが、高瀬くんについては今のところ推測に過ぎません。
高瀬くんの推測が当たったとき、航一くんの洞察力は確定?
航一くんのキャラから言っても直道くんの「俺にはわかる」のようにはならないでしょう。
それにしても航一くん、どこでこんな能力を身につけたのか。
航一くん、クセになりそうなキャラです。
トラちゃんと高瀬くんの共通点
トラちゃんが優三くんの死を受け止めきれていないことが判明。
振り返ってみると、優三くんの死後にトラちゃんが優三くんのことを思い出す場面はわずかしかありませんでした。
もしかすると優三くんの死が判明した直後くらい?
これまでトラちゃんが優三くんを思い出す場面がほとんどなかったのは、これはもしかすると意図的にそうしたのではないか。
そんな気がしてきました。
トラちゃんは、優未ちゃんからお父さんがどんな人だったか聞かせてほしいとせがまれ動揺を隠せませんでした。
普通に話し始めるのかと思ったら、言葉に詰まって一言も話せない。
トラちゃん、優三くんの死からまだ立ち直っていなかったんだ。
このトラちゃんの気持ちと高瀬くんの気持ちが、次回あたりで絡み合うのかもしれません。
お兄さんの死を受け止めきれていない高瀬くんと向き合うことで、トラちゃんもようやく優三くんの死を受け止めることができるのかな?
そしてトラちゃんが優三くんのことを優未ちゃんに詳しく話せるようになったとき、トラちゃんと優未ちゃんの関係にも良い変化があらわれ始めるのかもしれません。
今回はトラちゃんにせよ高瀬くんにせよ、見ていてつらくなるような表情ばかりが際立ちました。
しかし次回には二人に希望を見出せるようになるかもしれません。
予習レビューと史実のリアルエピソード
リアルトラちゃんが地裁に進んだきっかけ:田中耕太郎
家庭裁判所の判事補として裁判官のキャリアをスタートさせたリアルトラちゃんが、家庭裁判所の次の異動先として地方裁判所を選んだのには理由があります。
昭和26年(1951年)のあるとき、NHKで最高裁長官を囲む座談会が開かれました。
その座談会にはリアルトラちゃんも女性法律家の代表として出席しました。
当時、リアルトラちゃんに家裁判事補の辞令を出した三淵忠彦氏は体調を損ね、すでに最高裁長官を退官。
最高裁二代目長官である田中耕太郎氏が座談会に出席し、次のような言葉を発しました。
「女性の裁判官は、女性本来の特性から見て家庭裁判所裁判官がふさわしい」
この発言に対してリアルトラちゃんは即座に反応しました。
リアルトラちゃんは座談会の席で「すんっ!」では済まさず「はて?」と反撃。
「家裁の裁判官の適性があるかどうかは個人の特性によるもので、男女の別で決められるものではない」
ところで上述の田中耕太郎氏はリアルトラちゃんを家庭裁判所の専門家に育てあげることを考えていました。
そんな田中耕太郎氏の目論見をリアルトラちゃんは警戒。
自分がこのまま家庭裁判所の専門家になってしまったら、後続の女性法律家の道が家庭裁判所に固定されかねないと危惧したのです。
そこでリアルトラちゃんは次の異動先として、経験を積んできた家裁ではなく、経験のない地裁を希望。
後続の女性法律家たちが自動的に家裁に送り込まれる事態をリアルトラちゃんは避けたのでした。
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小野さん(堺正章さんの令嬢)の一言。重い。優未ちゃん何となく良い子の演技?おとうさんどんな人?まさか新宿で美容整形医師をやっているとは言えない。娘には言えない夫の思い出。気持ちの整理ができていない。出社拒否、娘に見られて。航一さんの助け舟。