本放送:2012年1月16日(月)
再放送:2014年7月14日(月)
再々放送:2025年1月6日(月)
第16週「揺れる心」
花言葉の花「ホテイアオイ」
あらすじ
昭和21年9月。安岡髪結店に奈津が訪問。床から起き出した玉枝は店を安岡美容室に改装するので奈津に手伝ってほしいと言い出します。自分は表の世界の女ではないと言う奈津。玉枝は金輪際言うな、忘れて先に行こうと奈津を励ましました。
奈津の借金の保証人となった糸子は、祝言の時に助けられたのにも関わらず自分は礼を言わなかったと、奈津に礼を言わせようとしません。一方の玉枝は、八重子にこれまでの非を詫び、二人は心からの和解を果たすのでした。
玉枝の提案で糸子につくってもらった揃いの純白の制服を来た、玉枝、八重子、そして奈津は、ついに安岡美容室を開店させます。三人は、開店祝いに駆けつけた糸子を囲んで、新しい店の前で記念撮影をします。
記念撮影の写真が仕上がった頃、だんじりの季節がやって来ました。この年のだんじりからは、女の子もだんじりを引けるようになりました。法被姿で喜び勇んで出かけける直子を見て、糸子は新しい時代の到来を実感するのでした。
感想
わずか15分にして暗から明にドラスティックに転じさせてしまう脚本の筆力、演出力。そして役者さんたちの表情の変化に度肝を抜かれました。上映時間2時間ほどの劇映画を見たのと同じくらいのボリュームを感じた第86回。
前回85回の最後に外に出て来た奈津の表情の変化、あれは本物でした。すっかり立ち直って、というより奈落に落ちた以前よりも成長した奈津が、安岡髪結店を訪ねてきた時の瞳、糸子の店に顔を出した時の瞳、ともに美しかった。
玉枝さんの復活も本当に嬉しい。奈津は玉枝さんに助けられましたが、玉枝さんも奈津に助けられたのでしょう。自分は表の世界の女でないと言いかける奈津の口を封じて「忘れて先行こ、うちもそうするからあんたもそうしろ」
玉枝さんが「うちもそうする」と決意できたのは奈津がいたから。そして奈津も玉枝さんがいたからころ忘れて先に行ける。かつては自分一人で生きてると思い込んでいた奈津でしたが、そうではなかったと玉枝さんを通して悟れたのではないでしょうか。
それにしても、玉枝さんのしびれるような粋な計らい。これは奈津と会った時から考えていたことなのか。訪ねて来た奈津の顔を見て、その場でひらめいて決断したことなのか。いずれにせよ奈津を救い八重子さんには罪滅ぼしの一石二鳥。
一石二鳥どころか一石三鳥ですね、これで糸子とも仲直り出来たわけですから。仲直りといえば、幼少の頃以来常に張り合ってばかりいた糸子と奈津の関係も大きく変化。二人は言葉をほとんど交わしていませんが、言葉がなくても二人の関係が変わったことが分かりすぎるくらいわかる重厚な演技。
陰極まって陽に点じ、直子は憧れのだんじりを引けることに。時代の変化をだんじりでわかりやすく表現してくれました。圧倒されっぱなしの86話でした。