2024/7/11(木)第15週「女房は山の神百石の位?」
あらすじ
仕事に没頭するあまり優未を顧みることがなくなっていたことを直明に指摘された寅子は、道男からも非難されました。深く反省した寅子は自分自身を見つめ直すことを決意。家族会議を開くことを提案しました。
家族会議では、直明と子どもたちが口々に述べました。また、家族全員で新潟に引っ越そうと言い出した花江に対しても子どもたちが異を唱えました。家族みなで新潟に行く選択肢はなくなり、寅子は新潟に一人で行くべきか決断を迫られました。
寅子は心を決めました。優未と一緒に新潟へ行くと。優未と離れて暮らしたら、優未との関係は終わると寅子は考えたのです。寅子は新潟について来てほしいと優未に頭を下げ、優未は寅子の願いを聞き入れました。
その翌日、寅子は自分が思い上がっていたことを同僚たちに打ち明けました。そんな寅子に対して桂場が異動の理由を述べました。寅子を裁判官として成長させることが異動の目的であることを知った多岐川は、寅子の異動を受け入れるのでした。
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感想
今から家族会議を開始いたします
自分が家族の中で孤立していることにようやく気がついたトラちゃんの第一声。
それは「今から家族会議を開始いたします」。
この第一声から、トラちゃんが何もわかっていないことがはっきりしました。
家族会議を開始すると宣言した当初の目的、自分の足りなかったことを気づくことではなく、家族を自分の考えに合わせることではなかったかと。
ところが、道男くんが厳しい言葉の数々で形勢は一瞬にして逆転。
道男くんの追求によって、トラちゃんはようやく自分自身を向き合うことになりました。
道男くんがこんな役割を果たす日が来るとは想像もできませんでした。
そして、堰を切ったように出てくる子どもたちのトラちゃんへの不満の数々。
何かしてもらって、ありがとうと言わないのは嫌だ。
何かにつけて道を極めろと言われるのが嫌だ。
酒臭いのが嫌だ。
トラちゃん、猪爪家の中でどれだけ横暴になっていたのか。
しかも、直明くんまでもが不満を口にする。
就職の相談に乗ると言いながら、その約束を反故にしたらしい。
直明くん、やむを得ず笹山の大将に相談しに行ったらしいですが、この事実を道男くんに知らせたトラちゃん、これは痛い!
子どもたちにコテンパンにやっつけられてトラちゃんはようやく自分がのぼせていたことを理解したようです。
頭はいいはずなのに自分のことだけわかっていなかったトラちゃんでした。
しかし、懸念されることが一つだけ残りました。
子どもたちも、直明くんも、道男くんも、トラちゃんへの不満を吐き出すことでスッキリしました。
花江ちゃんも前回以前に不満を吐き出しています。
ところが、一番問題を抱えているはずの優未ちゃんだけが不満を吐き出せていません。
トラちゃんから頭を下げられて新潟について行くと言ったものの、優未ちゃんの表情ははっきり言って暗い。
優未ちゃんの心の問題が解決されないまま、すべてが解決できたと勘違いしているらしいトラちゃん。
禍根を残しましたね。
次週以降、未解決の優未ちゃんの心の問題が吹き出してくるのでしょう。
同僚たち
桂場さんの言葉に泣きました。
桂場さんがトラちゃんを高く評価していることは察しがついていましたが、ここまで高く評価していたとは驚きです。
しかも評価するだけではなくトラちゃんが裁判官として正しく成長する道まで考えている。
穂高イズムの継承者の一人である桂場さんは司法の理想のためにはトラちゃんの才能が欠かせないことを重々承知しているのでしょう。
桂場さんの視座の高さ由来の愛に泣きました。
さて、桂場さんがトラちゃんを異動させる理由を述べ終わるや、多岐川さんが桂場さんの胸ぐらをつかみにかかって来ました。
多岐川さん、どうしてそこで桂場んに対して怒りをぶつける?
と思ったら、多岐川さんは怒っているわけではありませんでした。
「とびきりの愛じゃないか!」
多岐川さんのこの言葉にも泣かされました。
桂場さん、多岐川さん、ライアンさん。
変な人として登場した裁判官たち。
全員が素敵な人として回収され、間も無く東京編が終わろうとしています。
トラちゃんが新潟勤務を終えて、再び東京に戻ってきたとき。
桂場さん、多岐川さん、ライアンさんと再会できますように。
予習レビューと史実のリアルエピソード
米国の女性法律家たち
昭和25年(1950年)5月、リアルトラちゃんはアメリカ合衆国の家庭裁判所事情を視察するメンバーの一人に選ばれ渡米。
昭和25年(1950年)9月、米国から帰国早々のリアルトラちゃんは米国人女性法律家の提案によって「日本婦人法律家協会」を結成し副会長に就任。
リアルトラちゃんが最先端の米国事情に学ぶ機会はもう一回訪れます。
昭和26年(1950年)、国際婦人法律家連盟の予備会議が日本で開催されることになりました。
予備会議の開催を機に、同連盟の創設者であり会長だったロザリンド・グッドリッチ・ベイツ氏以下、15名の女性法律家が来日。
来日した女性法律家の中には、州最高裁判所の判事を務めた初の女性法律家として知られ、連邦高等裁判所の判事に任官していたフローレンス・E・アレン氏もいました。
15名の女性法律家の来日を記念して、東京日比谷ではイベントも開催。
「講演と映画の会」と名付けられたイベントは、リアルトラちゃんと久米愛さんが主催。
フローレンス・E・アレン氏の講演が行われた他、リアル多岐川さんも「日本における少年問題」という講演を行いました。
また、このイベントで上映された映画は1949年に米国で製作されたジョージ・キューカー監督作品『アダム氏とマダム』でした。
ロザリンド・グッドリッチ・ベイツ(Rosalind Goodrich Bates)
1894年7月29日 – 1961年11月14日。
ニューヨークで編集者や女優を経て、ロサンゼルスで訴訟弁護士として活動を開始。
1944年に国際婦人法律家連盟(FIDA)を創設。
1961年、ウィスコンシン州シルバーレイクの自宅で事件に巻き込まれ死亡しました。
フローレンス・E・アレン(Florence E. Allen)
1884年3月23日 – 1966年9月12日。
コンサートピアニストを目指していたが怪我をして断念。
新聞の音楽評論家として働く中、法律に興味を持つようになりウェスタン・リザーブ大学で政治学の修士号を取得。
2005年に全米女性の殿堂入りを果たしました。
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優未ちゃんがみんなと楽しそうにカルタをする様子を、トラちゃんは涙を流しながら見ていました。
優未ちゃんのその笑顔を見たことでこれまでの自分を反省し、
「どこが変わっちゃったのか、もっと教えて」と家族会議を提案したように思いました。
最近のトラちゃんには鼻持ちならないところがありましたが、
甥っ子や弟たちからの批判にも、その都度頭を下げて謝るトラちゃんの姿に少し胸が痛みました。
多岐川さんから「佐田君と話すには夜間相談に行くしかない」と言われたほどで、
トラちゃんは忙しすぎたし、多くのことを背負いすぎちゃいましたね。
「落ち着いて、深呼吸」と言ってくれる優三さんや、言動を諫めてくれるお母さんもいないし…
優未ちゃんとしっかり向き合おうと反省したトラちゃんの気持ちはわかりますが、
これから知らない土地で一人ぼっちになってしまう優未ちゃんが心配になります。
家族会議、道男君も。「一番じゃなきゃ。」逆蓮舫。寅子さんにとっては耳の痛い話ばかり。優未ちゃんにとって重い決断。結局寅子さんに下駄を預けられ。優未ちゃんの決断。桂場さんの正論。流石だねえ。
とらちゃんに「一緒に新潟に来てください」って言われた優未ちゃん、すっごく素直に「はい」と返事。まだ「いい子」の呪縛が解けていない。
返事のあとの優未ちゃんの目線の動きも、まだまだ波乱が有りそうな雰囲気。
発芽玄米くんの「うらやましい」にツボりました。