本放送:2011年12月24日(土)
再放送:2014年6月28日(土)
再々放送:2024年12月14日(土)
第12週「薄れゆく希望」
花言葉の花「アネモネ」
あらすじ
昭和19年(1944年)9月。若くて体力のある男たちが戦争に駆り出されひき手がいなくなっただんじりは、この年、中止になってしまいました。木之元たちはだんじりを愛した善作の仏前にだんじりの中止を報告し、頭を下げて詫びました。
それから数日後、仕事中に呆然と立ち尽くす八重子のいつもと異なる様子に気付く千代。八重子の身の上を案ずる千代ですが、忙しい糸子は他人の荷物まで持ってる余裕はないと、千代の言葉に取り合おうとしません。
そんなある日、妹の光子が店に帰って来る途中で、店の中の糸子の様子をじっと見守る勘助に出会います。糸子に会いたいが自分にその資格はないと寂しそうに語る勘助は、その日が出征の日だったのです。
店に戻るなり泣き始める光子。勘助が出征することを聞かされた糸子は慌てて店を飛び出し勘助の名を叫びながら後を追います。しかしその頃、勘助は既に列車の中でした。・・・・勘助の葬式行列が出たのはそれからわずか一ヶ月後のことでした。
感想
今週のサブタイトルは「薄れゆく希望」。サブタイトルが示す通り、希望が次々に失われたり薄れていったりしましたが、今週の最後の最後に、またひとつの希望が薄れ、そして一つの希望が失われました。
薄れた希望はだんじり。どんなことがあってもだんじりはひかなければいけない、どんなことよりも価値のあることと糸子が信じていただんじりが中止。理由が悲しい、若い男がいなくなってひき手がいないから。
だんじりは糸子にとっては、夢や目標のその奥の方にある生の根源みたいな存在。だんじりに乗りたい、大工方になりたい、子供の頃に抱いたその強い強い心のエネルギーが巡り巡って今の洋裁の仕事、これからの糸子の仕事の原動力。
それが中止になってしまう。来年も再来年も最早どうなるかわからない。糸子の失意は、楽しみにしていたお祭りがなくなった。そんなレベルでのものではないはず。生きる意味を失いかねないほどの衝撃があったかもです。
そして失われた希望は勘助。中国大陸への出征で心を患い、よかれと思って初恋の相手・踊り子のサエに会わせたところがますます悪化。それ以来、心の底から気になっていたのに様子が全くわからなかった勘助。
オハラ洋装店のすぐ近くにまで来ていたというのに、糸子を遠くから見つめるだけで糸子に挨拶もせずまた出征してしまった勘助。すぐそこまで来ていたにも関わらず、ギリギリのタイミングで顔も合わせられずに出発。
勘助の名を叫びながら追いかける糸子と、窓の外を名残惜しそうに眺めながら汽車で去って行く勘助。二人の映像を交互に見せながら、ついに別れを告げないままの切ない別離の演出。
最後に会うこともしゃべることも出来なかった幼馴染みの勘助。次の場面はその一ヶ月後。わずかひと月で会わずに別れてしまった勘助は葬式行列の遺影に収まる存在になってしまいました。つらい一週間でした。