2025/9/16(火)第25週「怪傑アンパンマン」
あらすじ
たくやの提案を嵩は受け入れ『怪傑アンパンマン』のミュージカル制作の準備が始まりました。しかし多忙を極める嵩はミュージカルの打ち合わせには参加できませんでした。そこでのぶが、嵩に代わってアンパンマンへの思いを語りました。
嵩がようやく打ち合わせに参加できたある日。のぶと嵩は蘭子から今すぐ八木の会社に来るよう電話で呼び出されました。のぶと嵩が駆けつけると、二人が来るのを待っていたのは岩男の息子の和明でした。
和明は、父の岩男と同じ戦場にいた嵩と八木に、岩男の最期の話を聞きにやってきました。和明はこれまでも岩男の戦友たちに話を聞いてまわりました。しかし誰一人、岩男の最期を知る者がいなかったのです。
嵩が答えるのに躊躇していると八木が全てを語り始めました。岩男は自分になついていた少年に殺害されたこと。その少年を自分は逃したことを。ショックを受け去っていく和明を追って、のぶは絵本『あんぱんまん』を贈りました。
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感想
最終回が近づく中、過去の回収が始まりました。
八木さん
蘭子ちゃんが取材して書いた戦争体験者の記事を神妙な面持ちで読む八木さんと粕谷さん。
粕谷さんはその仕上がりを絶賛するものの無言のままの八木さん。
そんな二人に蘭子ちゃんは頼みました。
二人にも取材させてほしいと。
粕谷さんは蘭子ちゃんの頼みならと承諾。
ところが八木さんは・・・
「それは勘弁してくれ」
ただ単に断るのではなく、まるで懇願するのような言葉を選ぶ八木さん。
八木さんと粕谷さん、同じ戦場にいながらこうまでも反応が違う。
思えば岩男くんの悲劇を目の当たりにしたのは八木さんと嵩くん。
あの現場に粕谷さんはいませんでした。
この差が八木さんと粕谷さんの反応の差を生じさせたのでしょうか。
ところで八木さんは嵩くんが入隊した頃からいつも暗い目をしていました。
あの頃、すでに八木さんは心が引き裂かれるような経験をしていたのかもしれません。
まだ戦中も戦後もずっと一緒だった嵩くんさえ知らない過去を。
ところで岩男くんの最期を尋ねられた嵩くんと八木さん。
嵩くんは答えるのに躊躇していました。
しかし八木さんが語り始める。
嵩くんが制止するのも無視する形で。
戦争体験を語らせられるのだけは勘弁してくれと言った直後に戦争体験を語ることになる皮肉。
しかも、八木さんの中では最もつらい体験であろう過去を。
ここ数週間、すっかり「商業主義の経営者」になりきっていた八木さんでしたが、最終週を目前にして暗い過去が再び見え隠れしてきました。
岩男くんの息子
キューリオの事務所にいきなり訪ねてきた男の正体が最初に見抜いたのは蘭子ちゃん。
思えば不思議な巡り合わせです。
一歩間違っていたら、蘭子ちゃんは岩男くんと結婚してたわけですから。
なので蘭子ちゃんは岩男くんの顔を忘れるはずがない。
そして岩男くんにそっくりなその男を見た瞬間に、彼が何者なのかを蘭子ちゃんは察したようです。
嵩くんと八木さんもキューリオにやってきた男の正体をすぐに見抜いたようです。
和明さん、これまでも父の最期を聞くために方々をまわってきたらしい。
しかし誰も父の最期を知りません。
考えてみれば岩男くんが息を引き取ったあの瞬間に居合わせたのは嵩くんと八木さんだけでした。
そして嵩くんや八木さんの性格から考えて、岩男くんに何があったのかを誰にも語らなかったのでしょう。
なので岩男くんの最期がわからないままなのは当然。
しかし、やっと分かった岩男くんの最期はあまりにも残酷でした。
ショックを受けて立ち去る和明さん。
のぶちゃんが贈った絵本『あんぱんまん』が彼の心を救いますように。
予習レビューと史実のリアルエピソード
『あんぱんまん』が雑誌に掲載
前週から今週にかけてのどこかのタイミングで、『あんぱんまん』が雑誌に掲載されます。
のぶちゃんと嵩くんの悲願がついに叶うわけです。
しかし評判は思わしくない。
そこでのぶちゃんは『あんぱんまん』の認知度を高めるための行動に出ます。
のぶちゃんは八木さんに頼んで孤児院の子供たちを集め読み聞かせを行うんです。
ところが、集まった小学生たちの反応は思わしくなく・・・
『あんぱんまん』がブレイクするのはまだちょっと先のようです。
【史実】絵本『あんぱんまん』
史実では、昭和48年(1973年)に絵本『あんぱんまん』が出版されます。
リアル嵩くんが最初に出版した絵本『やさしいライオン』が出版されて大ヒット。
それに気をよくした出版社が、もう一冊絵本を出さないかとリアル嵩くんに提案し、リアル嵩くんはこの提案を快諾。
この「もう一冊」が絵本『あんぱんまん』です。
最初の絵本『あんぱんまん』は『キンダーおはしえほん』の一冊として刊行されました。
この絵本の中に登場するアンパンマンは、アンパンで出来た自分の顔をお腹の空いた人に食べさせてあげるヒーローです。
今も人気のアンパンマンの原点が絵本『あんぱんまん』です。
ところで今のアンパンマンはカタカナ表記ですが、この時に出版された絵本のタイトルはひらがな表記です。
幼児向けの絵本のタイトルはひらがなにするというのが当時の出版業界の慣習でした。
リアル嵩くんはこの慣習にならって絵本のタイトルをひらがな表記の『あんぱんまん』としました。
しかしその後、リアル嵩くんはカタカナ表記の方がしっくりくるという理由から、タイトルをカタカナ表記の『アンパンマン』に改めました。
なお、最初の絵本『あんぱんまん』は残念ながらヒットしませんでした。
ヒットしないばかりか、読者からは顔を食べさせるのは残酷だという不評の声が次々に集まりました。
しかしアンパンマンが大のお気に入りのリアル嵩くんは、アンパンマンの出版を引き受けてくれる出版社探しに奔走するものの見向きもされず。
満を持して世に出たアンパンマンでしたが、大人気のヒーローになるのはまだまだ先の話です。
『キンダーおはしえほん』とは
最初の絵本『あんぱんまん』が刊行されることになった『キンダーおはしえほん』とは、フレーベル館が出版する月刊保育絵本です。
ターゲットは4、5、6歳の児童。
毎月、ひとつのストーリーを読む構成になっています。
その内容は、日本昔話、人気のシリーズ、創作、ノンフィクションなど幅広いジャンルの絵本を取り扱い。
創刊は昭和42年(1967年)4月で、創刊の6年半後の昭和48年(1973年)10月に『アンパンマン』が刊行されました。
参考までに2025年6月号は『やさしいライオン』です。
なお、『キンダーおはしえほん』を刊行するフレーベル館は、児童書や絵本、幼児教育の専門書などを取り扱う出版社。
代表的な出版物には「アンパンマン」シリーズの他、「ウォーリーをさがせ!」シリーズがあります。
フレーベル館はまた絵本雑誌『キンダーブック』も刊行。
『キンダーブック』は昭和2年(1927年)11月に創刊され、戦中から戦後にかけての2年半ほどの休刊期間があったものの、あと2年で創刊100年を迎える絵本の老舗です。
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