本放送:2011年10月14日(金)
再放送:2014年4月18日(金)
再々放送:2024年10月4日(金)
第2週「運命を開く」
花言葉の花「プリムラ」
あらすじ
実家の松坂家に借金を頼みに行った千代が雨の中を帰って来ました。千代の帰りを待ちわびていた善作に、千代は善作が自ら来るように父から言われたことを告げ、借金は断られたことを知らせるのでした。
夏休みに入り、糸子は寝坊する日々。そんな夏のある日、善作は神戸の松坂家に借金の申し込みに行くことに。その際、善作は一計を案じ、糸子びいきの千代の父・清三郎の機嫌をとるために糸子を連れて行くことにしました。
神戸の松坂家で、糸子が来たことに清三郎は大喜び。しかし善作には厳しい顔で、時流に合わない呉服屋を畳め。更に清三郎は善作に、一人で働きに出ろ、千代と娘たちは自分が引き取ると迫り、善作を完膚なきまでに打ちのめしました。
岸和田に戻ったある日、大工方になれなかった思いを泰蔵に語る善作。夏祭りの夜、娘たちと共に帰宅が遅くなってしまった千代は、恐る恐る善作に詫びるも床に伏せた善作はろくに返事をしようともしません。
感想
前回で横暴を極めた善作さんが一転、義父の清三郎さんに完全に骨抜きにされる回。
たいてい、横暴から一転骨抜き、こんな展開をする場合、横暴を極めた悪人が反撃をくらって溜飲を下げるという演出をしがちなものですが、そういう安易な道を選ばなかったところが好きです、本作の脚本というか演出というか。
小心者で内弁慶、残念な性格ながらもその残念っぷりがどこか可愛らしく見えてしまっていたので、骨抜きにされてすっきりするわけではない。でも、だからと言って気の毒だと同情出来るかというとそうでもない。このバランス感覚。
神戸に向かう電車の中で覚悟が揺らがぬように黙想する善作さんと、帰りの電車の中ですっかり憔悴し切ってもぬけの殻のようになった善作の対比を「パッチの話し」を一滴加えることでより明瞭に見せてくれるところも楽しめました。
話し変わって糸子贔屓という清三郎さん。孫がやって来た時のはしゃぎぶり、帰り際に庭で孫で大騒ぎする大人げさなのチャーミングさがたまりません。糸子さんの性質は親族の誰に似たのかなと思ってましたが、清三郎おじいちゃん似なのでしょうか。
似た者同士で仲が良いのかも知れません、糸子と清三郎さん。それほど可愛がっている孫だけに娘ともども貧乏を強いられている今の状況は父として祖父として耐え難いものがあるのでしょう。善作さん、その点を理解できなかったところだけは残念です。
さて、岸和田に帰って来てからももぬけの殻状態から復活できないでいる善作さん。若い頃、だんじりの上で舞えなかったのは根性がなかったからと自虐発言。虚勢を張っていただけかも知れませんが、善作さんのこれまでの威勢の良さは見る影もなくなり心配です。
その心配を増幅させるように、夜遅くなってしまい夏祭りからの家路を急ぐ千代さんや糸子と妹たち。その妹の一人の鼻緒が切れる。やっと家にたどり着くといつになく静まり返っている家の中、想定された遅いじゃないか!という善作さんの怒鳴り声もなし。
自分の殻に閉じこもって伏せていた善作さんの姿を見てちょっと安心したものの、かなりドキドキさせられる演出。それでもなお、気を抜けそうにありません。次回、どうなるのか。