2023/12/22(金)第12週「あなたのスズ子」

愛助の母・トミが上京。村山興行東京支社でトミは愛助と向き合いました。トミは愛助に言いました。スズ子とは別れろ。山下がスズ子のマネージャーになることも認めないと。しかし愛助はトミの言葉に従う気はありませんでした。

その数日後、トミの求めに応じて愛助はスズ子を村山興行東京支社に案内。スズ子はトミと初めて対面しました。トミはスズ子に、愛助は村山興業の後継ぎだとだけ言い残してその場を去りました。

トミが言いたいことを察したスズ子は愛助に言いました。キッパリ別れろということだ。自分のような歌手が村山興業の後継ぎに嫁ぐことは無理な話なのだと。しかし愛助は、受け入れることができません。

一方、羽鳥が上海に渡ることになりました。陸軍の報道班員として上海に派遣されることが決まったのです。羽鳥は日本を離れることをスズ子と茨田りつ子に伝えました。月日は流れ昭和19年暮れ。空襲の直後、愛助が喀血しました。

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感想

今週の振り返り:坂口さん

今週は、スズ子ちゃんと坂口さんの激しいバトルの場面から始まりました。

坂口さんは本作の中では梅丸社長と同レベルくらいに圧が強いものの、それに負けていないスズ子ちゃんもまた強い。

スズ子ちゃんと坂口さんの激しい口論。

あそこまでどぎつい口論は東京の朝ドラではできない芸当です。(笑)

さて、今週はスズ子ちゃんと愛助くんの関係が確定するまでのプロセスが描かれる週でした。

そして、振り返ってみるとスズ子ちゃんと愛助くんの関係を確定させることに一番の貢献を果たしたのが坂口さんでした。

スズ子ちゃんと愛助くんの関係を終わらせるのが坂口さんのミッションです。

にもかかわらず、坂口さんの介入によって、スズ子ちゃんと愛助くんの関係を切り離せないレベルにまでしてしまいました。

坂口さんのやることなすことすべてが、火に油を注ぐ結果に。

例えば坂口さんが愛助くんに強いものの言い方をすればするほど、愛助くんのスズ子ちゃんへの気持ちを強くなる一方。

さらに坂口さんが愛助くんをいつまでも子供扱いしていたのも失敗でした。

おそらく愛助くんは、子供のころから坂口さんに可愛がられていたのでしょう。

だから、坂口さんに子供扱いされることに、ある時期までは特段の違和感はなかったかと。

しかしスズ子ちゃんのことが絡んできたのを機に、坂口さんによる子供扱いの態度に違和感を感じるようになったのではないか、というのがブログ主の観察です。

そんな中で愛助くんに届いたお母上・トミさんからの手紙。

トミさんもこれまでは坂口さん以上に愛助くんのことを子供扱いしてきたものと思われます。

でも、トミさんからの手紙には、愛助くんを大人として認め始めるニュアンスが見え隠れ。

あの手紙が愛助くんを覚醒させたようです。

自分はもう坂口さんの言いなりにはならないと腹をくくった愛助くん、スズ子ちゃんと交際すると決めたことを坂口さんに宣言。

坂口さん、愛助くんを追い詰めすぎました。

一方で坂口さんのスズ子ちゃんへの態度も今にして思えばまずかった。

ある時期までスズ子ちゃんは愛助くんとは会わないようにしようと本気で考えていました。

なので、そっとしておけばスズ子ちゃんは手を引いたかと。

しかし事務所に乗り込んできたり手切金をチラつかせてきたりと、スズ子ちゃんを刺激しまくりました。

これも、まだ種火程度だったスズ子ちゃんの中の恋心をあおって炎上させてしまったようなもの。

坂口さん、スズ子ちゃんへの対応にも失敗しました。

これまで様々な人間関係の修羅場をくぐってきたらしい坂口さん。

でも色恋の修羅場は経験が浅いのかな?

さて、やったことのすべて裏目に出てしまった坂口さん。

愛助くんの交際宣言を受けて「社長に殺される」とガクガクブルブル。

ずっと威圧感たっぷりのキャラとして登場し続けていた坂口さんが、ガクガクブルブルによって意外な一面を見せてくれました。

あの意外な一面が坂口さんの転機になるのかもしれません。

以下、ちょっとだけネタバレが含まれます。

この先で愛助くんはある病気で倒れ、スズ子ちゃんが献身的に看病することになります。

そんなスズ子ちゃんの態度を見て、坂口さんのスズ子ちゃんへの見方は変わるらしい。

そしてスズ子ちゃんへの見方が変わるのと並行して、スズ子ちゃんと愛助くんの関係への見方にもある変化が生じるようです。

坂口さん、もしかするとツンデレキャラなのかも。

そして「社長に殺される」とガクガクブルブルしたあの瞬間が、ツンデレキャラがツンからデレに転じる瞬間になるのかもしれません。

というわけで今週の『ブギウギ』は、ブログ主にとっては坂口さんにほぼすべてを持っていかれた一週間でした。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

愛助くんのお母上、村山興業の創業者・村山トミが上京し、スズ子ちゃんと対峙します。

そして村山トミは遠回しな言い方でスズ子ちゃんに、息子と別れろと告げます。

そんなスズ子ちゃんと村山トミの初の対面場面が描かれますが、史実では笠置シヅ子さんが吉本せいさんに初めて会ったのはもっと遅いタイミングです。

ドラマの中の初の対面は戦中ですが、史実の初の対面は戦後。

ドラマの中の初の対面は、二人が交際を始めて間もないタイミングですが、史実での初の対面はドラマとは大きく異なります。

史実での初の対面時、笠置シヅ子さんは吉本頴右との間に生まれていた長女を連れていました。

さらにそのとき、吉本頴右はすでにこの世の人ではありませんでした。

一方、今週は羽鳥先生が上海へ渡ります。

史実では、羽鳥先生の実在モデル・服部良一氏が上海に渡ったのは昭和19年(1944年)6月。

上海・陸軍報道部に徴用された服部良一氏の任務は「文化工作を音楽を通じて行う」ことでした。

上海に渡ってちょうど1年が経過した昭和20年(1945年)6月。

服部良一氏は李香蘭のコンサート『夜来香幻想曲』を指揮。

そのコンサートで演奏された『夜来香ラプソディ』で、服部良一氏はブギウギのリズムをとり入れ、それが戦後日本でのブギウギブームのルーツと言われています。

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