2025/9/19(金)第25週「怪傑アンパンマン」
あらすじ
ミュージカル『怪傑アンパンマン』の客席は大勢の子供たちで埋め尽くされ、その様子をのぶはカメラで収めました。公演初日は盛況のうちに上演を終了。大きな拍手が湧き起こる中、嵩は胸をなでおろしました。
上演が終わるのと同時に、蘭子とともに草吉が大量のあんパンを抱えて会場にやってきました。蘭子が八木に頼み、八木の会社がスポンサーとなってこの日のために大量のあんパンを発注していたのです。
嵩は、会場の子供たちにあんパンを配る草吉と再会。嵩との再会を喜ぶ草吉は、自分自身の戦争体験を嵩に初めて語りました。そして草吉は、アンパンマンが格好悪いおじさんの頃からずっと読んでいたことを嵩に打ち明けました。
嵩が草吉との再会を喜ぶその一方で、のぶは公演を観に来ていた和明の後を追って会場を飛び出しました。その後、嵩も和明のもとにやって来ました。和明は言いました。戦場で父が少年に抱いた感情を分かっていけそうな気がすると。
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感想
前週まで、なかなか売れないアンパンマンが描かれてきました。
アンパンの産みの苦しみが続きました。
今週はアンパンマンの産みの苦しみの最後の週となりました。
今週の振り返り:絵本出版
アンパンマンの産みの苦しみの最後は、アンパンマンが編集者に真っ向から否定されることから始まりました。
アンパンマンはついに絵本になりました。
絵本になる前は、雑誌に一度掲載されただけ。
地味な掲載だったので注目されることはありませんでしたが、注目されなかったがゆえに厳しい言葉で否定されることはありませんでした。
注目されない、見てももらえない。
そんな状態です。
もしかすると、これはこれで作家としては厳しいことなのかもしれませんが。
今回はアンパンマンが独立した一冊の絵本という形での出版です。
月刊の絵本なので、最低でも定期購読者には届きます。
注目を浴びなくても一定数の目には触れるわけです。
そして評判が悪かったのでしょうか。
編集者の詩織さんが嵩くんにはっきりと言いました。
「二度とああいうものは書かないでください」
これまで嵩くんは、アンパンマンに対して微妙な態度を取られたことはあっても、ここまで真正面から否定されたことはありません。
嵩くんのいないところでは、登美子さんも言葉を極めてアンパンマンを酷評しました。
でも仮に、登美子さんが嵩くんの目の前で同じことを言ったとしても、嵩くんはそれほどショックは受けなかったかもです。
登美子さんなら毎度のことなので。
しかし詩織さんの言葉は嵩くんにはかなりこたえたかと思います。
そんなショッキングなアンパンマン否定から今週は始まりました。
今週の振り返り:『詩とメルヘン』で連載
アンパンマンの絵本がコケたことで、日の目を見る機会を再び失ったアンパンマン。
日の目を見る機会を失ったことを八木さんは心配してくれたのでしょうか。
アンパンマンは『詩とメルヘン』で連載されることに。
しかし、こちらも注目されることなく、ひっそりと連載が終了。
前週まではアンパンマンの日の目を見る機会がない苦悩が描かれましたが、今週はアンパンマンが日の目を見る機会を得ても売れない苦悩。
前週よりも苦悩は深いかと思います。
日の目を見る機会がないうちは、たまたまチャンスに恵まれないだけみたいに自分に言い聞かせることもできます。
でもチャンスに恵まれたのに売れないとなると、自分に言い聞かせる言い訳が見つからない。
もっとも嵩くんはチャンスに恵まれないと言い訳したり、売れない言い訳を必死になって探すようなタイプではありませんが。
今週の振り返り:ミュージカル
絵本も売れない。
『詩とメルヘン』で連載しても人気が出ない。
八方塞がり、というほどではないですが少なくとも二方塞がりの状況下、たくちゃんがミュージカル化を提案。
たくちゃん、絵本も連載もすべて読んでアンパンマンが大のお気に入りだったらしい。
アンパンマンが、あんパンを配るおじさんだった頃は、アンパンマンに対して微妙な反応を示していたはずのたくちゃん。
ヤムおじさんの言葉を借りるなら「パンの化け物、怪物アンパンマン」になってから、アンパンマンへの評価が変わったらしい。
そんなわけでたくちゃんのアンパンマン愛により始まったミュージカル企画でしたが、今度はチケットが売れない。
そんな危機的な状況も前回にクリア。
ついにアンパンマンが人気キャラとしての第一歩を踏み出しました。
ところで今回のミュージカルの場面。
舞台を見て喜ぶ子供たちの表情は演技ではなく本物の表情であることは間違いありません。
実際にアンパンマンのミュージカルを子供たちに見せてその表情を撮影したのでしょう。
アンパンマンへの子供たちのリアルの反応を見るのはブログ主はこれが初めてです。
アンパンマンは未就学児童に大人気ということでしたが、本当にそうだったんだと確信できた瞬間でした。
次週:最終週
次週はいよいよ最終週です。
アンパンマンがついに大人気のヒーローになる週です。
その一方で入院中ののぶちゃんのカットがあるなど気掛かりな週でもあります。
あと一週間。
最後まで当ブログとお付き合いいただけますと幸いです。
予習レビューと史実のリアルエピソード
ばいきんまん
今週、第25週のサブタイトルは「怪傑アンパンマン」ですが、実は最初に発表されたサブタイトルは「ばいきんまん誕生」でした。
今週、あるいは翌週に「ばいきんまん」が誕生するようです。
「ばいきんまん」誕生のきっかけは次のとおり。
ミュージカル『怪傑アンパンマン』を観た嵩くんは、アンパンマンには何かが足りないと考える。
ある日、足りないものが悪役キャラクターだと気づいた嵩くん。
早速、生み出したのが「ばいきんまん」という展開です。
では「ばいきんまん」とはどのようなキャラなのか。
下記にまとめてみました。
ばいきんまんとは
ブログ主は本作『あんぱん』を観るまで「アンパンマン」に全く興味がありませんでした。
そのため「アンパンマン」に登場するキャラの知識が皆無です。
ばいきんまんも名前を知っている程度。
そこでブログ主の予習もかねて、ばいきんまんというキャラについてまとめてみました。
ばいきんまんの出身はバイキン星。
アンパンマンの宿命のライバルで自称「天才科学者」です。
ばいきんまんのモデルは蠅(はえ)。
そのため背中にハネが生えていて空を飛ぶことも可能です。
またモデルが蠅(はえ)だけに、不潔を好み、風呂や掃除が嫌いです。
ただし、多くの場面ではバイキンUFOで空を飛翔。
得意技は、ばいきんまんのセリフを借りるなら「卑怯はオレさまの得意技」。
一方でばいきんまんには悪事を働かない場面もあります。
それは女性の前。
女性の前では悪さを封印。
そんなばいきんまんはドキンちゃんが大好き。
そしてドキンに対しては何も言えなくなるというチャーミングな弱点を持っています。
【史実】ばいきんまん
ばいきんまんは『アンパンマン』の最初期から登場する極めて重要なキャラクターですが、史実では次のような経緯で誕生しました。
リアル嵩くんは常々「アンパンマンには何かが足りない」と考え続けていました。
その足りない何かが分かったのはリアルたくちゃんが演出したミュージカル『怪傑アンパンマン』が上演されたときのことでした。
観客席にいる子供たちの反応を観察していたリアル嵩くんは、アンパンマンに足りなかったのは悪役の存在だと気がつきました。
そして悪役「ばいきんまん」が誕生しました。
悪役であるばいきんまんは、自分の顔を食べさせる自己犠牲のアンパンマンに対して、自分の欲求を満たそうとする利己主義の考え方を持つ存在です。
しかしリアル嵩くんはばいきんまんを単なる悪役にはしませんでした。
ばいきんまんという悪役は排除すべき悪ではなく、人間が誰でも持っている良い面と悪い面の悪い面です。
そして悪役でありながら人気キャラになったばいきんまんについてリアル嵩くんは次のように語っています。
「怠けたい、いたずらをしたいなどという人間の欲求不満を表現している」
きっと「怠けたい、いたずらをしたい」というばいきんまんに、同じ気持ちの子供たちが共感したのでしょう。
なお、ばいきんまんは決して死なないキャラクターとしても描かれています。
これは、人が風邪をひいて薬で治しても再び風邪をひくように、一度やられてもまた出てくることを表現しているのだそうです。
ところで『あんぱん』の主要登場人物たちの衣装のカラーはアンパンマンのキャラのカラーを反映していると言われています。
ちなみにばいきんまんのカラーが反映されているのは登美子さん。
登美子さんの見栄っ張りなところは嵩くんと似ているという設定ですが、見栄っ張りという嵩くんの短所を登美子さんが表現しているのかもしれません。
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八木さんの全力サポート。
なぜそこまで嵩くんやアンパンマンに、肩入れするのでしょうか。
「アンパンマンは、井伏鱒二の世界観」
井伏鱒二と言えば、軍隊時代に八木さんと嵩くんとを結びつけた詩集の筆者。
永遠の文学青年・八木さんは、アンパンマンの中に井伏鱒二の世界観を感じ取ったのかもしれないと思いました。
アンパンマンのミュージカルを観ている子どもたちの、楽しそうなこと!
きっとミュージカル全編をしっかりと演じて、子どもたちは心底楽しんでいたのでしょうね。
だとしたら、なんと贅沢な撮影風景!
ヤムさんと嵩くんが、ようやく再会できました。
嵩くんも戦争で辛い経験をしたことを感じ取ったから、ヤムさんも自分の戦争体験を語る気持ちになったのですね。
和明くんの別れ際の土佐弁に、グッときました。
いろんなことが最終週に向けて収束し出した、そんな回でした。
いつもこちらのサイトを楽しみに拝見させてもらってます。
今日の回で、やむおんちゃんが、おれは倒れた兵隊からかんぱんを奪って生き延びた自分をずーと情けないと思っていきてきた
みたいなセリフがあったので、
バイキンマンは、横取りしたりよくしますか、人間みんなそんな部分があるよ!みたいな思いもあって、誕生するのかなと思ってました
やむおんちゃんの心のとげをとれるといいなぁと。
「どこかで戦争が。」、「お前も戦争に。」なんか現実にリンクし過ぎている。ガザにアンパンマンがいればなあ。現実世界のやるせなさが身に染みる。
試しに高知県出身のマンガ家を検索したらめちゃめちゃかって好きだった作品を描かれている先生方が多いことに驚きました
「土佐の一本釣り」「深夜食堂」「アパッチ野球軍」「シェイプアップ乱」「キックの鬼」等など、クイズダービーのはらたいら先生も高知県
個人的にはダントツに好きな高知県出身のマンガ家は西原理恵子先生だわ、「まあじゃん放浪記」「恨みシュラン」「ぼくんち」「いけちゃんとぼく」「鳥頭紀行」等の単行本集めてたなあ
西原先生の生き様ドラマにならないかなぁ、コンプラがんじがらめで史実を美しすぎる改編する朝ドラだともったいないなあ、Netflixでドラマ化してくれないかなあ(今度、戸田恵梨香さん主演で細木数子さんのドラマやるみたいですね、おもしろいに決まってんじゃん)