本放送:2011年10月11日(火)
再放送:2014年4月15日(火)
再々放送:2024年10月1日(火)
第2週「運命を開く」
花言葉の花「プリムラ」
あらすじ
女学校で授業がはじまるや否や真っ先に挙手して先生に質問する糸子。「キレを縫うだんじりみたいなやつを何て言うんですか?」パッチ店で見た謎の機械の名前が「ミシン」だとわかり、糸子は大喜びでその名をノートに記しました。
それから糸子は雨の日も風の日も、連日暗くなるまでパッチ屋の窓越しにミシンを見つめ続けました。その頃、父の善作は呉服屋の娘が洋服を着るなと言い始めるものの、得意客の大地主の息子の祝言は洋式で行われることになり時代の変化が押し寄せてきます。
アッパッパを縫うことは父から禁止されたものの、ミシンを見ているだけで幸福な糸子。ある日、店の大将から声をかけられた糸子はついにミシンを使わせてもらうことが出来ました。試みに少しだけ布を縫い上げ、大将から筋がいいと褒められる糸子。
ミシンで布を縫えた嬉しさから桝谷パッチ店の下働きの手伝いをはじめた糸子はそこで働く楽しさに目覚めます。家に帰っても家事を率先して手伝い両親や祖母を驚かせる糸子は、働いた分だけ自分が大人になれたような気がするのでした。
感想
桝谷パッチ店の大将が実にいい味出してます。「そんなとこ立たれたら商売の邪魔や、見るんだったら中で見い」と太っ腹。でも、いつの間にか自分のことを大将だと知られていたり、店員さんたちの名前を熟知している上に「桝谷パッチ店はごっつい店やな」とまで言われたら悪い気しないはず。
しかも「桝谷パッチ店はごっつい店やな」はお世辞ではなく、真剣に感動して出て来た言葉。しかもミシンが「ごっつい」と指摘、この時代まだ数が少なかったミシンを導入していることを大将も誇りに思っていたはずです。
その大将が、糸子がはじめて縫った試作品を見て「筋がいい!」こちらもお世辞やおだてでなく、本気で感動しているとこが爽やかです。働いている人たちも気持ちの良さそうな人ばかりで、桝谷パッチ店の場面、いいものを見せてもらいました。
ところで、表情に焦りと苛立ちが目立つようになってきた善作お父ちゃんが心配です。アッパッパ禁止令は焦りの裏返しでしょう。禁止令こそ出たものの、糸子のアッパッパのデザインがより洗練されていることに驚かされました。
あれは制作スタッフの衣装担当の独自のデザインなのか、実在の初期デザインが残っていてそれを参考にしたのか。いずれにせよ、時間の経過とともにデザインを進化させたりして細かいところまで丁寧に作り込まれているのですね、本作は。
最後に働くのが「おもろい」と目覚めてしまった糸子。「一個働いたら一個まわりが喜び、一個大人になれるような気がする」この台詞を聞いて数年前に亡くなった春日大社の葉室宮司がよくおっしゃっていた言葉を思い出しました。
葉室宮司は生前よく、「はたらく」という言葉に「働」という漢字を当てはめてから言葉の本来の意味がわからなくなった。はたらくという言葉の本質は「はた(傍の意味)」を「らく(楽の意味)」させることにある。
そんな意味のことをおっしゃっていましたが、葉室宮司の生前の言葉を、糸子の台詞「一個働いたら一個まわりが喜び」は脚本家の創作なのか、それとも実在のコシノさんが女学生時代に実際にそう考えたことなのか。
後者だったら驚きです。