2025/9/3(水)第23週「ぼくらは無力だけれど」
あらすじ
ある日、のぶは週刊誌が主催する漫画コンクールを見つけました。のぶはその漫画コンクールに挑戦してみてはどうかと嵩に提案。応募することに迷う嵩でしたが、のぶに背中を押され応募を決意しました。
しかし嵩は漫画のアイデアが浮かばず苦悩し仕事部屋にこもりきりになり、食事の間も頭の中は漫画のことでいっぱいでした。そんな中で嵩は、この漫画コンクールで賞を取れなければ漫画家をやめると宣言しました。
ある日、のぶと嵩と羽多子が暮らすマンションの階下の部屋への引っ越しを終えた蘭子が柳井家に顔を出しました。やって来た蘭子にのぶと羽多子は言いました。好きな人がいるなら臆病になるな。自分の気持ちに正直に生きよと。
数日が過ぎ漫画コンクールの締切が近づいたある日。帽子をかぶって掃除機をかけるのぶの姿に着想を得た嵩は、締切前夜に夜を徹して漫画を完成。締切当日の朝に漫画を完成させた嵩は原稿を直接持ち込むことにしました。
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感想
仕事は常にあり作詞家として知られはしたものの漫画家としては埋もれたまま。
そして漫画の代表作がなかった嵩くん。
そんな嵩くんの漫画家人生がようやく動き始める予感でいっぱいの回でした。
漫画コンクール
漫画コンクールに挑むことを決めたものの漫画のアイデアが浮かばない嵩くん。
嵩くんが思い悩む姿はこれまで様々な形で繰り返し描かれて来ました。
というか、これまでの嵩くんの登場場面のほとんどすべてが悩んでいる姿と言っても差し支えないほどです。
そんな中で今回の悩みっぷりは深く激しい。
うなり声が仕事部屋の外にまで聞こえ、羽多子さんを驚かすほど。
産みの苦しみという言葉がありました、これまでにない苦悩の描写は産みの苦しみであることを表現しているのでしょうか。
また、のたうちまわる嵩くんの姿を見て、初めて嵩くんはやっぱり天才なのだと改めて思いました。
普通の人ならあそこまで苦悩する前にあきらめるでしょうから。
産みの苦しみで悩みまくる嵩くん、のぶちゃんの帽子の姿に着想を得ました。
帽子→某氏
これまで繰り返し登場してきた結太郎さんの遺品の帽子。
初めて登場したのは結太郎さんが最期を迎えた旅に出る際に、ちびのぶちゃんの頭にその帽子を被せる場面。
それから遺品の帽子は結太郎さんの思い出そのものになりました。
のぶちゃんと羽多子さんが敬礼する対象にもなり。
カマジイが先に逝った息子を思い出すアイテムにもなり。
結太郎さん亡きあとでも、まるで結太郎さんが生きているかのように、主要登場人物のような存在感を持って登場し続けてきた結太郎さんの帽子。
その帽子が嵩くんの人生を大きく動かすきっかけになろうとは。
助演小道具賞なんて賞があったら受賞間違いなしの帽子がいよいよ回収されそうです。
蘭子ちゃんの恋
蘭子ちゃんの引っ越しが完了。
引っ越し先のマンションの蘭子ちゃんの部屋にも引き続き豪ちゃんの半纏が。
その豪ちゃんの半纏を背景にして蘭子ちゃんが開けたのは、八木さんにフタを開けてもらったイチゴジャム。
豪ちゃんの半纏を背に八木さんを想う蘭子ちゃんの図。
その次の場面は、蘭子ちゃんの気持ちをすでに見抜いているのぶちゃんと、のぶちゃんの言葉ですべてを察した羽多子さんのアドバイス。
羽多子さん曰く、結太郎さんに出会ったから今のあてがある。
のぶちゃん曰く、次郎さんと嵩さんに出会ったから今の私がある。
結太郎さんも次郎さんも亡くなっていますが、その事実を前向きに受け入れている羽多子さんとのぶんちゃんの言葉に蘭子ちゃんは何を思ったのでしょうか。
のぶちゃん曰く、好きな人がいるなら臆病になるな。
羽多子さん曰く、自分の気持ちに正直に行きなさい。
蘭子ちゃんの気持ちは固まったかな?
今週中には蘭子ちゃんと八木さんの関係もどこかに落ち着きそうです。
手嶌治虫からの電話
嵩くんが漫画に没頭しているところで電話が鳴り始める。
電話の主は「手嶌治虫」を名乗る。
しかし嵩くんはイタズラ電話と思い込み、こんなことするなと注意して電話を切る。
その次のカットは手嶌治虫の姿。
電話を切られて呆然とする。
ほんの一瞬の場面でしたが、次週のフラグが立ちました。
また、手嶌治虫に一目置かれる漫画家になるフラグとも言えるかと思います。
手嶌治虫からの電話の場面もまた、嵩くんの漫画家人生がようやく動き始める予感でいっぱいでした。
予習レビューと史実のリアルエピソード
手蔦治虫
今週、ついに天才漫画・手蔦治虫が本格登場します。
手蔦治虫の本格登場を機に、これまでの嵩くんと手蔦治虫の接点を振り返ってみます。
接点と言っても一回を除いてすべて間接的な接点ばかりでしたが。
最初の接点は高知新報時代でしょうか。
のぶちゃんが高知新報をやめて上京してしまったことでスランプにおちいった嵩くん。
その嵩くんを励まそうとして東海林さんが見せた漫画が手蔦治虫の作品でした。
若い才能に触れることによって嵩くんは発奮するだろうと東海林さんは考えたものの、逆に嵩くんを余計に落ち込ませることに。
次が三星百貨店時代。
お芝居のポスターの仕事を担当した際に、そのお芝居の演出家がこれ読んでみなとくれたのが手蔦治虫の漫画でした。
この時も嵩くんは手蔦治虫の才能に圧倒されて落ち込むばかり。
その後、手蔦治虫は嵩くんのストレスのもとみたいになってしまいます。
そんなある日、嵩くんはカフェで手蔦治虫と遭遇。
漫画の才能が豊かなばかりでなくあり得ないほどの好青年ぶりに嵩くんはますます落ち込むことに。
手蔦治虫は常に嵩くんをおびやかす存在として描かれ続けてきました。
そんな手蔦治虫がいよいよ嵩くんに声をかけてきます。
手蔦治虫が嵩くんに声をかける目的は、靴ヒモの結び方を教えるためではなく、なんと仕事の依頼です。
アニメ映画『千夜一夜物語』
今週、嵩くんは漫画コンクールにエントリー。
帽子をかぶるのぶちゃんの姿に着想を得たキャラクターが主人公の『ボオ氏』という漫画の執筆に没頭します。
そんな中で手蔦治虫から電話がくるらしい。
どうやら嵩くん不在時に電話がくるみたいです。
なので、手蔦治虫から電話が来たと言っても嵩くんは何かのイタズラだろうと相手にしない。
電話には返事をせず放置することに。
その後、嵩くんは漫画コンクールで大賞を受賞。
のぶちゃんと嵩くんが喜びにわく中、再び手蔦治虫から電話がきます。
電話の目的は仕事の依頼。
依頼内容は、これから制作するアニメ映画『千夜一夜物語』のキャラクターデザインを手がけてほしいという依頼です。
嵩くんのもとには、これまで様々なジャンルの天才たちから仕事の依頼がきました。
しかし、ようやく漫画の天才から漫画の仕事の依頼が入るわけです。
しかもその漫画の天才は、これまでずっと嵩くんを悩ませ続けてきた天才です。
【史実】アニメ映画『千夜一夜物語』
嵩くんが天才漫画・手蔦治虫からアニメ映画『千夜一夜物語』のキャラクターデザインを任されるエピソードは史実のリアルエピソードがモチーフになっています。
史実でも始まりは一本の電話でした。
ドラマの中で再現されている通り、最初の電話をリアル嵩くんはイタズラ電話だと認識していたようです。
当時のリアル嵩くんから見て、手塚治虫は雲の上の存在でした。
そんな人から電話が来るわけないと考えるのは自然なことです。
そして二度目の電話によってリアル嵩くんはそれがイタズラ電話でないことを理解します。
ちなみに実際には電話は手塚治虫氏本人ではなく手塚治虫のプロダクション・虫プロのプロデューサーからだったようです。
電話の要件は次のとおり。
・虫プロで長編アニメ映画の製作が決まった
・美術監督をやなせ君に任せることになった
・手塚治虫はじめ皆で話し合った結果だ
言うまでもなくリアル嵩くんはこの仕事を快諾。
手塚治虫との仕事はリアル嵩くんのその後の仕事に大きな影響を与えました。
そして手塚治虫はリアル嵩くんの仕事に大いに満足しました。
良い仕事をしたお礼にと、手塚治虫はリアル嵩くんに短編アニメ映画を制作する機会をプレゼントします。
制作費は手塚治虫がポケットマネーから捻出。
完成されたアニメ映画『やさしいライオン』はその後、文部省選定を受けて昭和45年(1970年)に一般公開されました。
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嵩さん、背水の陣。あの帽子にいつ気が付く?やっと創作のヒントが。なんか火事場の馬鹿力っぽい。手嶌先生からの電話いたずら電話と思い込み。やっと完成、事実上の出世作完成。