本放送:2012年1月4日(水)
再放送:2014年7月3日(木)
再々放送:2024年12月19日(木)
第14週「明るい未来」
花言葉の花「ムスカリ」
あらすじ
昭和20年8月15日、一人で昼食をとり終えた糸子は十年以上も続いた戦争が終わったことを仏前に報告。その間に亡くなった勝、善作、勘助、泰蔵らを失ったことをはじめて実感、涙が止まらなくなるのでした。
モンペを脱いでアッパッパに着替えると、糸子はようやく戦争が終わった開放感にひたります。アメリカ軍が来るからそんな服装はしないほうがいいと注意される糸子でしたが、二度とモンペなど着たくないと心から思う糸子。
ラジオからは軍歌でなく明るい音楽が流れることをともに喜ぶ糸子と木之元。木之元は「ごっつおもろいところ」と糸子を闇市に誘います。何でも売っている闇市での買い物に糸子は夢中になりつつも、値切りの交渉は忘れません。
しかしアメリカ軍を刺激しないようにと、だんじりが今年も中止に。しかし9月14日だんじり祭りの朝、だんじりは自分たちと命だと木之元や木岡らは無断で小屋からだんじりを引っ張り出し、この日を楽しみにしていた直子も加勢するのでした。
感想
終戦を迎え、警報もならない静かな静かな昼を時間を取り戻した糸子。静けさの中で「どっかへ行った気持ち」を取り戻したのか、勝さん、勘助、泰蔵兄ちゃんたちを戦争で失った悲しみを終戦の日になってようやく実感したのでしょうか。
心から悲しいことがあると歯ぎしりしながら泣き叫ぶ糸子ですが、今回は声もあげず静かに涙を流すのみ。いつもと異なる泣き方が糸子の悲しみの深さがどれほどのものかが伝わって来ます。
でもモンペを脱いだらほっとほっと一息。戦火の中「気持ちがどっかへ行った」前の明るい糸子が一瞬で戻って来ました。アッパッパ姿で颯爽と町をゆく糸子に、この期に及んで説教する愛国婦人会の澤田のおばちゃん、明るい哀愁に満ち満ちていました。
やっさんからアメリカ軍が来るからそんな格好しないほうがいいと忠告されても、糸子はもうモンペなんて死んでも着たくない。焼夷弾がなければ糸子にとって米軍恐るるに足らず「アメリカ軍でもなんでも来い!」本来の糸子が復活しました。
復活糸子は木之元のおっちゃんの誘いで「ごっつおもろいところ」闇市へ。食べものも、着るものも、何でも売ってる闇市。闇市の雑多で賑やかな演出もリアル、本物の闇市を隠し撮りした映画『野良犬』を思い出しました。
早速、砂糖を購入する糸子。値切り交渉も忘れません。本来の糸子の復活を値切り交渉でも表現。本来の糸子の姿を見せられるほどに戦争が終わり時代が変わったことを実感。サブタイトルにもなっている「明るい未来」の予感にワクワクしてきました。
そんな明るさにちょっとだけ暗雲。時代が変わっても相変わらず横柄なおまわりさんがだんじりの中止を宣告。アメリカ軍を刺激するなという上からのお達しがあったとか。木之元のおっちゃん、木岡のおっちゃんは心底激怒。
でもそんな暗雲もすぐに吹き払われます。最早、大人しく引き下がる木之元のおっちゃん、木岡のおっちゃんではありません。だんじり祭りの朝、小屋に収まるだんじりを万感の思いを込めて見つめる町の人たち。
「だんじりはわしらの命、今これをひかなかったらわしら終わってしまうぞ」
木之本のおっちゃん、木岡のおっちゃんはじめ岸和田のおっちゃんが反撃を開始。無断で小屋からだんじりを引っ張り出します。小屋から出て来るだんじりの威風堂々としたその雄姿、鳥肌が立ちました。
前の年から、次こそはだんじりをひくとこの日を待ちに待った直子ちゃんも、準備体操を開始。幼い頃の糸子の性格を最も色濃く受け継いだらしい直子ちゃんの張り切って体操する可愛い姿を見て、サブタイトルの「明るい未来」の到来を確信しました。