虎に翼

寅子が苗字のことを悩む / 虎に翼 第102回

2024/8/20(火)第21週「貞女は二夫に見えず?」

あらすじ

結婚したら、自分か航一のどちらかの苗字が変わる。そのことに気づいた寅子は、その日の夜に悪夢にうなされました。悪夢の中で佐田姓を名乗る寅子は、猪爪寅子と星寅子から責め立てられました。

そんな中、寅子は轟の事務所を訪問。轟と遠藤に対して軽はずみなことを言ったことを謝罪しました。その上で寅子は轟に苗字のことで悩んでいると相談。謝罪と相談を受けた轟は、それまでの苦悩を寅子に話し始めました。

故郷の佐賀にいたころ、花岡の夢に感化されて弁護士を目指したこと。花岡が死んだときに花岡への感情に気がついたこと。誰にも言えない苦悩から救ってくれたのが、よねであったことなどを。

一方、苗字のことで悩む寅子のことを優未は航一に相談。次の日曜日に、寅子と優未は星家に足を運びました。優未から相談を受けていた航一は自分が佐田姓を名乗ってもかまわないと言い出しました。しかし百合が、星姓を捨てることに強く反対しました。

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感想

苗字問題

結婚したら夫婦どちらかの苗字が変わる。

このことをトラちゃんが気にし始めてから違和感を感じていました。

優三くんと結婚するときには何のためらいもなく猪爪から佐田に変わったのに、今回ばかりはどうして?と。

この違和感はトラちゃんの悪夢の中で少しだけ解消されました。

なつかしの猪爪寅子が出てきたので。

猪爪寅子が言いました。

佐田姓を捨てることで優三さんと結婚した時間が失われるというのなら、猪爪寅子は消えてしまったのか。

そんな猪爪寅子の問いかけに対して、あの時は社会的地位を得るために必死だったと弁明。

すると今度はまさかの星寅子が登場し、初代最高裁判所長官の苗字を名乗れる星姓ならば社会的地位を手に入れるのに最適だと痛いところを突っ込む。

トラちゃんの中にはいつも自分なりの「正解」がありました。

そして、いつもなら自分なりの「正解」との矛盾を感じると「はて?」のカードを切る。

前回まで、トラちゃんが苗字にこだわるのは、苗字に対する自分の中の「正解」と、社会の実業へのギャップが元になっているのかと考えていました。

しかし今回ばかりはトラちゃんの中に「正解」はないようです。

「正解」がないばかりか、どうしてここまで迷うのかを理解できていない様子。

そんなトラちゃんに対して航一さんが提案。

自分が佐田航一になってもいいと。

航一さんなら考えそうなことです。

星家にこだわりはなさそうだし。

しかし、これまでになく語気を強めて百合さんが反対し始めました。

予告映像で百合さんが何やらに猛反対している映像がありましたが、これだったのか。

さて、ちょっとネタバレになりますが、トラちゃんの苗字問題の落とし所はすでにわかっています。

しかし、トラちゃんの迷いはどこから生じたのか。

こちらがどうなるかは今のところ不明。

トラちゃんが何故これほどまでに苗字にこだわったのか、ブログ主が今一番知りたいことはその一点です。

轟くん

明律大学時代の轟くんは視聴者から「俺たちの轟」と呼ばれるほどに男らしさに強いこだわりを見せていました。

しかし戦後編になってから「俺たちの轟」らしさが消えてしまったことが不思議でした。

轟くんから「俺たちの轟」らしさが消えた理由が今回明らかに。

轟くんが男らしさを必死になって見せていたのは、自分自身が不安だったからのようです。

轟くん曰く、花岡くんへの感情に気づいたのは花岡くんが亡くなったときでした。

それ以前は、感情を言語化こそしていなかったものの、その感情の存在には薄々気がついていたかと。

そこから目を逸らすため。

あるいはそんな感情が人にわからないようにするために必死になって男らしい男を演じていたようです。

しかし、よねちゃんはそんな轟くんの気持ちをすべて察していたらしい。

よねちゃんが轟くんに対して、自分の前では無理をするなと言ったとき。

それはもしかするとよねちゃんが轟くんに対して「花岡に惚れてるだろ?」と指摘したときだったのかな?

そこで轟くんはようやく自分自身と向き合い、さらに自分自身を偽る必要もなくなった。

それが轟くんから「俺たちの轟」らしさが消えてしまった理由かもしれない。

そんな感想を持った『虎に翼』第102回でした。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

今週からトラちゃんと優未ちゃんは星家の一員になります。

そこで星家の実在モデルである三淵家について簡単にまとめてみました。

三淵家の祖先

リアル航一さんこと三淵乾太郎氏の祖父は会津藩士の三淵隆衡。

三淵隆衡の実兄は会津藩家老の萱野長修です。

萱野家は会津藩の番頭や奉行を務める名家で、萱野長修は会津藩主・松平容保に仕えていました。

また萱野家は、会津松平家に仕える前は、松平家の前の領主であった加藤明成の重臣でした。

なお、萱野長修が仕えた会津藩主・松平容保の子である松平恒雄は、初代最高裁判所長官の選任の際の諮問委員の一人でした。

初代最高裁判所長官は、ドラマの中でも描かれた航一さんのお父上の実在モデル・三淵忠彦氏です。

航一さんのお父上の実在モデル:三淵忠彦氏

会津藩主・松平容保に仕えたのが萱野長修。

萱野長修の実弟が三淵隆衡。

三淵隆衡の子が三淵忠彦氏です。

三淵忠彦氏は明治13年(1880年)に岡山県で生まれました。

東京帝国大学法科大学に入学するも両親と弟を亡くしたことで大学を中退。

その後、京都帝国大学法科大学に入学し、25歳で卒業。

卒業後、書生を経て東京地方裁判所判事となりました。

東京地方裁判所判事になった年に小泉久子さんと結婚。

長男・三淵乾太郎氏が誕生。

しかし結婚の15年後に妻の久子さんが病死。

前妻を亡くした年、白鳥静と再婚。

この再婚相手がドラマの中に登場する、航一さんの継母・百合さんの実在モデルです。

戦後、三淵忠彦氏は初代最高裁判所長官に就任。

その3年後に死去しました。

航一さんの実在モデル:三淵乾太郎氏

三淵乾太郎氏は明治39年(1906年)福島県会津若松市で生まれました。

東京帝国大学法学部を卒業後、司法省に入省し司法官試補に。

米英との戦争が始まる直前には総力戦研究所に第一期研究生として入所。

生沼祥子と結婚して4児を儲けるものの死別。

死別した翌年にリアルトラちゃんこと和田嘉子さんと入籍しました。

航一さんの子供たちの実在モデル

航一さんの実在モデルである三淵乾太郎氏は前妻との間で一男三女をもうけました。

名前は次のとおり。

三淵那珂(長女)
三淵奈都(次女)
三淵麻都(三女)
三淵力(長男)

またリアルトラちゃんの実子の継父になっています。

和田芳武(継子)

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POSTED COMMENT

  1. ばなななち より:

    最初はポリコレをぎゅっと詰め込んでいて、ええ…という感じでしたが、
    それぞれから目線での意見が話されていて、
    問題を視聴者に考えさせられる良い回だったと思います
    面白かったです!

    子供目線で考えると、父母のどっちの苗字を名乗ればいいのか困ると思うので、統一した方が良いと僕は思います
    離婚のときのあなたはどちらに付いていくの?的な感じは少なからずあるためです

  2. ずんこ より:

    やっぱり、よねちゃんの言葉だったのですね。
    花岡くんが亡くなったとき、轟くんの気持ちをよねちゃんがきちんと言語化してくれた。
    その上で否定せず、すべて受け入れてくれた。
    お蔭で轟くんは、立ち直ることが出来ました。
    よねちゃんが受け入れてくれたから、キチンと自覚できたから、素敵な恋人を作ることも出来た。
    よねちゃん、伊達に長い間カフェで働いていたのではありません。
    様々な人間模様をつぶさに観察して、経験値を積み上げていたのですね。

    カウンターに飾られた花。
    トラちゃんからのプレゼントでしょうか。
    トラちゃんもきっと、一抱えも二抱えもある花束を渡したかったに違いありません。
    でもそれをよねちゃんが喜ばないことは分かっていたから、だからささやかな花束。
    そしてカウンターに飾られた花。
    トラちゃんもよねちゃんも、素敵です。

    今回の星家は、前回に比べて和やかです。
    それでもどことなくギクシャクした雰囲気。
    どんな秘密が隠されているのか。

    それにしても、同性愛に結婚時の姓の問題、結婚の意味、もしかしてこの先事実婚?
    この朝ドラは、どこまで行くのでしょう。

  3. Gracey より:

    苗字を変えることは確かに大きなことです。現代ではそのことが大きな問題になっていますから,時代を先取りした筋書きにしようという脚本家の意図はわかります。けれども,私は寅ちゃんが一番大切なことを失ってしまったのではないかと懸念します。 相手と少しでも長く一緒にいたい,という理屈抜きの思いが伝わりません。お互い独立しているから結婚の意味がないとか,苗字が変わることに抵抗があるとか、、、では寅ちゃんは航一さんと一緒に生きていきたいのかどうか、そこが一番大切ではないのですか ? 愛情がないのなら,結婚はもうおやめなさい,と言いたいです。ドラマの中で,誰一人そこを突く人がいないのは変です。脚本にも少しがっかりです。モデルの三淵さんは夫の姓を名乗っておられるでしょう。

  4. zebra より:

    優未が星家に電話を入れて直接航一が出てきたのは偶然にすぎない。それ以外の家族が出てきたら、普通は寅子の娘が掛けてくるなどあり得ないから取り次ぐ前に用件を聞きだすだろう。家族に話せるような内容ではないから誤魔化すか適当なことを言うしかなく、怪しまれて終わり。携帯電話が登場するまではそんなことは当然だった。

  5. 還暦のたつお より:

    自問自答。まるで悪夢。花江さん見抜いていた。轟さん達観している。轟さん、花岡さんへの切ない思い。山田さんやはりいい人。時雄さんとの関係性。轟さんの語りが救いに。三人の会話って現代にも通じる。星家の食事会、一見和やかだが。航一さんの爆弾発言、百合さんの怒り。

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