2025/6/18(水)第12週「逆転しない正義」
あらすじ
朝田パンが材料の調達ができなくなり休業に追い込まれていました。その頃のぶは、勤労奉仕の児童らとともに農家の手伝いをしていました。子どもたちは不慣れな農作業で疲れてしまい、授業を十分にできない状態でした。
一方、嵩が配属されている駐屯地では敵に補給路を絶たれてしまい、食料が底をついていました。そんな中、飢えのために正気を失った康太が、現地の農家の老婆に銃を向けて食料を奪おうとする騒ぎを起こしました。
嵩と神野が康太を制止する中、老婆は産みたての卵を茹で、康太の前に出しました。康太と神野はむさぼるようにゆで卵を食べました。老婆にゆで卵を差し出された嵩も、涙を流しながらそのゆで卵を食べました。
そんな中、銃声が響き渡りました。撃たれたのは岩男でした。八木は岩男を撃った者を探し始めました。すると物陰に隠れ八木に対して小銃を向ける者を八木は見つけました。それは岩男になついていたリンでした。
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感想
本作の中でも、そしてすべての朝ドラの中でも最も過酷な回だったかもしれません。
正気を失った康太くん
食糧難に陥った嵩くんの部隊。
前回は薄い粥でした。
今回の冒頭は乾パンが3つに。
そして今回の中盤では乾パンがたった一つ。
ヤムおじさんが若い頃に経験したのと似たような状況になってしまいました。
そしてついに、康太くんの食い意地がはっている性質が回収されるときを迎えました。
正気を失った康太くんが銃を持って老婆の家に乱入。
そして老婆に銃を突きつける。
映画などではよくある場面ですが、それを平穏な描写が多い朝ドラで見るとひどく恐ろしいものに見える。
正気を失った康太くんのような姿も、それが戦争映画ならここまで怖くは見えなかったのかも。
朝ドラという日常に正気を失った康太くんのような姿が入ってくると、戦争映画などで同様の場面を見るよりも恐ろしい。
日常に割り込んでくる有事。
こんな感覚、初めてです。
リン少年
過酷な場面は康太くんの暴走だけでは終わりませんでした。
岩男くんになついているリン少年。
彼はどうやらスパイと疑われているらしい。
なので、もう俺に付きまとうなと岩男くんに言われ寂しそうなリン少年。
岩男くんに抱きつきながらさようならと言うところまでは、リン少年は可哀想な少年にしか見えませんでした。
しかしリン少年の目つきが一転・・・
その後、しばらくして鳴り響く銃声。
倒れている岩男くん。
そして岩男くんは何故かリン少年をかばおうとするような言葉を発している。
衛生兵の手配を命じた八木さんは、近くに隠れているであろう狙撃犯の探索。
八木さん、狙撃犯らしき者の姿を見つけました。
その狙撃犯らしき者は八木さんに対して小銃を突きつける。
その小銃の主はリン少年。
今回はここで終わり。
康太くんの騒ぎだけでも十分すぎるほどに朝ドラらしからぬ場面でしたが、リン少年の一件はこれをはるかに超える勢い。
朝ドラを超えた朝ドラを見たような気がします。
御免与の人々
話が前後しますが、久しく出てこなかった御免与の人々が久しぶりに登場。
まずは朝田家。
朝田パンは乾パンすら焼けなくなったのでしょうか。
一方でカマジイが墓石掘りという悲しい仕事が増えてしまっているのかもです。
蘭子ちゃんは変わらず郵便局勤務を続けているらしい。
朝田パンを切り盛りしていた羽多子さんとメイコちゃんは、家での仕事がなくなり婦人会の活動に参加。
婦人会の民江さんが久しぶりに登場。
日本の勝利を信じる民江さん、相変わらずです。
しかし腰をやってしまう・・・
ところで本作も間も無く戦後編に入ります。
戦後編で民江さんはどうなってしまうのか、それが最近のブログ主の関心事の一つです。
予習レビューと史実のリアルエピソード
戦況悪化
嵩くんが所属する部隊が今週のドラマの中で描かれる駐屯地にやってきたのが昭和19年(1944年)夏の終わりから秋にかけての頃でした。
それから月日は流れ昭和20年(1945年)春。
ついに嵩くんの駐屯地も敵の大規模な攻撃を受けるようになります。
もはや嵩くんも健ちゃんもゆっくり紙芝居を作っている状況ではなくなり、元の分隊に戻され戦闘任務に就くことに。
嵩くんに最も不向きな任務に就くわけです。
そして戦闘だけでも大変なことですが、敵の攻撃によって補給路が絶たれ食糧の運搬が不可能になり、食事の量が減らされることに。
食べるものは乾パンのみ。
こんなところで乾パンが回収されます。
兵士ちが空腹とも戦うことになる中、駐屯地の状況は悪化の一途をたどり負傷兵たちが次々と運び込まれるように。
どんな演出になるのかわかりませんが、朝ドラらしからぬヘビーな場面が続くのかもしれません。
食糧事情はますます悪化し、ついに夕食は乾パン一つだけに。
そんな中、康太くんは空腹に耐えかねダンゴムシを食べようとする場面が描かれます。
康太くんといえば、小学校時代に嵩くんの弁当を横取りし食い意地のはった性格であることが表現されていました。
あの食い意地のはった小学生時代の姿が、今週の戦場の場面で回収されるのです。
康太くんの暴走
食い意地のはった小学生として登場し、大人になって入隊してもなお食い意地がはっている康太くんの暴走が止まりません。
ダンゴムシを食べようとするだけならまだよかった。
飢えに苦しむ中で、警備中に康太くんが暴走。
あの家なら食べ物があるはずだと民家に押し入ると、その家の老婆に銃を突きつけ食べ物を出せと迫る。
朝ドラでここまで描くなんてなかなか衝撃的です。
嵩くんが止めに入ることで、最悪の事態は回避できるのですが・・・
その直後に岩男くんの悲劇が起こります。
岩男くんの悲劇は次回の本欄で。
リアル嵩くんの体験
今週のドラマは、嵩くんがいる駐屯地の窮状が描かれます。
嵩くんが駐屯地に着いた頃、嵩くんは健ちゃんとともに紙芝居づくりに没頭できるような戦場らしからぬ環境でした。
しかしついに敵軍の攻撃が始まる・・・それが今週です。
では、当時のリアル嵩くんの状況はどうだったのか。
簡単にまとめてみます。
リアル嵩くんは暗号班に所属し、本部から暗号を用いて伝えられる指示を解読することが任務でした。
しかし仕事はごくわずかしかないため宣撫班の仕事を手伝うことに。
そしてドラマの中で描かれたように、紙芝居を作っては上演する日々を過ごしていました。
月日は流れ昭和20年(1945年)。
その年の4月にアメリカ軍は沖縄に上陸したことで、日本軍は部隊を上海に集結させ決戦に備えることにしました。
そこで、リアル嵩くんが所属する部隊は駐屯地のあった福州から上海に移動。
この行軍で、リアル嵩くんは唯一の戦闘体験をしました。
しかしリアル嵩くんは、激戦地にはいなかったことに「ある種の恥ずかしさ」を感じ、軍隊時代のことを多く語りませんでした。
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チリンの鈴ってご存知でしょうか?やなせさんが描かれた絵本です
ネットではオマージュではないかと言われています
まだ子供じゃないか、ウッ!
映画「戦国自衛隊」で竜雷太さんが演じる自衛隊員が油断した瞬間に子供の足軽に槍で腹をつかれるシーン、これを思い出した
因みに子供の足軽を演じたのが15歳ぐらいの薬師丸ひろ子さん、デビュー作「野性の証明」に続き2作連続で自衛隊と敵対する役を演じた稀有な存在、約1年後に主演映画「セーラー服と機関銃」にて日本中にひろ子ブームを起こします
康太「腹一杯喰うてから・・・・・死にたい・・・・。」
補給路を断たれてしまった兵士たちが皆抱えていた苦しみ以上の何かでしょう。