2025/8/29(金)第22週「愛するカタチ」
あらすじ
昭和42年(1967年)5月、のぶと嵩は四谷のマンションに転居。そこにはのぶの茶室と嵩の仕事部屋もありました。そして二人の転居を機に羽多子が上京し、のぶと嵩が暮らすマンションに同居することになりました。
そんな中、嵩宛ての電話に出た羽多子は、大至急仕上げる必要がある仕事を引き受けてしまいました。それは、ラジオドラマの脚本を翌日までに仕上げてほしいというものでした。焦る嵩は何かを思い出したある絵を取り出しました。
その絵を見ながら嵩はストーリーを語り出しました。そのストーリーは子どもと二人の母親の話であることから嵩は書くのをためらいました。しかし嵩は、のぶに背中を押されながら脚本を完成させました。
翌日の夜、『やさしいライオン』は無事に放送されました。そしてその放送をのぶと嵩は二人揃って聴きました。千代子は涙を流しながら聴き、登美子は笑みを浮かべながら聴きました。そしてその放送を手蔦治虫も聴いていました。
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感想
今週の振り返り:嵩くんの詩人としての才能
今週は嵩くんの詩人としての才能が描かれた週でした。
前週、ついに登場したアンパンマンの原型「あんパンを配る太ったおじさん」はどこの出版社からも見向きもされない嵩くん。
漫画家としての代表作は相変わらずありません。
しかし期せずして詩人としての代表作が生まれてしまいました。
『手のひらを太陽に』のことです。
そして、作詞家として認識されるようになった嵩くんは自分でも詩人としての才能に目覚めたのでしょうか。
今週は詩集の自費出版から始まりました。
のぶちゃんの誕生日プレゼントのつもりで自費出版した詩集でしたが、その詩集は思わぬ形で八木さんの目に入ることになりました。
蘭子ちゃん、八木さんに見せようと会社に起き忘れたのは間違いありません。
そして、蘭子ちゃんの狙いどおりに嵩くんの詩集を読んだ八木さんはいたく感激しました。
八木さんがポジティブな感情をこれほど人前で見せるのはドラマの中では初めてではないかと思わずにはいられないレベルの感情の発露でした。
そんな八木さんの感激から生まれたのが嵩くんの詩とイラストを入れた陶器。
この陶器は大ヒット。
これに気をよくした八木さん、今度は出版部をつくって嵩くんの詩集を出版すると言い出す。
嵩くんにもっと詩を書けとせまる八木さん。
のぶちゃんは心配でした。
ただでさえ漫画を描けなくなっているのに、これ以上詩を書かせたらどうなるのか。
しかし嵩くんは言葉が次々と浮かんでくるらしい。
嵩くんの詩人の才能が覚醒した瞬間を見たような気がしました。
そして出版した詩集は大ヒット。
嵩くん、自分で自分をどう認識しているかわかりませんが、世の中の人は間違いなく嵩くんを詩人と認識しているはずです。
そして詩人・柳井嵩のファンになった女の子が登場。
その女の子は、のぶちゃんに次いで嵩くんの将来の代表作の漫画のポテンシャルを発見しました。
詩人の才能の覚醒によって、そろそろ漫画家の才能も開花するのでしょうか。
今週の振り返り:八木さん
今週は八木さんの活躍が目立つ週でした。
八木さんの最初の活躍は嵩くんの詩とイラストを入れたお皿とマグカップの大ヒット。
続いて出版した嵩くんの詩集も大ヒット。
そして、八木さんの二つのアイデアの大ヒットによって、嵩くんの詩人としての才能も覚醒。
嵩くんはまた、詩人として世に知られる存在にもなりました。
振り返ってみると軍隊時代、八木さんは嵩くんを守り抜きました。
嵩くん本人も言ってましたが、八木さんがいなければ嵩くんは軍隊で生き抜けなかったかもしれません。
嵩くんの生命を守ったことで嵩くんの才能を守ることができた八木さん。
今週は嵩くんの才能を目覚めさせ、嵩くんの才能を世の中に広める働きをしました。
さて、今週の八木さんにはもう一つ注目ポイントがあります。
蘭子ちゃんとの関係です。
今週の振り返り:蘭子ちゃん
今週、蘭子ちゃんの恋バナが静かに始まりました。
しばらく前、のぶちゃんが蘭子ちゃんの恋心を言い当てる場面がありましたが、その場面が今週になって回収された格好です。
いつも子供たちをハグする八木さん。
そんな八木さんを見て蘭子ちゃんが問いかけました。
八木さんが子供たちを抱きしめるように、八木さんを抱きしめてくれる人はいるのかと。
この蘭子ちゃんのセリフ、自分がそんな存在になりたいという宣言にも聞こえました。
敏感でかつ洞察力のある八木さんのことです。
八木さんも蘭子ちゃんの気持ちに気がついたのではないでしょうか。
そして、蘭子ちゃんが八木さんに「遠回しの告白」をして以降、蘭子ちゃんと八木さんの共演場面はありませんでした。
八木さんの登場場面もない。
だから八木さんの蘭子ちゃんへの気持ちは不明のままです。
一方で「遠回しの告白」以降、蘭子ちゃんが恋心を静かに燃やす場面がありました。
八木さんへの気持ちは大きくなるばかり。
そして八木さんへの気持ちが大きくなるほどに思い出すのは豪ちゃんのことです。
豪ちゃんを亡くした悲しみも思い出したはずです。
そんな蘭子ちゃんの恋バナは来週あたりには何らかの進展があるものと思われます。
予習レビューと史実のリアルエピソード
前週は、嵩くんはアンパンを配る太った中年男性のヒーローの漫画を描いたところで終了。
今週は、そのヒーローの漫画を出版社に売り込むもののどこからも相手にされない、そんな状況からスタートです。
そして今週の最後はラジオドラマ『やさしいライオン』が放送。
長年、嵩くんの心をざわつかせていた手蔦治虫もラジオドラマ『やさしいライオン』を聴いていたという思わせぶりは終わり方で終わります。
次週は手蔦治虫からのまさかの仕事の依頼。
そして、ついに嵩くんが漫画家としてブレイクするきっかけをつかむなどして、いよいよクライマックに向かいます。
ところで史実でも『やさしいライオン』をきっかけにしてあのアンパンマンが動き出しています。
史実では『やさしいライオン』後に、アンパンマンがどのようにして人気キャラになったのか。
ドラマの中でもアンパンマンの姿が見え隠れしてきたこのタイミングで、アンパンマンがブレイクするまでの経過をまとめてみました。
今週描かれる『やさしいライオン』
『やさしいライオン』が出版されて大ヒット。
版元がもう一冊絵本をとリアル嵩くんに依頼し、その依頼をリアル嵩くんは快諾。
リアル嵩くんが『やさしいライオン』に続いて手がけ、昭和48年(1973年)に刊行された絵本が『アンパンマン』です。
しかし『アンパンマン』はこの時いきなり誕生したわけではありません。
『アンパンマン』誕生までの歩みは以下とおりです。
【1】最初のアンパンマン
最初のアンパンマンはラジオドラマの中に登場しました。
1960年代の二年間、リアル嵩くんが書いた5分間のコントがラジオで毎日放送されていました。
このコントの中に「アンパンから生まれたアンパンマン」というキャラが登場。
しかしラジオドラマなので姿はありません。
また、リアル嵩くん自身、このコントを書いた後は「アンパンから生まれたアンパンマン」のことをすっかり忘れていたようです。
【2】没になった幻のアンパンマン
次に登場したアンパンマンは原稿が没になり幻となりました。
1960年代後半、絵本の原作を依頼されたリアル嵩くんはアンパンマンの物語を執筆するものの、それを読んだ編集者が「こんなのはダメ」と没に。
なお、この時の絵本は別の作者が描くことになっていました。
もし仮に編集者がリアル嵩くんの原稿を採用していたら、別の作者による全く異なる姿のアンパンマンが登場。
リアル嵩くんの『アンパンマン』がこの世に出ることはなかったはずです。
【3】アンパンマンの原型
昭和44年(1969年)の一年間、リアル嵩くんは月刊誌『PHP』で大人向けの短編童話を連載。
この中の一編のタイトルが『アンパンマン』でした。
短編童話の一編として登場したアンパンマンは、お腹のすいた人にアンパンを配ってまわる、カッコよくないおじさんでした。
この時のアンパンマンは、まだ自分の顔を食べさせません。
しかし、これがその後の『アンパンマン』の原型と言われています。
【4】絵本『あんぱんまん』
昭和48年(1973年)、『キンダーおはしえほん』の一冊として絵本『あんぱんまん』刊行。
これが冒頭に記したリアル嵩くんが『やさしいライオン』に続いて手がけた絵本です。
この絵本の中で、アンパンマンがお腹が空いた人に自分の顔を食べさせるというエピソードが初めて登場。
この『あんぱんまん』の絵本こそが今も人気の『アンパンマン』の原点です。
なお、この時の絵本のタイトルはひらがな表記。
幼児向けの絵本のタイトルはひらがなにするという慣習にならってのひらがな表記でした。
その後、リアル嵩くんはひらがな表記からカタカナ表記に変更。
カタカナ表記の方がしっくりくるという理由によるものでした。
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あいも変わらず、「困ったときのメガネ君」。
それでも一晩で書き上げた物語を、登美子さんも千代子さんも、八木さんも、また名作『どろろ』を執筆中だった手嶌治虫さんも聞いていました。
高知新報で朝刊の穴を埋めたことから高知新報への就職が決まり、嵩くんの運命が大きく動いたように、今回もまた嵩くんの身の回りに大きな動きがありそうです。
ボニージャックスさん。
テロップでお名前を拝見して、どこにどんな登場されるのかと思ったら、劇中の歌を担当されていたのですね。
久しぶりにお名前とお声に接し、懐かしく思いました。
同年代の男性コーラスグループのダークダックスさん、デュークエイセスさんが解散する中、ボニーさんには頑張っていただきたいです。
「やさしいライオン」
小学校の時に学校で上映会があり、感想文書かされたのを覚えてます。
名作「やさしいライオン」誕生秘話、いよいよ嵩さんと手嶌治虫さんとのコラボ始まる。でも二人の母の反応が気になる。所で昨日の放送について、「ローマの休日」と「マイフエアレディ」のオードリー・ヘップバーンの相手役、それぞれグレゴリー・ペックとレックス・ハリソン、どちらも長身のイケおじなのですが、当時グレゴリー・ペックが37歳、レックス・ハリソンは56歳、なので蘭子さんと佳保さんが好きだったのはグレゴリー・ペックの方だとおもわれます。この人意地の悪い日本の映画評論家からは大根役者扱いされてました。確かに凄い演技派ではないですが、カリスマ性があり、来た仕事は確実にこなす誠実さがありました。良い俳優さんではありました。下手な俳優ではない事は、ロバート・マリガン監督と組んだ「アラバマ物語」ではアカデミー主演男優賞を受賞しています。個人的に忘れられないのはヘンリー・キング監督と組んだ戦争映画「頭上の敵機」、西部劇「拳銃王」、「無頼の群れ」の三本です「拳銃王」では老境に差し掛かったガンマンが射撃の技量が低下して死の恐怖に怯える姿。「無頼の群れ」では妻子を殺された男が犯人と思われる男達を残忍な方法で殺害していく姿。「頭上の敵機」では、部下の生存を願う余り部下に厳しい訓練と命令を課す爆撃機隊の隊長。彼は部下が戦場から無事生還する事を願い、いつも心配して空を見上げています。戦争が終わった時、そのプレッシャーから解放された彼は精神的に壊れてしまいます。ペック氏一世一代の名演でした。