本放送:2011年11月17日(火)
再放送:2014年5月20日(火)
再々放送:2024年11月5日(火)
第7週「移りゆく日々」
花言葉の花「ワレモコウ」
あらすじ
踊り子たちから注文を受けたドレスづくりは順調に進み、はじめの頃に注文してきた踊り子たちからはワンピースの注文も入るようになりました。紳士服店の大将を毛嫌いする踊り子のサエは糸子に独立を勧めます。
その夜、糸子は善作に紳士服店をやめたい。自分が本当に繁盛させたいのは小原洋裁店だと談判。しかし酔って機嫌の悪い善作は、もう一軒別の店繁盛させることが出来れば認めてやってもよいと糸子の希望に取り合おうとしません。
ほどなくして糸子は、紳士服店の大将に店を辞めると切り出します。見込んでいたドレスやワンピースの注文がなくなると慌てふためく大将。辞める理由を聞かれ、もう一軒別の店を繁盛させる必要があると答える糸子。大将は「?」
その頃、奈津が玉枝のもとに髪結いにやって来ました。翌日入籍のため丸髷に結ってほしいと奈津。子供の頃から泰蔵が好きだったと告白しはじめる奈津は玉枝の優しさに触れ、堰を切ったよう号泣しはじめるのでした。
感想
前回37話の感想で「静子はじめ家族も嬉々として糸子の仕事を手伝ったんじゃないかと。実に勿体ない。でも客は糸子についてるから独立しても大丈夫かも」と書いたら、今回38話でその通りの展開となりました。
ただ糸子が自分の考えでその方向を目指したのでなく、踊り子・サエに背中を押されての決断。そのサエの物言いが笑えます。サエは紳士服店の大将が大嫌い、だから「一銭でもあいつにお金が流れると思うと腹立つ」
そして仕事を頼みたいのは糸ちゃんなんだと、サエは紳士服店には寄り付かず小原呉服店に直接やってくる。しかも当時は高価だったろうケーキまで手土産に持参して。でも馴れ合いにはならず「そやけどあんた、春太郎はあかんで」と釘を刺す糸子。
こういう関係いいですね。牙を剥き合うような激しい対立を経ているだけに隠し事がなにひとつ必要ない。糸子とサエの二人のキャラだからこそ出来る関係なのかもしれませんが。奈津とも喧嘩を繰り返しながらもこちらはサッパリなので。
奈津と言えばやっぱり父の死の悲しみをこらえていたんでしょう。父の死、加えて母が力を落としてしまい半ば呆けてしまったことで、もはや奈津は誰の娘でもない一人の大人になりました。
父の娘、母の娘だった少女時代との決別、安岡のおばちゃんに泰蔵兄ちゃんへの少女時代の気持ちを語ったのも自分の中に残った少女時代と決別する儀式だったのかも。そして号泣で流した涙とともに、少女時代のすべてと別れを告げることが出来たのでしょう。
奈津より一足先に大人になったと自覚した糸子。反対に、娘が大人になって一家の長としては壊れてしまった感が否めない善作お父ちゃん。娘の夢を応援すると本気になったあの善作お父ちゃんはどこへ。
独立したいという糸子の背中をこのタイミングで教えてあげればとも思いますが、理由はどうあれ物事がスムーズに進まないのは、まだ糸子に時機が来ていないのかも知れません。気の毒ですが。