2024/6/19(水)第12週「家に女房なきは火のない炉のごとし?」
あらすじ
寅子は、行くあてのない道男を猪爪家で居候させることにしました。そんな寅子がとったその行動に職場の同僚たちからの非難が集まる中、寅子は多岐川から全国の家裁の視察の同行を命じられました。
寅子が帰宅するとはるが道男はもう悪さはしないと宣言しました。その日の昼間、道男ははるの財布から金を盗もうとしました。現場を見つけたはるは道男を諭しました。はした金を盗むより、この家で手伝いをし食べられた方が得ではないかと。
その翌日から寅子は全国の家庭裁判所をまわる出張をしました。寅子が出張に出ている間、花江は直道の服を道男に贈りました。花江の孤独を察した道男は、自分が直道の代わりになれないかと花江に問いかけました。
しかし道男のとった行動をはるたちは誤解。深く傷ついた道男は猪爪家を飛び出してしまいました。その後、寅子が道男を探し回るものの、道男の姿は見つかりませんでした。そんな中、はるが倒れてしまうのでした。
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感想
道男くんの成長とはるさんの愛情が涙腺を刺激する回でした。
道男くんの成長
前回、道男くんが猪爪家に来たばかりのころ。
食事のときの作法についてはるさんから小言を言われた道男くんは、口答えをしてはるさんの言うことを無視。
ところが今回、同じ状況で、道男くんははるさんの小言を素直に聞き入れました。
この2つの場面だけで、道男くんの変化が見事に描写されていました。
そんな道男くんは、もう悪さはしないと猪爪家の家族に宣言。
一晩でこの変わりよう。
道男くん、どうやら根はとっても素直な少年らしい。
道男くんはまた合理的な判断力も持ち合わせているらしい。
はるさんの財布から金を盗もうとした現場をおさえられてしまった道男くん。
はした金を盗むのと、家の手伝いをしてご飯を食べさせてもらうのではどちらが得なのかをしっかりと判断。
当たり前の判断だけど、これができない人が多いのも事実。
しかも、そんな諭し方をしたはるさんを頭がいいとまで言う。
その日の夜、道男くんは直明くんの言葉に激しく反論。
いい人だったら助けるのか、悪い人だったら助けないのかと道男くんが鋭いツッコミ。
東大生で頭脳明晰の直明くん、道男くんのツッコミに対してぐうの音も出ない。
実はものすごいポテンシャルを持っているらしい道男くん。
人よりも寂しい経験をたくさんし、孤独な子供たちのことを誰よりも理解する道男くんはまた、花江ちゃんの孤独を察しました。
花江ちゃんの孤独に胸が引き裂かれる思いがしたのでしょう。
道男くん、なんて優しい少年。
しかし、道男くんの言動は誤解されてしまいました。
はるさんまでもが誤解してしまいました。
道男くんの気持ちを思うと胸がつぶれそうです。
はるさんの愛情
はるさんが道男くんを預かると決めた理由が明らかに。
「道男」という名前は、直道くんの名前のもう一つの候補でした。
直道くんの「直」は、言うまでもなく直言さんの「直」を引き継いだものです。
だから直道くんの「直」は、それほど深く考えられずにつけられた文字であることが考えられます。
一方で直道くんの「道」には、はるさんはそれなりのこだわりがあったに違いない。
二つの名前の候補に「道」が入っていることからもそれは明らか。
だから道男くんを他人とは思えなかったのでしょう。
そんなはるさんが、道男くんのことを過剰に優しくもせず、厳しく躾けることもせず、淡々と育てて行く姿が素晴らしい。
今回のはるさんの描写、はるさん史上の神回でした。
そんな神回に、はるさんが倒れてしまいました。
予習レビューと史実のリアルエピソード
リアルトラちゃんと初代最高裁長官の交流のきっかけ
前回の本欄では「非常に重要なキャラの親族」であり初代最高裁長官でもある星朋彦と、その実在モデルについてまとめました。
今回も星朋彦について。
ドラマの中の星朋彦は穂高教授のご友人という設定です。
そして穂高教授からトラちゃんの評判を聞いた星朋彦は、トラちゃんの東京家庭裁判所判事補就任の人事発令を自分で行いたいと希望。
桂場さんに命じてトラちゃんを呼び出します。
そして穂高教授にとっての「希望の星」と称えた上で、トラちゃんに異動を告げました。
この一連のエピソードは史実のある出来事をモチーフにしています。
史実のある出来事とは次のとおりです。
昭和23年(1948)年。
リアルトラちゃんが裁判官になる前年、家庭裁判所が開所する前年のことです。
ある日、リアルトラちゃんはリアル最高裁長官に呼び出されました。
当時のリアルトラちゃんにとって最高裁長官は雲の上の人。
驚きながら長官室に足を運ぶと、最高裁長官はリアルトラちゃんの明治大学時代の恩師の一人の名前をあげました。
その恩師の名は島田鉄吉氏。
大審院の部長を経て退官後は明治大学の教授をしていた人物です。
ある日、最高裁長官が島田教授の家を訪問した際、リアルトラちゃんのことが話題にのぼったのだとか。
そのことを伝えるだけのために最高裁長官はリアルトラちゃんを呼び出したわけです。
明治大学の恩師である島田教授は、ドラマの中の穂高教授の実在モデルではありませんが、ドラマの中では島田教授のポジションが穂高教授に差し替えられたようです。
なお、史実の中で最高裁長官がリアルトラちゃんを呼び出したことがきっかけとなり、リアルトラちゃんは最高裁長官の執筆作業を手伝うことになりました。
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多岐川さん正論の後の難題。波乱の予兆。道雄君相変わらず。でも少し正直になってる。はるさんのお陰。今週ちょっとした山場になってる。留守中。道雄君の不器用な花江さんへの好意がトラブル、出奔へと。はるさんが一番苦しむ。道雄という名前はこの家に縁のある名前だった。更生って本当に難しい。はるさん倒れ、一連の出来事も悪影響か?