あんぱん

大衆受けしないと悩む嵩 / あんぱん 第96回

2025/8/11(月)第20週「見上げてごらん夜の星を」

あらすじ

三星百貨店を退職し漫画家として独立した嵩は独創漫画派という漫画家が集まる集団に所属。その集団の中で割り振られた漫画の仕事を手がけるものの、決して順調と言える状態ではありませんでした。

一方、のぶは鉄子に秘書を続けさせて欲しいと頭を下げていました。のぶは、探しているものがあるので鉄子のもとで働きたいと訴えました。鉄子のもとで働くことで探しているものが見つかると信じているとも言いました。

そんなある日、八木が雇われ店長として働いている雑貨店「九州コットンセンター」に足を運んだ嵩は、自分の漫画は大衆受けしないと悩みを打ち明けました。愚痴る嵩に対して八木は、大衆に媚びることなく自分らしい漫画を描けばいいと諭しました。

するとそこに鉄子が買い物にやってきました。嵩がのぶの夫だと知った鉄子は嵩に尋ねました。のぶが探しているものは何なのだと。嵩は「逆転しない正義」だと答え、のぶが戦時中の正義に流されたことを悔やんでいることを鉄子に伝えました。

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感想

今週ののぶちゃん

今週はのぶちゃんに一波乱ありそうな予感でいっぱいの一週間のオープニングでした。

前週、薪先生から「いやならやめたらいい」と言われてしまったのぶちゃん。

その言葉への反応が今日になって出てきました。

「やめていいとおっしゃいましたが、ここで働かせてください」

薪先生の厳しい言葉がトゲとなってのぶちゃんの心に刺さっていたらしい。

でも今日まで「ここで働かせてください」と言えなかったのかな。

「ここで働かせてください」発言に続いて、のぶちゃんは薪先生のもとで働きたい理由も述べました。

「探しているものがある」

「(薪先生の秘書をしていたら)私は見つかると信じている」

嵩くんを支えることだけが目的なら、優秀なのぶちゃんであれば働き口は他で見つけることも可能でしょう。

しかし、のぶちゃんが薪先生の秘書でい続けたい理由は嵩くんを支えることではありませんでした。

人生を賭けて見つけるつもりであるものは、他の職場では見つけられない。

のぶちゃんにとって薪先生の事務所はかけがえのない職場のようです。

しかし、のぶちゃんが探しているものは、薪先生の事務所ではもはや見つけられないかもしれない。

薪先生、あまりにも人が変わってしまいました。

のぶちゃんが探しているものは何なのかと嵩くんに尋ねる薪先生。

嵩くんが「何がっても逆転しない正義」と答えると、その答えを受けて八木さんがするどく薪先生に対して言いました。

「少なくともあんたたち政治家はコロコロ逆転する正義ばかり唱えている」

薪先生、八木さんの言葉を否定しませんでした。

否定どころか痛いところを突かれたと思っているのでしょう。

八木さんの言葉を借りると「今は民の方でなく権力の方ばかり向いているガード下の女王」。

薪先生もその自覚はあるはずです。

のぶちゃんが探しているという「何がっても逆転しない正義」。

「今は民の方でなく権力の方ばかり向いているガード下の女王」のもとでは見つけられないと薪先生も考え始めているかもしれません。

嵩くん

三星百貨店をやめて漫画家として独立した嵩くんは、仕事のスケジュールを書き込む黒板を購入。

しかしその黒板には何も書かれていない・・・

嵩くんの今の状況が何も書かれていない黒板によって見事に可視化されていました。

しかし、それほど切羽詰まった様子ではない嵩くん。

独創漫画派の面々もまた、それほど困った様子はない。

納得のいく仕事はできないけれど、食べていくのに困らない程度の仕事はある。

そんな状況なのでしょうか。

あるいは下請けの漫画の仕事はいくらでもあるけれど、オリジナル作品は編集者になかなか認めてもらえない。

そんな状況なのかもしれません。

そして、嵩くんは愚痴を聞いてもらいに八木さんのもとへ。

八木さん

闇市もなくなり八木さんは雑貨店の店長さんになっていました。

ちょっとネタバレになりますが、次週、八木さんは会社を設立します。

社名は「九州コットンセンター」。

八木さんが店長として雇われているお店と同じです。

八木さん、このお店を買い取ることになるのかな?

闇市で止まっていたかのようにも見えた八木さんの人生も動き出しました。

また、嵩くんの漫画『名犬ボン』の中にあった「ボンが書いた詞」に八木さんが反応。

八木さんが嵩くんの作詞家の才能を見出した瞬間だったような気がします。

新たな展開の予感でいっぱいの月曜日でした。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

嵩くんが三星百貨店を退職

前週、嵩くんは三星百貨店に退職届を提出。

念願かなってついに独立することができました。

今週は独立した状況からスタートです。

ところで嵩くんが高知新報をやめたのには理由が2つあったはずです。

1つ目の理由は上京するため。

2つ目の理由は会社勤めをやめ、東京で漫画を描くことに集中するためでした。

しかし登美子さんの強いすすめに押し切られて不本意な就職。

高知新報のときとは異なり三星百貨店では意外にも仕事ぶりが認められていました。

ポンコツ姿を次々とさらしていた高知新報のときとはえらい違いです。

しかし、ポンコツながらも楽しそうに仕事をしていた高知新報のときとは異なり、三星百貨店ではあまり楽しそうには見えない嵩くん。

やはり就職することは不本意な選択だったのでしょう。

そんな嵩くんの気持ちを察したらしい八木さんも嵩くんのことを心配していました。

上京してから5年も経ってしまいましたが、ようやく嵩くんは自分の好きな道を選ぶことができました。

独立はしたけれど

嵩くんが上京した一番の目的であった漫画に専念する環境は手に入りました。

しかし、漫画に専念はできても納得のいく漫画の仕事をすることができない嵩くん。

嵩くんの受難はまだまだ続きます。

三星百貨店を退職した嵩くんは独立漫画派という集団に所属しました。

この独立漫画派という集団は、雑誌や新聞の四コマ漫画などの単発の仕事を受注し、所属しているメンバーに対して仕事割り振る役割を持った集団です。

つまり独立漫画派に所属していれば定期的に仕事が入ってくるわけです。

なので漫画の仕事を取るために漫画家は営業する必要がなくなり漫画に専念できるというわけです。

嵩くんは割り振られた漫画の仕事で収入を得ながら、自分の好きな漫画を描いてそれをどこかで発表することを考えていたのでしょう。

しかし、どうやら漫画の仕事は思ったほどにはまわってこないらしい。

そんな状態が続いたまま今週中に7年がスキップ。

嵩くんは下請けの漫画の仕事はあるものの、漫画家として売れることはなく、独自の漫画作品を発表する機会がない状態のまま。

今週はそんな状況下で、漫画とは無関係な仕事が舞い込んでくる展開が描かれます。

【史実】リアル嵩くんが三越百貨店を退職

リアル嵩くんが三越百貨店を退職するまでの敬意はドラマとはかなり異なります。

リアル嵩くんは、漫画などの仕事で得られる収入が三越からのもらう給料の3倍に。

そして、いよいよ漫画家として独立を考え始めるものの踏み切ることができないリアル嵩くん。

ここまではドラマと同じ。

史実では、リアル嵩くんの退職に三越の労働争議がからんできます。

会社と組合が激しい対立を繰り広げる中、会社と組合が自分たちだけが正義とばかりの物言いで主張し合う姿にリアル嵩くんは幻滅。

そんな中でリアルのぶちゃんがリアル嵩くんに次のように言ったのだそうです。

「収入がなければ私が食べさせてあげる」

このリアルのぶちゃんの一言が決め手となり、リアル嵩くんは三越退社を決意しました。

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POSTED COMMENT

  1. ずんこ より:

    鉄子さんも、なかなかのジレンマを抱えている様子。
    困っている人々の声も聴きたい、でも聞いたとしてもそれらを解決するためにはそれなりの党内の立場や人脈が必要になる、立場を確立しようとすると人々の声を聴く時間がなくなる…。
    だからせめて個人として、孤児の子供達が作った封筒を買い求めているのですね。

    そこで出会ったのぶちゃんの夫・嵩くんからのぶちゃんが働き続けたい理由を聞いた鉄子さん。
    なにやら思うところがありそうです。

  2. 名乗るほどの者ではない より:

    小島功先生
    黄桜のカッパに「ヒゲとボイン」
    なぜか分からないがワイは「子連れ狼」ってこの方の作品と思っていた、ホンマわからんわ
    姪は安野モヲコ先生(庵野秀明夫人)、「働きマン」に出てくる女性のタッチはなんか叔父のそれに似ている

  3. よるは去った より:

    鉄子「そんなもんどこにあるがよ・・・・・?」

    逆転しない正義っていうよりも、一部にとっては正義だけど、また一部の人間にとっては悪でしかないというのが実情じゃないですかね。

  4. 名乗るほどの者ではない より:

    アメリカ人以外でビートルズより早くビルボード1位を獲った日本人シンガー、SNSもない時代に、しかも日本語歌詞で
    現在まで何人ものシンガーが全米チャートに挑んでますがテッペン獲ったのは坂本九さんの「Sukiyaki Song」のみ
    8月12日はそんな偉大なシンガーを偲ぶ日であってもいいと思うんだ

    中埜阪神タイガース球団社長
    大惨事にてあの年のタイガース初の日本一を見ることがなかった社長
    40周忌の今年、タイガースは既にマジック点灯していますよ、空の上から眺めて下さい

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