2025/8/28(木)第22週「愛するカタチ」
あらすじ
嵩の詩集が大ヒットする中、詩集を読んで感激したという小学生の少女・中里佳保からファンレターが届きました。そのファンレターがきっかけとなり、嵩と佳保は手紙のやり取りを始めました。
それから数週間が経ったころ、佳保が祖父の砂男に連れられ嵩のもとを訪ねてきました。のぶと嵩は佳保を笑顔で歓迎しました。しかし、佳保は手厳しい言葉を次々に口にし、のぶと嵩をたじろがせました。
そんな中、蘭子が帰ってきまいた。のぶは佳保を蘭子に託しました。佳保が蘭子と話し込んでいるその間に、砂男がのぶと嵩に言いました。最近、父を亡くして落ち込んでいた佳保の心を嵩の詩が救ったのだと。
砂男の言葉を受けて、のぶは自分と嵩も幼い頃に父を亡くした経験を語りました。砂男は、孫にも自分にも生きる力をもらえたと嵩に感謝。一方、佳保は太ったアンパンのおじさんが好きだと言って嵩を喜ばせました。
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感想
中里佳保ちゃん
今回、登場した女の子・中里佳保ちゃんの実在モデルは本作の脚本家・中園ミホさん。
中園ミホさんが何かのインタビュー記事で語っていました。
ご自身が小学生の頃、最愛の父を亡くしたこと。
失意の中園ミホさんを励まそうと、お母上がやなせたかしさんの詩集を買ってくれたこと。
その詩集に心が救われたこと。
この思い出をドラマの中で再現したようです。
お母上が祖父に差し替えられていたこと。
手紙のやり取りだけでなく、実際に会ったこと。
などなど、ドラマの中の創作と思われる点もありますが、中里佳保ちゃんの心の中は再現されているものと思われます。
中園ミホさんはそのインタビュー記事の中でもこうも語っていました。
やなせたかし先生に送った手紙は「謎の上から目線」だったと。
謎の上から目線、これもドラマの中で史実に忠実に再現したようです。
「嵩さんの絵で救われた」
佳保ちゃんは最近大好きなお父さんを亡くしたばかりであることをおじいちゃんが語りました。
それに応えてのぶちゃんも、自分も嵩くんも佳保ちゃんと同じ年の頃に父を亡くしたことを語りました。
それに加えてのぶちゃんは、父を亡くした失意から救ってくれたのが嵩くんの絵だったことを語りました。
のぶちゃんが嵩くんの絵に救われたというセリフはこれまで何度か登場しました。
しかし同じセリフでも今回が一番心に響きました。
のぶちゃんが繰り返し言った「嵩さんの絵で救われた」とは、脚本家の中園ミホさんの気持ちをそのまま表現したセリフだったのでしょう。
中園ミホさんが救われたのは絵ではなく詩ですが、そんな違いは瑣末な問題。
だから、中園ミホさんをモデルにした女の子が登場した今回、のぶちゃんのセリフが一番心に響きました。
嵩くんの実在モデルが幼い頃に父親を亡くしたのは実際にあったこと。
のぶちゃんの実在モデルが幼い頃に父親を亡くしたのも実際にあったこと。
この二つの悲しい実話を、中園ミホさんはご自身の悲しい経験によってドラマの中で結びつけたようです。
太ったアンパンのおじさん
色々と手厳しいことばかり言う佳保ちゃん。
最後の最後までその手厳しさをゆるめることはありませんでしたが、終わり間際の佳保ちゃんの言葉に救われました。
「太ったアンパンのおじさんは好きだよ」
この言葉、嵩くんはどれほど救われたことか。
ところでこの絵は出版社に持ち込んでも採用されなかったと嵩くんが言ったとき、砂男おじいちゃんが言いました。
「でしょうな」
砂男おじいちゃんは、こんな絵は売れなくて当たり前と思ったようです。
一方で、手厳しい言葉を連発する佳保ちゃんが、なぜか「太ったアンパンのおじさん」だけは異なる反応を示す。
このおじいちゃんと佳保ちゃんの反応の対比。
そろそろ始まるアンパンマン誕生ストーリーのフラグかもしれません。
子供たちの間では熱狂的な人気を誇るのに、大人にはまったく理解できないの図。
次週以降描かれるであろう、アンパンマンに対しる子供たちと大人の正反対の反応を暗示しているかのようでした。
予習レビューと史実のリアルエピソード
昭和41年から昭和42年へ
今週、時代は昭和41年春から昭和42年5月へと一年ほどスキップ。
のぶちゃんと嵩くんの生活環境が変化します。
のぶちゃんと嵩くん夫婦は四谷のマンションに引っ越し。
本作第一回の冒頭の場面はマンションの一室らしき場所でした。
そして、そのときアンパンマンの原型らしきキャラもそこにはありました。
なので今週ついに本作の第一回の冒頭場面にたどり着くのかもしれません。
さて、四谷に引っ越したのぶちゃんと嵩くん。
この引っ越しを機に羽多子さんが娘夫婦との同居を始めます。
御免与の朝田家は、カマジイが亡くなりクラバアも亡くなり、三人の娘も上京。
しばらく羽多子さんは一人暮らしをしていたはずです。
そんな中、戦地で色々と騒動を起こした康太くんが朝田パンの店舗跡を借りて食堂を開業することに。
その後、羽多子さんは康太くんに家を売るか譲るかするのでしょう。
そして羽多子さんは東京に移住。
羽多子さんの出番はこれで確実に増えるはず。
羽多子さんが大好きなブログ主は大歓迎の展開です。
ラジオドラマ『やさしいライオン』
のぶちゃんと嵩くんが四谷のマンションに引っ越した頃、ラジオドラマの脚本の依頼を嵩くんは引き受けます。
元々、別の作家に任せていた脚本が放送に間に合わない。
放送に穴を空けないために、ラジオドラマの脚本を一晩で仕上げてほしいという依頼です。
振り返ってみると嵩くんが高知新報に入社できたきっかけは、ある日の朝刊の紙面に穴が空きそうなところを嵩くんがイラストで穴埋めの貢献をしたことでした。
その後も嵩くんは月刊くじらの誌面に穴が空きそうなところで活躍。
高知新報の東海林さんの言葉を借りるなら「困ったときのメガネくん」のようなポジションに今週も嵩くんは立つわけです。
さて、上に記した依頼を引き受けた嵩くん。
以前書いたことがある『やさしいライオン』というストーリーを書き直して脚本を仕上げることにします。
本作は無事にラジオで放送され、その放送は登美子さんと千代子さん・・・
そして、あの手嶌治虫も聴いている!という思わせぶりなところで今週は終了です。
【史実】『やさしいライオン』
ドラマでは『やさしいライオン』がきっかけとなり、これから何かが始まる予感をただよわせながら今週は終了します。
では史実では何があったのか。
リアルの『やさしいライオン』は、リアル嵩くんにとって大きな転機となっています。
昭和42年(1967年)春。
当時、『現代劇場』というラジオドラマを放送していた文化放送はピンチに。
その日の放送のための脚本を依頼していた脚本家の作品が間に合わず、放送の穴が空きかねない。
そんなピンチにおちいるわけです。
そこで、その頃「困ったときのやなせさん」と呼ばれ、頼めばたいがいのことを引き受けてくれたリアル嵩くんに脚本家のピンチヒッターを依頼。
リアル嵩くんはラジオドラマ『やさしいライオン』を一晩で完成させました。
すると、リアル嵩くんが一晩で書き上げて放送されたラジオドラマ『やさしいライオン』は大評判になり絵本の出版につながりました。
出版された絵本『やさしいライオン』も大ヒット。
気をよくした出版社はもう一冊絵本を出してみないかとリアル嵩くんにオファー。
そのオファーを受けてリアル嵩くんが出版した新たな絵本が、なんとあの『アンパンマン』でした。
アンパンマンはそれまで姿形のないキャラとして構想だけはありました。
姿形を持ったアンパンマンが誕生した記念すべき瞬間。
それが絵本『アンパンマン』の出版です。
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ドラマで茶を吹き出すシーンって「探偵物語」のOPでの松田優作さん以外見たことなかったわさ、多分
浅野おじいさん、なかなか洞察が鋭い。佳保ちゃん、のぶさんに次ぐ二番目のあんぱんまん原型支持者に。