2024/5/29(水)第9週「男は度胸、女は愛嬌?」
あらすじ
直言が優三の死亡告知書を半年近く隠していたことを寅子が知ってしまいました。しかし寅子は、その後も何もなかったように日々を過ごしていました。寅子は優三の死と向き合おうとはしませんでした。
一方、直言は肺炎を患い医師からは先は長くないと宣告されていました。直言は日に日に衰弱。そんな中、直言は寝室に家族を集めると、花江はいつまでも猪爪家の家族でいられるのかと寅子に尋ねました。
直言の質問に答えると、寅子はすぐにその場を離れようとしました。すると花江が切り出しました。直言がやったことに対して寅子はもっと怒るべきだ。優三の死を隠していたことに対する怒りを直言にぶつけたらどうかと。
直言は弁明を始めるものの、その場の空気を読めない懺悔の発言の数々に家族は言葉を失いました。しかし直言は寅子に止められるまで懺悔を続け、さらに寅子への愛情を語り尽くしました。その数日後、直言は息を引き取りました。
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感想
優三くんの死という事実へのトラちゃんの反応
優三くんが亡くなった事実をトラちゃんが知ってしまう瞬間が描かれたのが前回の最後。
今回はその瞬間からスタート。
直道くんが亡くなったことを知らされた瞬間、花江ちゃんはその場で泣き崩れました。
トラちゃんもそんな反応を示すのかと思っていたら・・・
トラちゃんは反応らしい反応を示さず、事実を知る前も事実を知った後も、変わらぬ様子で日々を過ごす。
優三くんの死と向き合ったら、自分は立ち直れかねない状態になることをトラちゃんはよく知っているんでしょう。
だから、優三くんの死という事実から必死になって目を逸らすトラちゃん。
事実を見て見ぬフリをするトラちゃんの姿、泣き崩れた花江ちゃんの姿よりも見ていてつらいかも。
自分の心に負荷をかけすぎるトラちゃんが心配です。
トラちゃんはまた、直言さんがやらかしたことに対しても何事もなかったかのように振る舞いました。
直言さんのやらかしたことと向き合ったら、悲しさと怒りによって自分の感情をコントローリうしきれなくなることをトラちゃんは恐れているのかもしれない。
あるいは、優三くんの死から目を逸らすことに必死で、自分の中の直言さんへの感情を整理しきれていないのかもしれない。
花江ちゃんに指摘されるまでもなく、トラちゃんは直言さんのやらかしたことに怒ってはいるでしょう。
しかし、直言さんに対して怒りをぶつける心のゆとりすら失ってしまったらしいトラちゃん。
これでは生ける屍も同然です。
直言さんの懺悔
花江ちゃんに問い詰められた直言さんが懺悔を始めました。
延々と続く懺悔。
さて、直言さんはうっかり口をすべらせてしまいました。
トラちゃんには優三くんではなく花岡くんと結婚して欲しいと思っていたことを。
優三くんの死を隠していたことを問い詰められている場で言うこと?(笑)
続けて、優未ちゃんを高い高いしたら、優未ちゃんの頭を天井にぶつけたことを懺悔。
さらに、花江ちゃんが少しづつ強くなっていくのが嫌だったとか、家の中の女が怖くて直道くんと寿司を食べに行ったとか。
懺悔の迷走が止まらない直言さん。
その場の空気を読めないどうでもいい懺悔の連発。
まだ続くの?って、トラちゃんに止められてしまいましたが、直言さんにはあのまま懺悔を続けてほしかった気もします。
もっと面白い懺悔が飛び出したのは間違いなし。
トラちゃんに止めらた直言さん、トラちゃんともども一緒に過ごした父と娘の愛情たっぷりの日々を思い出しました。
思えば直言さんはトラちゃんを否定するような言動が一度もありませんでした。
見合いの席ではトラちゃんを褒めまくる。
見合いに失敗してもトラちゃんを責めるようなことはしない。
明律大学に進学したいとトラちゃんが言い出したときに、無条件で大賛成してくれたのも直言さんでした。
頼りないことこの上ないけど、直言さんはトラちゃんを誰よりも愛していました。
直言さんは最期まで直言さんでした。
予習レビューと史実のリアルエピソード
前回の本欄では、直道くんの戦死と、直道くんに一番近い実在の人物の戦死についてまとめました。
今回の本欄では、優三くんの戦死と、優三くんの実在モデルの戦死ついてまとめます。
ドラマの中の優三くんの死亡が判明するのは戦後になってからです。
死亡の通知が来たのは昭和21年5月。
終戦の翌年です。
しかし死亡の通知には死因は不記載なので、どのような最期だったのかは不明のまま。
それからしばらくして復員待ちの病院で優三くんのベッドの隣にいたという男性が、優三くんの遺品を持ってトラちゃんを訪問。
その人物が言うには優三くんは胃腸を患い、それが悪化した死亡したとの由。
トラちゃんと結婚する前、優三くんは緊張するといつもお腹を壊していましたが、優三くんのお腹下しエピソードは悲しい最期のフラグだったようです。
一方、優三くんの実在モデル・芳夫さんには何があったのか?
芳夫さんは若い頃に肺結核を患ったことがありました。
そして出征し戦地である中国に着いてすぐに発病し入院。
戦地で発病や負傷した他の病院とももに船で帰国の途についたものの、長崎に着いてすぐに病状が悪化し入院。
昭和21年5月に亡くなりました。
なお、ドラマの中では優三くんが亡くなった事実を直言さんが隠し続けるため、トラちゃんが優三くんの死を知ったのは優三くんの死がかなりの時間が経ってからのことでした。
一方、史実では芳夫さんが危篤になった知らせがリアルトラちゃんに届いており、リアルトラちゃんは長崎に向かっています。
しかしリアルトラちゃんは芳夫さんの最後には間に合いませんでした。
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自らの死期を悟った直言さんがみんなを集めてまず口にしたのが、花江ちゃんのこと。
トラちゃんに花江ちゃんの法的な身分を確認して、その上であとは花江ちゃんの好きにしたらいい、と。
直言さん、優しい。
と思ったら、そこからなんじゃそりゃの展開。
優三さんの戦死を隠していたことはともかく、はるさんに嘘ついてお酒を飲んでいたとか猪爪家は女性が強くて嫌だなぁ、とか…。
挙句はトラちゃんの結婚相手は花岡くんが良かった、とは!
そりゃあまあ、大切な自慢の愛娘の結婚相手は、自慢できる男がいい、というのも分かります。
優三さんは身近過ぎて、「結婚」の特別感がなかったのでしょう。
ひとしきり懺悔してバッタリ倒れ、直言さん!…と思ったら、寝るんかい!
と、ツッコミ続けの朝でした。
それでもしっかり泣かせてもらいました。
直言さんのトラちゃんへの溢れんばかりの愛情は、まぎれもなく本物だから。
トラちゃんもその愛情は、しっかり受け止めていたから。
笑わせて泣かせる、恐ろしい脚本です。
月曜からとても暗く重い今週、
今日は直言さんが最期を迎えるということでさらに重い展開を予想してましたが、意外にも、直言さんの懺悔オンパレードとなり、コミカルな演出
朝ドラ定番の出産シーンや玉音放送を省くなど、斬新な展開が光る今作ですが、今日も見事でした。
そして、見事な脚本を体現できる(シリアスとコミカルを両立できる)、伊藤沙莉ちゃん、岡部たかしさんがいてこその今作です。
この時代に、娘が超高学歴になることを応援したり、
嫁に子供を連れて再婚してもいい(跡取りの男の孫です!カムカムでは女の子のるいちゃんでも置いて行けと言ってました)と言ったり、
とても進歩的な直言さんなのに、
トラちゃんがエリートの花岡さんと結婚したら自慢できると思ってたなんて超世俗的
でも、そこが人間味あふれる直言さんの魅力です
懺悔?面白かったですよね。私ももうちょっと聞きたかった。
他にも、はるさんが怖くて残業と言って飲みに行くとか、直明くんが賢すぎて自分の子じゃないのではと思ったとか。
でも、遮る直前が、直道の戦死を聞いて、こっそり一人で闇市で酒を飲んだ、だったので、確かにもう終わりだったのかも。
優三くんと結婚すると聞いてちょっとがっかりした、から始まったので
案外、優三くんに話が戻ってきて、戦死を知ったときの優三くんへの思いになって、それが戦死を隠していた理由なのかも。
そして思ったこと。いつでも寅ちゃんを肯定していたお父さんの深い愛情。
あれって、優三さんの寅ちゃんへの思いそのものでしたよね。
結局、お父さんによく似た人を選んだのかな、寅ちゃん。
二人は居なくなってしまったけど、いつでも、どんなときでも、寅ちゃんを肯定して、寅ちゃんを応援していた二人が居たことが、このあと寅ちゃんの立ち上がる理由になったらいい。法曹を一度諦めたのは、きっとそれで良かったんだと、今は思います。こうして良かったんだと。
地獄への道には、いつもこのやさしい二人がいるのですから。
(しかし、「花岡くんの方が良いと思った」って言われるときそばに優三さんがいたらどんな顔するかおもしろい。そして、でもそれでもというか、だからこそ優三さんはお父さんが好きで、猪爪家の人が好きで、寅ちゃんが好きで、なんでしょうね)
なんで知らせなかった。独りよがりの思いやりはかえって残酷、いやもっとエゴだった。花江さん直言さんに抗議。 今更、花岡君って。直言さん失言連発。でも直言さん良い事もしてくれた。なんか今わの際がずっこけた感じに。なんか言いたい放題であの世へ?