2024/8/1(月)第18週「七人の子は生すとも女に心許すな?」
あらすじ
汐見と香子が訪問している最中に小野が訪ねて来ました。小野は汐見と香子に尋ねました。朝鮮人と結婚することに不安はなかったのか?自分は親に反対され、普通の暮らしが壊れることが怖くなって断念したのだと。
一方で寅子は航一に報告しました。放火事件の証拠として提出された手紙の翻訳に誤りがあると。ほどなくして寅子は杉田にも相談。杉田は朝鮮語の専門家に翻訳を依頼し、手紙は証拠として認められなくなりました。
季節は冬になり、その年はじめて雪が積もりました。放火事件は控訴される無罪が確定。そんな中、寅子は入倉と航一を誘ってライトハウスに足を運びました。寅子は、入倉と航一に平等が実現されていない現実に対する疑問を口にしました。
すると、その場に居合わせた杉田が寅子の言葉に反応。平等を求められるのは学があるか余裕がある者だけだ。戦争が終わって10年しか経っていない。人々にまだ余裕はないのだと杉田は言いました。その杉田の言葉に航一が応えました。「ごめんなさい」と。
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感想
小野さんの暗い目の理由
いつも暗い目をしている小野さんのワケありキャラ顔の理由が明らかにされました。
親の言いなりになって朝鮮人の恋人との結婚を断念したことを後悔してたんですね。
その後悔の念でずっと苦しんでいたんでしょう。
小野さんが結婚を断念したのは平穏な生活が壊れるのが怖いから。
小野さんの中にあった「差別意識」が結婚を断念させ、「差別意識」を自覚したことが小野さんを苦しめていたのかも。
その苦しみから逃れようと朝鮮人が被告となった裁判を傍聴。
しかし小野さんが目にしたのは差別の現実。
小野さん、ますます苦しくなってしまうのは当然です。
そんな中、汐見さんと香子ちゃんがやって来たのは小野さんにとって救いでした。
香子ちゃんは汐見さんと結婚するために家族とは絶縁しているはずです。
一方、セリフは割愛されたようですが汐見さんもどうやら家族と絶縁して香子ちゃんと結婚する道を選んだらしい。
実は二人ともそこまで覚悟を決めての結婚でした。
でも、香子ちゃんが小野さんに言ったのは次の言葉だけ。
「好きになった人が日本人だった、それだけ」
汐見さんも同じ気持ちだと言いました。
このシンプルな言葉が小野さんの心をどれだけ軽くしたか。
また汐見さんと香子ちゃんが家族と絶縁した過去を語るセリフがカットされてよかった。
汐見さんと香子ちゃんが家族と絶縁してまで結婚した事実を知ったら、小野さんの心はますます重く暗くなったかも。
汐見さんと香子ちゃんとの出会いを機に、小野さんの心が救われますように。
杉田兄
杉田兄の号泣場面再び。
杉田兄が号泣する姿、何度見ても泣けます。
涙とは縁がなさそうに見える腹黒キャラだけに、余計に泣けるのかもしれません。
しかし今回の杉田兄の姿を見て、杉田兄への見方がまた少しだけ変わりました。
トラちゃんは憲法14条がうたう「平等」が実現されていないことを嘆く観念の人。
それに対して杉田兄は、戦後の暮らしの中で辛酸を舐めている人を見つめている現実の人。
これまでブログ主は、杉田兄が言う「持ちつ持たれつ」とは、臭いものにはフタをしてお互いに目をそらそうよ、という処世術だと考えていました。
悪い意味での「持ちつ持たれつ」です。
しかし、杉田兄は案外、良い意味での「持ちつ持たれつ」の人でもるような気がしてきました。
臭いものにはフタをしたがるお金持ちだけを相手にしているのではなく、困っている人にも手を差し伸べる人の側面もあるのかも。
今回描かれたライトハウスの場面は次回に続くものと思われます。
明日、杉田兄の人と成りがより見えて来るかもしれません。
複雑なキャラ・杉田兄。
朝ドラの中で出会ったキャラたちの中でも、忘れられない一人になるような気がしてきました。
航一さん
航一さんが最後にまたしても「ごめんなさい」。
次回、「ごめんなさい」の理由が明らかになるはずです。
予習レビューと史実のリアルエピソード
航一さんが生じさせた心の溝
トラちゃんが三条支部に着任したころ、三条支部で再会した航一さんはトラちゃんの母娘関係がこじれ気味であることを鋭く察しました。
そして航一さんは、トラちゃんが優未ちゃんとの間に生じた心の溝を埋めようと必死の努力をしていることを指摘。
一方の自分は、溝を埋めるどころか溝を広げるようなことをしてしまったと意味深な言葉を発しました。
しかし航一さんは誰との間に溝を生じさせてしまったのか、詳細は今のところ不明です。
では、航一さんの実在モデル・三淵乾太郎氏は家族関係において何がしかの問題を抱えていたのか。
そのあたりのことについて簡単にまとめてみました。
星航一の実在モデル・三淵乾太郎氏の家族
結論から言います。
星航一の実在モデル・三淵乾太郎氏は家族との間に特段の問題は抱えてはいなかったようです。
ただし、三淵乾太郎氏の子供たちは継母、すなわちリアルトラちゃんとの間に問題を抱えていたようです。
三淵乾太郎氏の長男・力(ちから)さんは次のような言葉を残しています。
「昨日仲睦まじかったかと思うと今日はもう言い争い、といったふうに波乱が起き、我が家は平穏とはとても言い難い状態になった」
どうやら三淵乾太郎氏とリアルトラちゃんの再婚後、それまで平穏だった家庭は平穏さを失ってしまったようです。
三淵乾太郎氏の長女・那珂(なか)さんも次のような言葉を残しています。
「(親身になって相談に乗る継母は)他人にとっては良かったでしょう。(中略)身内としては付き合いにくかったですね」
一方で、リアルトラちゃんの長男・芳武さんは、三淵乾太郎氏について次のように語っています。
「乾太郎さんとはすぐに仲良くなれました」
ドラマの中の航一さんは何者かとの間に心の溝を生じさせてしまったようですが、リアルの三淵乾太郎氏は、そのような人間関係の問題はなかったようです。
(ご家族の言葉は『三淵嘉子と家庭裁判所』より引用)
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小野さんの苦悩。汐見夫妻の言葉は小野さんにどう届いたか?今回は杉田さんが味方だった。強敵が味方に回ると心強い。入倉君もまともだったし。航一さんごめんなさいの意味は。