カーネーション

パッチ屋入店認められる / カーネーション 第12話

本放送:2011年10月15日(土)放送
再放送:2014年4月19日(土)
再々放送:2024年10月5日(土)
第2週「運命を開く」
花言葉の花「プリムラ」

あらすじ

松坂家からの借金が出来なかった善作は、神宮司の家を訪ねると娘の花嫁衣装を買い付けることが出来なかったことを土下座して詫びはじめました。事情を察した神宮司は、店を畳むのなら早いうちがいいと善作を諭します。

新学期がはじまりました。糸子は女学校の帰り道に勘助がいじめられている現場に出くわし、見過ごすことが出来ない糸子は勘助の仕返しを試みるものの、逆にやり返されてしまいます。腹を蹴られ動けなくなり勘助に背負われて家に戻る糸子。

腕力では男に勝ち目がないことがわかり、しかも勘助に助けられたことが悔しくて大泣きする糸子。だんじりにも乗れず、ミシンも使えず、勘助にも負けた自分は終いと号泣する糸子の泣き叫ぶ声を善作は物陰でじっと聞いていました。

明くる朝のこと、善作は糸子を呼びつけて言いました。だんじりが終わったら女学校を辞めて桝谷パッチ店で働いてもよい。ただし働くと思うな、勉強だと思え。しかし、糸子は嬉し過ぎて父の言葉を真剣に聞く余裕などありません。

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感想

わずか15分間にこれだけ濃厚で激しい喜怒哀楽を詰め込むことが出来るなんて。

「アッパッパが縫いたい、桝谷パッチ店で働きたい、ミシンはうちのだんじりや、だんじりに乗れずミシンも使えず勘助にまで負けた」

この世の終わりかというような嘆きっぷり、こんな強烈な号泣場面、映画やドラマではじめてみたかもです。しかも演技臭ゼロ。圧倒されました。

そして松下幸之助翁の言葉を思い出しました。正確な言葉づかいは覚えていませんが、どうしても屋根に上りたいという強烈な熱意がハシゴを発明させる。たしかこんな意味の言葉があったはずです。

奇しくも糸子が熱望していたことも「屋根に上ること」でしたが、若い頃同じようにだんじりの屋根に上りたいと思っていた善作さんはここまで強烈に屋根に上りたいと思わなかったのかも知れません。

というのも、前回借金を断られた善作さん、娘の糸子と同時期に自分の願いに通じる道を絶たれたのに、その反応は真逆。

だんじりに乗れず、「うちにだんじり」にも乗れず、八方ふさがりの糸子が強い願望のエネルギー持って行き場がなくなり爆発。

一方で善作さんも呉服屋継続の目途が立たず八方ふさがりになるものの、行き場がなくなるような願望のエネルギーが出てこない、というかエネルギーがなくなってしまいました。

ただ僕は善作さんを責める気にはなれません。僕も同じ状況に陥ったら糸子みたいに反応したいけれど、実際には善作さんみたいになるような気がします。

いわゆる「天才」というのは、ある道の才能そのものだけでなく、強い願望を持つことが出来る人なのかも知れません。12話を見てそんなふうに思ったことでした。

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POSTED COMMENT

  1. えびすこ より:

    改めてストーリーを見直してみると、この番組には「人生の醍醐味」がありますね。この番組の登場人物ほど喜怒哀楽を素直に表現できてますね。本放送当時見ていて気持ちが良かったです。これの前後の大阪制作の朝ドラで、喜怒哀楽の豊富さは他に例がないのでは?朝ドラや大河ドラマの様なスタイルの番組は喜怒哀楽のうち、どれかでも(場面・展開にもよりますが)無理に感情をこらえるとやきもきしてしまいます。
    ところで朝ドラで「大阪で生まれ育った女性」が、主人公の作品は現時点ではカーネーションが最後です。

    • hublog より:

      コメントありがとうございます。
      仰る通り、喜怒哀楽が実に豊か後にも先にもこれほど感情移入しやすい朝ドラは稀かも知れません。

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