本放送:2011年11月7日(土)
再放送:2014年5月10日(土)
再々放送:2024年10月26日(土)
第5週「私を見て」
花言葉の花「スカシユリ」
あらすじ
一晩でパッチを100枚も仕上げようとする糸子を家族は手伝おうとしますが、善作が糸子に傍に張り付いているためなかなかうまくゆきません。一方で糸子がこんなことになったのは自分のせいだと涙を流して後悔する静子。
夜になり、家族が手伝わぬよう糸子に傍に座り続ける善作。祖母も隙を見て糸子を手伝ってやろうと待機。しかし、睡魔に負けた糸子が居眠りをはじめ、善作は糸子が居眠りをする度に大きな音をたてて糸子の眼を覚まさせます。
夜が明ける頃になって糸子はついに100枚のパッチを縫い上げました。しかし、善作が検品をすると細すぎで足が通らないことが判明。善作は止むを得ず眠っている家族を叩き起こし家族総出で作業。辛くもパッチは完成しました。
4月。学校を卒業した静子は予定通り就職し、会社勤めをはじめました。最早何を商っているのかわからなくなり閑古鳥が鳴く小原呉服店で、糸子は自分の手伝いをしたがった妹一人雇えない自分をふがいなく思うのでした。
感想
善作お父ちゃんの描き方がリアルで面白い。善作お父ちゃんが家族に手伝いを禁じるほどのへそを曲げてしまったのは、糸子が無謀な仕事を引き受けたことよりも、今の小原呉服店は仕事を選べる立場にないと娘に言われたのが癪にさわったから?
プライドがちょっと傷つけられただけで弱い者が相手だと怒鳴り散らしへそを曲げるちっちゃい男ですが、でもやっぱり懸命に仕事を成し遂げようとする娘が心配でならない。夜通し糸子の傍に付きっきりだったのは結局心配だったからでしょう。
その証拠に、糸子が全部仕上げるとしっかりと検品。不良品とわかるや、へそを曲げたことも忘れて窮地の糸子を助けようと、明け方から眠りにつく家族を叩き起こして直しに総動員。でも、脚本は善作お父ちゃんをそう簡単には娘思いの善人には見せません。
倍のお金をもらって娘が大金を稼いでも褒め言葉は一言もなく、むしろ請け負い賃を決めてなかった脇の甘さを詰るのみ。更にその大金の大部分は自分の懐にしまい、糸子に渡したのは駄賃のみ。
紙幣一枚だけが糸子の給金。これはいくらなんでもとはじめは思いましたが、ミシンの出資者は善作お父ちゃんでしたね。この場合、作業員の糸子よりミシンに投資した善作お父ちゃんのほうがリスクが大きいからリターンも大きいと納得。
糸子も駄賃に不平のひとつも言わずに、妹たちと勘助が働いてる和菓子屋へ。駄賃を素直に喜んだようで、とても爽やかな後味でした。
百貨店の制服リニューアルの仕事を受注し、パッチ100着という無理難題もプロジェクトXのようにこなしたものの、まとまった注文はこの二件の仕事のみ。善作お父ちゃんをそう簡単には善人にしないように、商売もそう簡単には順調にさせない。
あくまでリアル。安易にきれいごとで感動を誘わない潔さが素敵な『カーネーション』、6週、約四分の一まで来ました。