本放送:2011年12月5日(土)
再放送:2014年6月7日(土)
再々放送:2024年11月23日(土)
第9週「いつも想う」
花言葉の花「母子草」
あらすじ
昭和16年(1941年)7月、女性のお洒落は非国民のすることだという風潮が日増しに強くなる中、オハラ洋装店はその非国民が毎日押し掛け商売は繁盛。一方で安岡髪結い店では玉枝と八重子が苦慮していました。
その頃、戦争で儲からなくなった商売人もいれば時局に上手に乗り戦争で大儲けしている商売人もいました。大儲けできた商売人は商店街の人たちを連れて頻繁に酒宴を繰り広げ、料亭吉田屋は軍需景気で大いに賑わっていました。
そんなある日、勘助が戦地から戻って来るという報せが入り、家族や善作たちも大喜び。糸子は自宅で勘助のために歓迎会を開こうと張り切って準備をするものの、歓迎会の当日、ついに勘助は姿を現しませんでした。
祭りの日まで一度も顔を出さない勘助を案じた糸子は勘助の家を訪ねます。勘助の部屋で糸子が見たのは「心がなくなった」と呆けたような勘助の姿。勘助に心が戻ってほしい、元の勘助に戻ってほしいと願わずにいられない糸子でした。
感想
お洒落は非国民のすることだと言われてもそれでも毎日のように押し掛けて来る非国民のおばちゃんたち。オハラ洋装店をこんな時勢にも関わらず大繁盛させてしまう当時の岸和田のおばちゃんたち、最強・最高です。でも髪結い店がちょっと心配。
一方で岸和田の大将たちにも明暗が。戦争で商売あがったりの大将もいれば戦争のおかげで大儲けする大将も。映画『シンドラーのリスト』のシンドラーを思い出しました。商売を失敗し続けたシンドラーが自分に不足していたのは戦争だと言う場面。
下駄屋のおっちゃんの弟「やっさん」もシンドラーみたいな商売人の一人。それまで小さい縫製工場を細々と営んでいたのが軍服の仕事を引き受けて大儲け。身の丈を超えた繁盛に「やっさん」と取り巻き連中大はしゃぎ。
連日、飲めや歌えの大騒ぎする男の大将たちの浮かれっぷりに対して、安岡髪結い店・玉枝おばちゃんの堅実さ。商売が困窮していることに不安を語る八重子さんに「店一軒守るのは大変なこと、ええ時に調子に乗るのもあかんが悪い時にくじけるのもあかん、よお覚えとき!」
ええ時に調子にってるおっちゃんたちに聞かせてあげたい玉枝おばちゃんの箴言。オハラ洋装店を繁盛させる非国民おばちゃん軍団ふくめ、岸和田の女性は強し。
さて、勘助が帰ってきましたが戦地で過酷な体験を積み重ねてきたのでしょうか。呆けたようになった勘助。「あのへたれが戦争なんか行かされてしまったからぼおっとなった」と激高する糸子。
糸子も八重子さんも「心が戻って来ると信じたい、元の勘助に戻ると信じたい」見ている僕も同じ気持ちです。かつて勤めていた工場の大将だかが厳しくてそれだけで凹んでいた勘助のこと、戦場での体験は彼にはあまりに苛烈だったのでしょう。
それでも手も足も付いて戻って来れたのは不幸中の幸いです。元のへたれ勘助が戻ってきますように。