あんぱん

嵩のもとにも赤紙が届く / あんぱん 第49回

2025/6/5(木)第10週「生きろ」

あらすじ

のぶが受け持っている生徒の兄に赤紙が届きました。不安でいっぱいのその生徒に対して、のぶは勇ましい言葉をかけました。しかしのぶは、次郎が口にした「日本は戦争に勝てない」という言葉がずっと心に引っかかっていました。

そんなのぶに蘭子が言いました。生徒に対して言ったのと同じようなことを次郎に対しても言ったのではないかと。蘭子に図星を指されたのぶは、次郎に本心を言う勇気を持てなかったと言いました。

同じころ、嵩にも赤紙が届きました。入隊のために高知に戻る直前、嵩は登美子と会い不安な気持ちを打ち明けました。その席で登美子は、自分の言いたいことだけを一方的に言い、出征を目前にした嵩を失望させました。

その翌日、嵩は御免与に帰省。嵩が真っ先に訪ねたのは朝田パンでした。しかし朝田パンは休業中で草吉もいなくなったことを嵩は初めて知りました。そこへ帰宅したのぶは、坊主頭になった嵩を見て、嵩が召集されたことを察しました。

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感想

のぶちゃんの変化

前回は、嵩くんに電報が届き、嵩くんも召集されたことが暗示されて終わり。

今回、その続きから始まるものとばかり思っていたら、のぶちゃんの小学校から始まりました。

のぶちゃんが受け持つ生徒のお兄さんが出征。

大人は周囲の目を気にして口に出せませんが、子供は素直に自分の気持ちを口にする。

お兄ちゃんが無事に帰って来て欲しい。

民江さんが聞いたら激怒するようなことを生徒の女の子は口にしました。

続けてその女の子がのぶちゃんに問いかける。

日本は勝ちますよね?

日本が勝つことの確信が持てないのでしょう。

これも大人は決して口には出せない一言です。

次郎さんは例外ですが。

そんな生徒に対して、のぶちゃんは日本は必ず勝つと断言。

断言しながらも、思い出すのは日本はこの戦争に勝てないと言った次郎さんの言葉です。

実はのぶちゃんも、次郎さんから指摘される前から日本が勝つという確信を失っていたような気がします。

だからこそ、次郎さんが日本は勝てないと言ったとき、自分の気持ちを見透かされたような気がしてあれだけムキになったのかも。

あるいは戦勝への確信のゆらぎを打ち消すために自分に対してムキになったのかも。

そんなのぶちゃんは自分が教師をやっていることに疑問を持ち始める。

教師をやめるフラグが立ったとも言えます。

それにしても、蘭子ちゃんの言うとおりのぶちゃんはすっかり変わってしまいました。

視聴者の視点からもパン食い競争の頃ののぶちゃんとは別人に見えるほど。

そして、そんな変化を演じきる今田美桜さん、素晴らしい女優さんだなと改めて思いました。

嵩くん

今回の後半に入ってから、ようやく嵩くんのエピソードが始まりました。

下宿で実家からの電報を受け取った嵩くんは恩師の座間先生に招集されたことを報告。

いつもにぎやかで楽しそうだった美術学校はすっかり寂しくなってしまいました。

みんな兵隊さんになってしまったとこぼす座間先生も寂しそう。

嵩くん、相手が座間先生なので本心をはっきり言いました。

「僕は戦争が大っ嫌いです」

嵩くんがどれほど座間先生を信頼しているのかがよく分かる一言でした。

しかし座間先生の反応は意外にも

「聞き捨てならんな、非国民め」

座間先生がこんなことを言う?

驚いた直後に、これは座間先生お得意の皮肉の効いたジョークと判明。

「罰として今日は俺に付き合え」

座間先生、出番は少ないけれどいつも素敵です。

そして、嵩くんと座間先生が喫茶店(?)に足を運ぶとそこには登美子さん。

久しぶりに面倒な人が登場しました。

そして、安定のマイペース。

「(軍隊生活は)無理に決まってるでしょ」
「(なぜなら)体力も根性もない」
「「軍隊は)嵩には無理」

言いたい放題の登美子さん、嵩くんを怒らせるの図。

でも、登美子さんの面倒な性格から考えて、これは息子を戦場に送る不安を隠すための方便なのかも知れません。

しかし、嵩くんにはそんな親心はわからない。

嵩くんが登美子さんに思わず言いました。

「一言ぐらい母親らしいことを言ってほしい」

登美子さんも本当は言いたなかったのでしょう。

そして次回、登美子さんは本当は言いたかったことを言うはずです。

次回は、登美子さんが泣かせてくれるかも知れません。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

のぶちゃんの迷い深まる

豪ちゃんが戦死した直後、蘭子ちゃんに詰られ迷いが生じ始めていたのぶちゃん。

その迷いがますます深まってゆくようです。

さて、今週はのぶちゃんと次郎さんが二人揃って朝田家を訪問します。

そして、のぶちゃんと次郎さんを迎えた朝田家の人々は、口々にのぶちゃんの幼い頃のことなどを語り始めます。

くらばあは、嵩くんを守るために男の子たちと大乱闘を繰り広げた話を。

メイコちゃんはパン食い競争の話を披露。

そんな中で蘭子ちゃんだけがのぶちゃんの痛いところを突く。

お姉ちゃんは変わってしまった。

昔はこうと思ったらまっしぐらに突っ走ったと。

蘭子ちゃん、のぶちゃんの迷いを深いところまで観察しているようです。

痛いところを突かれたのぶちゃん。

もし今の自分をお父さんが見たら、やはり変わってしまったと言うだろうかと不安になり、ますます迷うことに。

のぶちゃんの迷いの描写はこれだけではありません。

次郎さんが航海に出る

次郎さんが航海に出る日を迎えます。

次郎さん、いつもなら航海の時に持って行くはずの愛用のカメラを、今回の航海ではのぶちゃんに預けます。

これからの航海は予定どおりに帰ってこられるかどうかわからないと不吉なことを言う次郎さん。

続けて次郎さんは言います。

大国の米英と戦争して日本が勝てるとは思えないと。

船乗りとして海外の様子を直に見聞きしている次郎さんならではの洞察かと思います。

しかしのぶちゃんは、次郎さんの言葉を頑なに否定します。

戦争が終わる時は日本が勝つときだ。

そう強く思わないといけないと、次郎さんを説くのぶちゃん。

しかし、のぶちゃんは今では迷いを深めた愛国の鑑です。

迷いながら上のような言葉を言うのだろうと思います。

一方の温厚な次郎さんは、のぶちゃんの言葉に反論はしないが同意をするわけでもない。

次郎さん、のぶちゃんの迷いを察して反論も同意もしないのかもしれません。

もしそうだとしたら、次郎さん本当に紳士。

ところでのぶちゃんは、次郎さんが安全とは言えない航海に出ることで、大事な人が「戦場」に出ることへの不安を初めて感じる瞬間かもしれません。

のぶちゃんの本音

のぶちゃんの教え子の一人・紀子ちゃんのお兄さんが出征することに。

紀子ちゃんは、日本は勝つのか、お兄ちゃんが無事に帰ってくるのか不安でいっぱいです。

不安で押しつぶされそうな紀子ちゃんに、のぶちゃんが明るく言います。

日本は必ず勝つ、お兄さんは立派な役目を果たして凱旋される。

日本は必ず勝つと繰り返すのぶちゃん。

口ではそう言うが、実はのぶちゃんも心の中では不安でいっぱいのようです。

のぶちゃん、そんな不安を蘭子ちゃんに打ち明けます。

日本は必ず勝つと勇ましいことを口では言っているが、実は心の中は震えている。

さらに、次郎さんを送り出す時もそんな本当の気持ち、すなわち不安な気持ちを言えなかったと。

こんな自分が教師をやっていていいのかとのぶちゃんの苦悩は深まるばかり。

以上が今週ののぶちゃんの迷いです。

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POSTED COMMENT

  1. 名乗る程の者ではございません より:

    松嶋菜々子さんが出演していたからかドラマ終始脳内でリフレインしたフレーズ
    言いたいこともいえないこんな世の中じゃ~ぽいずん♪

  2. 中島立雄 より:

    次郎さんの置かれていた状況について触れます。もともと、帝国海軍は日本海海戦の成功体験もあって、日本近海で敵艦隊を迎え討つ計画を立てていました。その為、第一線の戦闘艦の建造を最優先にした為、寄港地や海上で戦闘艦に物資、燃料補給する輸送船の建造はなおざりになっていました。陸軍も当初は中国大陸まで兵員物資を運ぶだけで良かったので、それほど輸送船の必要性を感じていませんでした。ところが、東南アジア、太平洋の島々と戦線が拡大していった為、陸海軍で必要な輸送船が不足してきました。しばしば陸海軍で輸送船の取り合いで争う事もありました。そこで、民間の貨物船、客船を接収して輸送任務に就かせたのです。次郎さんクラスの上級船員には海軍士官と同様の資格が与えられた筈です。ところが次郎さんがこの任務に就いた頃には戦況は悪化して、日本近海あたりまで、米軍の潜水艦が侵入して、して戦地へ向かう輸送船を片っ端から攻撃します。民間から接収された艦船も相当数犠牲になりました。次郎さんはそんな危険な状態で戦地への航海に就いた訳です。

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