2024/9/11(水)第24週「女三人あれば身代が潰れる?」
あらすじ
昭和44年(1969年)4月。公務員である教員が争議を起こす権利を認める判決が最高裁で下されました。その一方で、同じ公務員である裁判官が争議を起こすことを違法とした最高裁判決対して朋一は不満を抱いていました。
そのころ、のどかが恋人を星家に連れて来ることになりました。のどかが結婚を考えているらしいことを知った航一は狼狽しました。同じころ、優未も悩みを抱えていたものの、寅子に言い出せずにいました。
そんな中、安田講堂で逮捕された学生たちの刑事裁判が始まりました。学生たちは裁判官に抗議し法廷は騒然とした状態に。一方、薫は起訴猶予となりました。薫は怪我をした学生の介抱をしていたことがわかったのです。
昭和44年(1969年)6月。よねと轟が担当することになった美位子の裁判は、一審で情状酌量の判決が下されました。しかし、よねは検察が控訴し裁判は長引くだろうと予測。よねの予想通り、検察は控訴し二審が開かれることになりました。
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感想
桂場さん
戦前から司法の独立を何よりもの価値と信じる桂場さん。
その桂場さんが司法の頂に立つことで、司法の独立を脅かす圧力の矢面に立つことになりました。
ある雑誌のインタビュー記事で、最高裁長官になった桂場さんは人が変わってしまうという記述がありました。
司法の独立を脅かす圧力によるストレスのせいで人が変わってしまうのでしょう。
竹もと改め笹竹の甘味に夢心地の桂場さんの姿は、しばらく見れないんかもしれません。
ちょっとだけネタバレになりますが、最終週で桂場さんは最高裁長官を退官します。
退官後、桂場さんらしい桂場さんをもう一回見られるかもしれません。
それまでしばらくの間は、人が変わってしまった桂場さんと付き合わねばならぬようです。
悩める優未ちゃん
優未ちゃん、何かに悩んでいるらしい。
しかも、お腹にきているところから見て、その悩みはかなり深いらしい。
優未ちゃんは勢いよくビールを飲み干しました。
お酒の力を借りないとトラちゃんに打ち明けることが出来ないような悩みなのでしょう。
お酒の力を借りてすらもお腹にきてしまった優未ちゃん。
それでも、あと一歩のところで悩みが口から出てくるはずでした。
その場に航一さんさえ来なければ。
航一さんが来たことで。
しかも、航一さんもお酒の力を借りないと冷静さを保つことが出来ない状態であることがわかったことで。
優未ちゃんは、口先まで出かかっていた悩みを引っ込めてしまいました。
そして、話したかったことはのどかちゃんの結婚のことだと話を誤魔化し、トラちゃんの元を立ち去ってしまいました。
立ち去る際にもお腹にきている優未ちゃん。
悩みを打ち明けることが出来る日は果たしてやって来るのか。
薫ちゃん
薫ちゃんは起訴猶予に。
これで汐見さんとヒャンちゃんの心配は一つなくなりました。
しかし、ヒャンちゃんの出自を知ってしまったことへのショックは薫ちゃんの中で残っているはずです。
というか、これからそちらのショックがますます大きくなるかと。
そんな時に薫ちゃんが頼りにしているのがどうやら多岐川さんらしい。
多岐川さんに懐いている薫ちゃん。
しかし、頼りにしている多岐川さんは重い病で伏せている状態。
多岐川さんと薫ちゃんの交流は、これまでドラマの中では描かれてきませんでした。
そでも、薫ちゃんが多岐川さんをどれほど頼りにしているのか、今週の描写だけで十分すぎるほど伝わってきます。
多岐川さんは間も無く、別の世界に旅立ちます。
そのときの薫ちゃんのことが今から心配です。
多岐川さんが旅立つ前に、薫ちゃんの心の問題が解決されますように。
予習レビューと史実のリアルエピソード
尊属殺の規定
尊属殺という言葉が再び登場します。
尊属殺は父母・祖父母などの直系尊属(自分よりも年長者)を死なせてしまうこと。
この言葉が登場したのは第14週、7月3日と4日の放送でした。
ドラマの中では、尊属殺人罪が普通殺人罪が定めている法定刑に比べて重い根拠になっている「尊属殺の規定」が合憲が違憲かが問われる裁判が描かれました。
第14週で描かれた「尊属殺の規定」は合憲か違憲かという議論が、今週再び描かれることになるようです。
穂高教授の「雨だれのひとずく」発言
ところで、裁判の15人の最高裁の裁判官の中には穂高教授も名を連ねていました。
最高裁は「尊属殺の規定」は合憲との判決を下しました。
しかし、穂高教授はその判決に異を唱えていました。
穂高教授は「尊属殺の規定」が違憲であると主張し続けていたのです。
ドラマの中では「尊属殺の規定」の裁判の裁判官の仕事を最後に退任。
退任祝賀会で挨拶に立った穂高教授は「尊属殺の規定」が違憲であると主張が通らなかった失意を「雨だれのひとずく」と表現。
この穂高教授の「雨だれのひとずく」発言にトラちゃんが噛み付く場面もありました。
暴走気味だったトラちゃん
あのころ、トラちゃんは自分を見失っていました。
当時、小学生だった優未ちゃんがお母さんにかまってもらえない寂しさを募らせていたころです。
優未ちゃんがテストの点数を書き換えたなんてこともありました。
優未ちゃんがテストの点数を書き換えざるを得ないほど悪い点数をとってしまう理由は、その後の新潟編で描かれました。
テストになると緊張してしまいお腹をこわす。
それが、優未ちゃんが悪い点数を取ってしまう理由でした。
優未ちゃんはそんなつらい気持ちもお母さんにわかってもらいたかったに違いない。
しかし、あの頃のトラちゃんは人の気持ちに耳を傾ける余裕はなかった。
耳を傾けないどころか、間違ったところを勉強しなおし次は100点を取れとだけ言っておしまい。
そんな、完璧であるべきという自分の考え方を一方的に娘に押し付けるトラちゃんは、穂高教授に対してまでも同じことをしました。
法の世界の理想を成し遂げられなかったことを「雨だれのひとずく」と表現したことに対して、トラちゃんが噛み付いたのがそれです。
その後、トラちゃんは優未ちゃんとの心の溝を埋めることに成功。
人の気持ちがわかる大人になりました。
「雨だれのひとずく」
今週、時代が進む中で「尊属殺の規定」への評価が変化する様が描かれるようです。
「雨だれのひとずく岩をもうがつ」という言葉があります。
その言葉のとおり、穂高先生やその後の穂高イズムの承継者たちの「雨だれのひとずく」の積み重ねが「尊属殺の規定」への評価を変える瞬間が描かれます。
ここに来てトラちゃんも穂高教授が口にした「雨だれのひとずく」という言葉の意味を理解することになるので昇華。
穂高教授の「雨だれのひとずく」が法の理想を成し遂げたと理解することになるのでしょうか。
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進歩への揺り返し、所謂反動。反対の声を上げないと同じ事の繰り返し。のどかさん知らぬ間に、桂場さん与党政治家の圧力を拒否。安田講堂の参加者、裁判官への抗議と揶揄。この熱気は浅間山荘事件と連合赤軍総括事件で一気に沈静化。美位子さん一審は勝訴。寅子さんの家庭では新たな波乱。美位子さん検察が控訴し先は長い。