カーネーション

桝谷大将、糸子を絶賛 / カーネーション 第21話

本放送:2011年10月26日(水)
再放送:2014年4月29日(水)
再々放送:2024年10月16日(水)
第4週「誇り」
花言葉の花「アマリリス」

あらすじ

悪評高い春太郎に連れられていた奈津を案じる糸子は、家に帰るや心斎橋で祖母と偶然に会いミシンを買ってもらえることになったと善作に話します。しかし、折から機嫌の悪かった善作を激怒させてしまいミシンの夢は絶たれてしまいます。

夢も希望もなくなったと一晩泣き明かすものの、再びやってきただんじり祭りで気持ちが晴れる糸子。祭りの人ごみの中に奈津の姿を見つけた糸子は、春太郎のことで注意をすると大げんかになってしまいますが泰蔵の仲裁で喧嘩は収まりました。

そんなある日の夕方、井戸端でたたずむ善作はパッチ屋の大将・桝谷と出会います。桝谷は糸子は将来有望であること。もし糸子が自分の娘なら商売を糸子にまかせているだろうと、糸子を心から褒めちぎります。桝谷の言葉を真剣に受け止める善作。

その翌日、善作は山ほどの仕事を糸子に果たすと、隣家の電気屋・木之元に案内させ心斎橋で根岸が開くミシン教室に案内させました。ミシン教室で根岸と対面した善作は口ごもりながらも意を決して何かを言おうとするのでした。

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感想

パッチ屋の桝谷大将が善作さんに糸子の将来性を絶賛する場面、暮れなずむ夕陽の撮り方も、桝谷大将の表情も善作の表情も、そして何より桝谷大将の心意気が美しい。

桝谷大将が、善作の呉服屋の主としてのプライドに対して繊細な気遣いを見せながらも、父親からは見えにくい糸子の資質を手放しで絶賛。「将来有望、女にしておくのが勿体ない、腕もある、頭もある、先も読める」

職業人に対する賛辞でこれ以上ないというくらいの褒めっぷり。しかも「あの糸子ちゃんがあんだけ熱あげるんやったら、洋服はこれから主流になるとわしもこの頃思ってまんねん」と糸子の先見性への全幅の信頼。

糸子が言うのであれば主流になるとそこまで言う。当時は高額だったミシン、そんな設備投資をする極めて珍しい先見性あふれるあの大将が、糸子の先読みが自分より上だと言うに等しい。しかも大勢の職人を雇ってきた経験から出た言葉です。

そして「商売がうまくいかない、自分も年を取る、こんな時にあんな頼もしい子供に目の前にうろちょろされたら、そんなええことあらへん」これはお世辞でも糸子への褒め言葉でもなく、桝谷大将の心からの望みでしょう。

桝谷大将が、パッチ屋の大将として長年商売をされて経験も十分過ぎるほどあることは、同じように一つの商売を守り続けてきた善作さんもよくわかるはず。そんな桝谷大将がプライドもかなぐり捨て、洗いざらいここまで言ってしまうとは善作さんも驚きつつも心から嬉しそう。

とどめの一言はこれ、「糸ちゃんが自分の娘だったらさっさと店まかせる、わしなんぞやるより儲かりまっせ」

メンズアッパッパのヒットで、桝谷大将が最後に放ったこの一言は善作さんの心に実感を持って響いた筈。実際、ヒット商品が生まれて娘の一人が女学校に入学出来るようになったくらいなのだから。

以上、夕焼けの中の二人の男の美しい場面。『カーネーション』の忘れられない名場面の一つとしていつまでも記憶に残りそうです。

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